船外機整備指導官の育成

船外機整備研修(ベーシックコース)実施

2022年7月17日~21日、ジブチ沿岸警備隊(DCG)の船外機整備指導官候補生10名は、ジブチ市に拠点を置く船外機整備事業者の整備場において船外機整備研修(ベーシックコース)を受講し、船外機の基礎(2サイクル・4サイクルエンジンの特徴、ギア比、電流・電圧・抵抗の関係など)について学びました。

船外機とは、小型船に装着して用いるエンジンで、取り外しが可能な推進機関です。DCGは大型船だけでなく小型船もたくさん所有しています。これまでDCGでは、正しい知識に基づいて船外機を適切に整備できる人材が不足しており、通常の寿命よりも早く故障し、適切な修理ができず、使われずに倉庫に保管せざるを得なくなるケースが多発していました。そこで、船外機の主要メーカーの一つであるYAMAHAの承認を受けている同事業者に委託し、メーカーとしての正式な研修を行いました。

さらにベーシックコースを終えてから2か月後の9月13日には、同事業者指導の下、前回学んだ知識を活かして、今度はDCGの整備場で、彼らが実際に保有する船外機の定期整備に関するインハウストレーニングを実施しました。候補生達は疑問があると質問するなど意欲的に研修を受講し、船外機の整備に必要不可欠な基礎的知識を習得することができました。コースの最終日に行われたアチーブメントテストでは全員が合格点を取得。彼らの意欲が反映されています。

今後は、上級の研修を段階的に受講することで、彼ら自身が、DCGの船外機の整備維持管理を行うスタッフを育成し、本プロジェクトで得た知識や技術が後進に伝承され、DCGが保有する船外機が適切に整備され海上保安業務に使用されていくことを目指しています。

こぼれ話

船外機整備研修(ベーシックコース)はYAMAHAの承認を受けている委託業者の整備工場で行われました。ジブチで7月後半ともなれば、朝8時頃で気温35度、日中は40度を超えます。また、船外機エンジンの整備には砂埃は厳禁なため、閉め切った部屋の中での研修実施となりました。部屋の空調は扇風機のみで、部屋の上部に換気できる窓はあるものの、日頃から暑さに慣れているジブチ人といえども過酷な環境です。

船外機整備指導官候補生は適宜、水分補給をしながら、体調管理を心がけ、研修に臨んでいました。研修最終日は「お疲れ様」の意味を込めて、ジブチの伝統料理「カブリ」と呼ばれているヤギ肉料理が振る舞われ、参加者みんなで研修修了の喜びを分かち合いました。

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実際に使われている船外機

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修理できず保管されている船外機(これ以外にも多数あり)

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専用工具がないために修理ができない船外機

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講義の様子

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整備方法指導(船外機エンジン上部)

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整備方法指導(船外機エンジン下部)

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参加者による実践(工具の使い方)

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修了式

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休憩中のおやつ(委託業者より差し入れ)

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ジブチ伝統料理「カブリ」(ヤギ肉料理…研修生がお昼に行くレストランにて)