海上保安庁専門家による2022年2度目の現地渡航:船舶移乗・制圧訓練など

2022年6月30日(木)~7月16日(土)、ジブチ沿岸警備隊(DCG)を対象とした法執行に関する現場対応能力の向上を図る活動(成果1関連)のために、JICA短期専門家(海上保安庁モバイルコーポレーションチーム:MCT)の第7・8次派遣が実施されました。

派遣内容としては、VBSS訓練(Visit:接舷、Board:船舶移乗、Search:立入検査、Seizure:制圧)の内、船舶移乗(Board)及び制圧(Seizure)の2つに関する訓練を行うとともに、海上犯罪取締り訓練に関する現状調査を行いました。

1 船舶移乗訓練(Board)

DCG拠点内にある、船舶に見立てた陸上施設を使用し、DCG指導官候補生7名に対して船舶移乗訓練を実施しました。

この施設は、貨物船や貨物列車に積み込むコンテナを組み合わせ、船の構造に似せて作られたものです。今回の訓練では、海上での実働を想定し、海風や波などによる揺れを再現するために、梯子を揺らしながらの登はん訓練や、降下訓練などを実施しました。訓練生の集中力を高めるための工夫として、梯子登はんと降下をチーム対抗リレー形式で実施したところ、各チームに一体感も生まれ、より効果的な訓練となりました。

ジブチの7月は、ちょうどハムシーン(砂嵐)の季節にあたります。世界で最も暑い国のひとつであるジブチの、一年で最も暑い時期。気温は朝7時の訓練開始時ですでに38度、午前10時頃には42度まで上昇し、海からはヘアドライヤーのような熱風が砂埃とともに吹きつけてきます。このような過酷な環境の中で訓練生は、適宜休憩をとり、健康管理に十分留意しながら、真剣な眼差しでお互い励ましあいながら訓練に取り組んでいました。

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登はん訓練(梯子を揺らしながら)

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降下訓練(カラビナなどを使って)

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渡河訓練

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集合写真

2 制圧訓練(Seizure)

DCGの制圧指導官候補生9名に対して、最小限の力で被疑者を取り押さえる制圧技術の訓練を実施しました。コロナ禍以降、短期専門家によるジブチでの対面訓練が実現したのは、本年1月に続きこれが2回目でした。前回の対面訓練以降も自主訓練を継続していた候補生は、短期専門家と活発に意見を交わしたり、より深く理解できた候補生から他の候補生に対して、現地で日常的に用いられているソマリ語で丁寧に解説したりするなど、積極的に制圧技術習得に臨んでいました。また、日程が進むにつれ、候補生が訓練開始時刻7時前から集合してマットの水拭きをするようになるなど、訓練に対する意欲が向上していく姿も見られ、有意義な能力向上支援となりました。

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制圧技術の指導

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制圧技術の実演

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受け身の指導

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修了式

3 海上犯罪取締り訓練の実施に係る現状調査

法執行等現場対応能力向上及び指導者育成の支援を行うため、DCGとの海上犯罪取締り訓練の実施に係る現状調査・打ち合わせを行いました。DCG側より、過去に実施された海上犯罪取締り訓練のビデオ映像の説明を受け、今後の取り組みに係るイメージをつかむことができました。次回の渡航時には、短期専門家の指導により、海上犯罪取締り訓練を実施する予定です。その実現に向けた有意義な調査となりました。

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海上犯罪取締りについての調査

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立入検査・追跡についての説明