保健医療サービスの質向上と医療保険マネージメントに関する第2回タイ・ラオス相互訪問及び合同ワークショップ

2023年9月18日から22日にかけて、タイ国家医療保障機構(NHSO)及びラオス保健省(MOH)は、JICA技術協力プロジェクト「ラオス病院の保健医療サービスの質および財務管理改善プロジェクト(QHCF)」および「タイグローバルヘルスとユニバーサルヘルスカバレッジのためのパートナーシッププロジェクトフェーズ2(GLO+UHC2)」の支援の下、「保健医療サービスの質向上と医療保険マネージメントに関する第2回タイ・ラオス相互訪問及び合同ワークショップ」(以下、相互訪問等)を実施しました。

今回の相互訪問等は2022年12月にラオス側ヴィエンチャンとタイ側ウドンタニで実施した相互訪問等に続く2回目となり、ラオス側はラオス南部のチャンパサック県、タイ側はタイ東北部のウボンラチャタニ県で実施されました。今回の相互訪問等では、医療保険マネージメントのみならず、保健医療サービスの質についても焦点を当てて実施されました。

相互訪問等には、ラオスからはQHCFプロジェクト活動エリアの南部4県(チャンパサック県、サラワン県、セコン県、アッタプー県)の関係者に加え、ラオス保健省国家健康保険局(NHIB)を含むMOHの関連部局の担当官ら計30名、タイからはNHSO本部から2名、ウボンラチャタニに事務所を構えるNHSO第10地区関係者5名の合計7名、QHCF及びGLO+UHC2から日本人専門家他スタッフ、ラオス保健省政策アドバイザー、世界保健機関ラオス事務所の担当官らが参加しました。

相互訪問等の初日、参加者はラオス南部のチャンパサック県保健局を訪問し、ラオス南部の保健医療サービス提供状況や医療保険制度の概要について説明を受けました。その後、チャンパサック県立病院、郡病院、保健センターを訪問し、ラオスにおける保健医療サービス提供の実態や医療保険制度を視察しました。2日目は、チャンパサックからタイのウボンラチャタニに移動し、同地域でタイ・ラオス間のボーダーヘルス(Border Health)について重要な役割を担っているシリントーン郡病院を訪問し、郡レベルでの保健医療サービスの提供状況を視察し、ボーダーヘルスに対する理解を深めました。参加者は、保健システムの課題や両国間のボーダーヘルスの管理に係る課題について活発な意見交換を行いました。3日目には、ウボンラチャタニで、NHSO職員からタイのユニバーサルカバレッジスキーム(UCS)、UCSにおけるサービスの質管理、診療報酬の電子請求システム及び監査システムについての説明を受け、意見交換を行いました。UCSに関する基礎知識をもとに、参加者は4日目に県病院、5日目に保健センターを訪問し、医療施設における保健医療サービス提供や質管理の実際、UCSの運用の実際を視察しました。そして、最後のラップアップセッションでは、訪問内容を踏まえた活発な意見交換が行われました。

5日間の相互訪問等を通して、参加者はラオス・タイ両国の制度について理解を深めることが出来ました。参加者間及び視察受け入れ先関係者との議論を通じて、ラオス側参加者は今後のラオスでのシステム改善にむけた活動に重要な示唆を得ることができました。一方で、タイ側は、2030年までのユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)達成というグローバルアジェンダに向けて、タイのUHC達成と発展の経験をラオスをはじめとした第三国に伝えるための「UHCラーニングハブ」構想を計画していますが、今回の相互訪問等はハブの設置に向けたウボンラチャタニ関係者の能力強化に繋がりました。そして、本相互訪問等では、前回に引き続き、UHC推進に向けた日本・タイ・ラオスの更なる関係強化を図る事が出来ました。このことは本相互訪問等における最も重要な成果の一つであったといえます。今回の相互訪問等では、QHCFプロジェクトとGLO+UHC2とのJICAのネットワークを活用することで、UHC達成に向けた、より効果的かつ効率的な南南協力・三角協力を行うことができたと考えています。

GLO+UHC2は、本相互訪問等の成果が、今後も関係国の協力関係の強化や、関係国のUHCの更なる発展に貢献することを願っています。最後に、本相互訪問等の実現にご尽力いただいた関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

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