ハイデラバード研修(第3国研修)
Dhaka Metropolitan Police(DMP)の5名を対象に、2023年9月10日から9月16までインド国ハイデラバードにて第3国研修を実施しました。ハイデラバードは、インド中南部テランガーナ州の州都で近年、ITS (Intelligent Transportation System/高度道路交通システム) の導入など、道路交通マネジメントのスマート化に積極的に取り組むとともに、交通安全の向上を目指した活動が進んでいます。
訪問先と講義内容は、以下の通りです。
訪問先 | 受講・視察内容 |
インド工科大学ハイデラバード校(IIT-H) | 「ITSセンシング技術を活用した交通安全対策」及び「交通事故データ収集・分析」 |
ハイデラバード警察 | 交通管制センターの視察及び意見交換 |
ホンダインドが運営する交通公園 | 交通公園の運営・維持管理方法に関する講義、交通安全指導(横断歩道の渡り方、自転車の乗り方、バイク運転手初心者講習、反復違反者講習会)の視察 |
IBI Group | ハイデラバード市が導入した統合適応型交通信号制御システムの開発をした民間企業の視察 |
5名の研修参加者は、道路交通マネジメントとしては、統合適応型交通信号制御システム/Adaptive Traffic Signal Control Systemなど、ITを活用した交通管理をしている現場を視察したほか、交通事故分析の講義や交通公園における交通安全教育の現場も視察しました。
10月10日、研修参加者は、DMP交通部長であるAdditional Police Commissioner (Traffic), Md. Munibur Rahman氏に帰国報告を行い、ハイデラバードで得た知見をダッカ首都圏の交通マネジメントや交通安全の向上にどのように役立てるかについて、詳細な検討を行いました。
討議トピック | 討議概要 |
ITSの導入 | ・ダッカの道路は、速度の違う乗り物による混合交通である。すべて機械に判断を任せる完全自動化ではなく、ハイデラバードのようにITツール・システムは、あくまでも警察官の補助を行うものという思想のもと、警察官の感覚・思考などを大切にしながら交通管理の効率化を検討すべき。 ・現在、市役所がITS導入を所掌する計画であるが、官民連携で開発・導入し、将来、DMPに移管するよう提言する。 ・ダッカ首都圏では、道路の一部が、行商人などにより占拠されている。スマート化と並行して道路ユーザーの交通教育を行う必要性がある。 |
交通部独自のデータ収集・分析 | ・刑事部が所管する監視カメラは、交通部の監視したい場所をすべてカバーしていない。統合するのではなく、目的別にそれぞれ情報の蓄積・分析をする必要性がある。 ・交通事故・未遂事象が多発するブラック・スポットの特定のために交通部のデータを利用する。 |
交通公園 | ・交通教育、ドライバーの再教育などを実践的に行う場所確保の重要性。 |
関係者間の連携促進 | ・DMP、DNCC、DSCC、BRTA、DTCA、その他の関係者間の円滑な調整の必要性。 ・関係者間一丸となり包括的に交通安全意識掲揚をおこなうことの重要性。 |
Md. Munibur Rahman氏は、第三国研修で得た知識は、DMPの交通部門の能力を向上させ、ダッカ首都圏の交通を円滑にする上で役立つだろうと述べ、研修報告会出席者全員に感謝の意を表しました。
報告会の後、参加者は、DMP警視総監であるCommissioner of Police, DMP, Habibur Rahman氏に無事本研修を終え、帰国したことを報告しました。Habibur Rahman氏は、ダッカ首都圏の交通における研修生の今後の貢献に期待を表しました。
ITSセンシング技術活用に関する講義の様子
(IIT-H)
学部長表敬訪問の様子
(IIT-H)
Joint Commissioner (警視正相当) 表敬訪問の様子
(ハイデラバード警察本部)
交通管制センターの視察
(交通管制センター、2022年8月完成)
交通公園の運営に関する取組についての講義
(ホンダインド)
小学生に横断歩道の渡り方を指導する様子
(交通公園)
帰国報告会の様子
(DMP 本部、10月10日)
警視総監への記念品譲渡
(DMP本部、10月10日)