母子栄養サービス現状調査(SQA)結果を州郡と共有!(2022年11月)

プロジェクトのインパクト調査計画書の倫理審査通過に時間がかかり、実施が遅れていた母子栄養サービスの質の現状調査(SQA)は、2022年8月23日から9月2日にかけて実施されました。プロジェクトの本格的な活動が始まる前の調査で、ベースラインの一部にもなる調査です。パイロット地区であるガザ州ビレネ郡とシブト郡、ニアッサ州のマジュネ郡とムエンベ郡の全プライマリー保健施設を、訓練された州と郡の保健局技官(栄養、母子保健、コミュニティヘルス、リサーチ担当官)が調査者となってペアを組み、チームで巡回し調査しました。5月の研修から数か月経過してしまったため、実施前に再度オリエンテーションを各郡で行い、タブレットPCに組込んだアセスメントツールの使い方の復習や調査の流れ、チームごとの巡回スケジュールを確認した上で開始しました。アセスメントツールのチェック項目には、機材が「有・無」のような単純なものから、母子保健サービス提供中の保健従事者を観察してそのパフォーマンスを評価するものまで多岐に及んでおり、調査者にとっては大変な作業となりました。また、保健施設は郡内各所に点在しており、中には、郡の中心から190kmも離れた施設もあり、短期間に効率的な巡回を行うことは容易ではありませんでした。それぞれの保健施設の調査データは調査終了直後にインターネットを通してクラウドサーバーに蓄積されるしくみを作りました。こうすることでプロジェクトで調査の進捗状況をモニターすることができました。この蓄積されたデータを整理、分析し、その結果をガザ州の州と郡の保健局には11月21日、ニアッサ州には11月24日にそれぞれオンラインでフィードバックをしました。
今回の調査で明らかになったことは、母子栄養サービス提供に必要な機器が十分でないこと、体重、身長、上腕周囲径などの身体計測が正確にできていないこと、身体計測後のアセスメントとカウンセリングができていないこと、保健施設に紐づくコミュニティヘルスワーカーの監督指導がしっかりできていないことなどでした。州や郡の技官たちは、調査の結果はこれまで分かっていた状況でありつつも、数字で示されたことへの意義を評価していました。彼らからのコメントも結果に反映させ、報告書にまとめ、保健省および州のカウンターパートと共有しました。

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ニアッサ州マジュネ郡において、郡の医師、看護師、栄養士などの技官に対してSQA実施のためのオリエンテーションを再度実施(8月15日)

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ガザ州シブト郡において、産前健診実施を観察し、タブレットPCのアセスメントツールを使いながらサービスの質をチェックしている郡保健局の技官(左)(8月31日)