ゆっくりとした進捗、されどコミュニティ森林の境界の明確化に向けた着実な歩み

ストゥントレン州での活動に関しては、準国レベルの活動の成果だけでなく、国家レベルの活動の成果についても、JICAニュースで幾度か紹介してきました。 プロジェクトの月例会議において、同州内の活動はプロジェクト管理組織(PMU)メンバー間で深く議論され、すべての活動に対し議論の結果が反映されました。 また、年に一度開催される合同調整委員会の前には、PMUメンバーとともに、プロジェクトディレクター、プロジェクトマネージャーが活動評価のために活動現場を訪問しました。

そのため、レンジャー訓練やコミュニティ森林(CF)の活動はプロジェクト内外に周知され、状況が共有されるようになりました。活動には州政府の職員と保護地域のレンジャーだけでなく、CFメンバーの能力開発も含まれます。

そして今年の新たな話として、CFの1.4 ヘクタールにマチク(真竹)の植栽が挙げられます。プロジェクトからの支援により、コミュニティによって約 500 本のマチクの苗木が 1.4 ヘクタールの土地に植えられました。 CFが始まった当時、この土地は森に覆われていました(写真-6)。 しかし、農民によって他の用途のために伐開されました(すなわち、エンクローチメント/不法浸入です)。 この森林地帯は2021年末から2022年初めにかけて、一部の村民によって侵入され、CFメンバーのパトロールチームによって発見されました。 CF メンバーは地方自治体、村および集落(Commune)の首長、林業局の現場機関(カントンメント)に報告しました。 当局は加害者に接近し、活動の停止を要求するに至りました。 結果、この土地は、2023 年 8 月に CF メンバーと地元当局の立会いの下、土地使用者の同意を得て、最終的にコミュニティに返還されることとなりました。その後、コミュニティは、早期回復のためにここに今回のマチク(真竹)を植栽することに決定しました。

この国のコミュニティ森林地域は、境界がまだ現地で明確になっていません。 プノンタコンの場合でも、この地域は農林水産省の2015年11月4日付けの大臣令563号により、地理学的境界線が示された地図によりコミュニティ森林区域として宣言されてはいるものの、土地の登記はまだ終わっていません。 コミュニティ森林の求めに応じ、州森林局は土地登記に必要な書類を農業局を通じて州の土地管理局に提出していますが、CFの土地の国有地の土地登記の手続きが完了するまでにはまだ時間がかかります。

森林地帯の境界は、現場では簡単にはわかりません。 潜在的なエンクローチメントが見つかったとしても、通常の場合、決定的な証拠が時間通りに提供されることは容易ではありません。上記大臣令における542の境界のうち、物理的には、未だ150のコンクリート境界杭が設置されているに過ぎません。 このような状況のため、CF メンバーは、GPS を使用した電子地図で簡単に境界位置を表示できる携帯電話の地図アプリケーションを使用できるよう学習しました。 応用された技術は、明確な境界を設定するのに役立つに違いありません。

私たちプロジェクト関係者は、この1.4 ヘクタールのマチク(真竹)植林地は、違法侵入からCFに返還された土地の再生の好事例のひとつになってくれることを願っています。手続きには時間がかかり、他の人からみると時として非常にゆっくりとした動きのように見えますが、CFの土地を守り、土地登記を完了するための着実な一歩となります。

写真-1 プロジェクトダイレクターによるAnong Pheコミュニティ保護区の視察

写真-1 プロジェクトダイレクターによるAnong Pheコミュニティ保護区の視察

写真-2 新設CF境界柱の点検状況

写真-2 新設CF境界柱の点検状況

写真-3 違法に栽培されたキャッサバの間にマチク(真竹)を植える PTK CF のー活動

写真-3 違法に栽培されたキャッサバの間にマチク(真竹)を植える PTK CF のー活動

写真-4 マチク(真竹)植林の現場

写真-4 マチク(真竹)植林の現場

写真-5 CFメンバーによるデジタル地図アプリを用いた森林境界の特定

写真-5 CFメンバーによるデジタル地図アプリを用いた森林境界の特定

写真-6 マチクは最近蚕食された現場の中で植えられた(2021年8月(左)と2023年8月(右)の植栽現場ドローン画像)

写真-6 マチクは最近蚕食された現場の中で植えられた(2021年8月(左)と2023年8月(右)の植栽現場ドローン画像)