「子どもの健康的な食事」に関する日・タイ合同ワークショップ開催

2023年8月8日、タイ保健省、タイ国家医療保障機構(NHSO)、GLO+UHC2プロジェクトの共催で「子どもの健康的な食事」に関する日・タイ合同ワークショップをバンコクの会場とオンラインでのハイブリッド方式で開催しました。本ワークショップには、会場とオンラインで合計約90名が参加しました。

タイでは、2002年にNHSOが設立されたことにより、すべての人々が大きな金銭的負担をする事無く必要な保健医療サービスを受けることができるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)を達成しました。UHCの達成は、タイの人々の健康状態の維持・向上に大きく貢献していますが、近年、子どもの肥満や低栄養等の栄養不良に関する課題が顕在化してきており、社会の将来を担う子どもの栄養改善への投資は、タイのUHCの更なる発展と持続可能性を高めるために非常に重要な課題であると認識されるようになっています。

一方で、日本では100年以上にわたり栄養政策を展開しており、各時代の課題に合わせて栄養政策を発展させることで、日本人の栄養を改善し、世界一の長寿国となった経験があります。

このような背景のもと、本ワークショップは、1)子どもの健康的な食事に関する国際的潮流とUHCとの関係について理解を深め、2)日タイにおける栄養政策の現状、課題、取り組み、政策等を明確にし、3)日タイのUHCの発展・持続可能性を高めるための子どもの栄養政策について議論することを目的に実施されました。

ワークショップでは、まず子どもの健康的な食事に関する国際的潮流とUHCについて、GLO+UHC2プロジェクトより講演を行いました。続いて、子どもの健康的な食事に関する日タイの栄養政策の現状、課題、取り組み、政策等を明確にすることを目的に、タイ保健省Bureau of Nutrition, Department of Healthから「タイにおける子どもの健康敵な食事に関する栄養政策の現状、取り組み、課題」について、厚生労働省健康局健康課栄養指導室の担当官より「ライフコースアプローチによる誰一人取り残さない日本の栄養政策」についてご講演頂きました。さらに、NHSOのPrimary Care of Commissioning Clusterからは、「タイUHCにおける子どもの健康的な食事のための政策オプションと取り組みについて」をご講演頂きました。

これらの講演を踏まえて、ワークショップ最後のセッションでは、タイと日本のUHCの発展・持続可能性を高めるための子どもの栄養政策について、すべての講演者と参加者を交えたディスカッションを行いました。ディスカッションでは、タイ保健省Mother and Infant Division , Department of Healthの担当官がファシリテーターを務め、講演者及び参加者はそれぞれの国での経験を共有し、活発な議論を行いました。具体的には、タイでは食品に関する広告規制やいわゆる砂糖税(sugar-sweetened beverage taxation)の導入を含めた政策ツールで栄養対策を進めているのに対し、日本は栄養に関する人材を活用し集団のヘルスリテラシーを向上させるアプローチを取っている等の両国の政策の違いについての議論が行われたほか、タイ側からは日本の国民健康・栄養調査などに強い関心が寄せられ、エビデンスに基づいた政策立案の重要性、官民学連携の重要性についても、関係者一同で再認識されました。

本ワークショップは、UHC達成のための一つの重要な要素である子どもの栄養問題と健康的な食事について、タイと日本が経験と知識を共有する大変貴重な機会となったとともに、子どもの健康的な食事を推進するための政策について多くの議論を交わすことができました。

GLO+UHC2プロジェクトは、本ワークショップの成果が、タイと日本両国におけるUHCの維持・向上に重要な役割を果たし、そしてそれが世界の子どもたちのより健康的な未来と各国のUHC達成に貢献できることを切に願っています。

最後に、本ワークショップにご登壇頂いた講演者、ファシリテーター、会場またはオンラインでご参加頂いた皆様、そして本ワークショップの企画・運営・実施にご協力頂いた、保健省及びNHSO関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

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