子ども達の様子が変わり始めています

掃除や日直、朝の会等、日本では馴染みのある小学校の「特別活動」ですが、マレーシアの学校にはどのような活動がふさわしく、子ども達に馴染むのでしょうか?プロジェクトでは、マレーシアに適した活動を模索しつつパイロット校とともに試行を重ねてきたところ、各校で様々な活動が行われる様になり、子供たちの様子にも変化が見られ始めています。

現在、パイロット校では、学級会、朝の会、掃除や児童の作品の教室掲示といった活動が導入され、クラブ活動や学校行事にMAKMurの要素を取り入れる試みが始まっています。MAKMurの要素とは、特別活動を始めとする日本の全人教育の実践にヒントを得た教育的要素です。試みの一例を挙げると、従来のマレーシアの全校集会では、選ばれた児童のみが司会や他の児童の誘導などの役割を担っていましたが、現在、パイロット校ではその他の児童にもスピーチやダンスなどを披露する機会を与える試みが行われています。出し物も児童自身が考えています。また、児童がより能動的に学べるよう授業スタイルを各教員が工夫する取り組みも始まりました。

こうした活動は、今年の新学期開始時点ではあまり行われておらず、当時はMAKMur活動をあらゆる校内活動に拡げることに対して、先生方には戸惑いがあるように見られました。また、ある学校ではマレー語(国語)などの主要科目の授業において、教員から児童に向けた一方方向の指導に終始し、子供たちが自身の考えなどを表す機会が乏しい様子が認められていました。別の学校では、教室内に掲示板がないため作品の掲示ができない、掃除用具を置くロッカーがないなど設備の課題に直面していました。そこで、プロジェクトは各校の校長・副校長等と話し合い、学校に無理のない工夫によって実現可能な活動について話し合ったところ、各校で独自の工夫が見られるようになりました。例えば、子どもの作品を紐で吊るして展示する方法や、窓枠にフックを使って掃除用具を掛ける方法などが試されています。また、授業スタイルを工夫している学校では、英語の授業の中で「グループでパスタ作り」という活動を実施した学校もあります。これは、身近なテーマで一定期間継続的にグループワークをし、オリジナルレシピを英語でプレゼンすることを通じて、英語だけでなく、協調性や創造性なども身に付けることをねらったものです。さらに、一部の学校では、特別支援クラスの児童による清掃活動や保護者の参加など、我々の想定を超えた取り組みも始まりました。何よりも、子どもたちの様子が変わっていることが観察されています。例えば、あるパイロット校の就学前クラス(幼稚園)では、普段、他の子どもたちと一緒に学習することに困難を抱える児童が、集団で行う算数のゲームに進んで楽しく参加している様子が見られ、担当の先生から驚きと喜びの声があがっていました。

パイロット校からは、幅広い活動を実施することにより教員間の連絡や調整が密に行われるようになり、MAKMurが学校全体に変化をもたらしているとの声が聞こえています。本プロジェクトは学校文化に前向きな変化を与える取り組みであることが再認識され、今後はさらにMAKMur活動を導入する学校が増えていくことが期待されます。

教室での朝の会

教室での朝の会

教室掲示(子ども達自身で決めたクラスの「めあて」)

教室掲示(子ども達自身で決めたクラスの「めあて」)

全校集会でダンスを披露する児童

全校集会でダンスを披露する児童

授業における振り返りの様子

授業における振り返りの様子

学級会の書記をする児童

学級会の書記をする児童