研修棟の完成と活用

南スーダン都市水道公社に研修棟が建設されたことを受けて、2023年6月22日に開所式が開催されました。この研修棟は水道公社職員の能力向上と組織能力強化を図るため、本プロジェクトで建設を行いました。
施設内にはオンライン会議やプロジェクタ―を使用した研修が行えるセミナー室、実習や作業が行えるワークショップ室、7台のパソコンが設置されているパソコン室に加え、施設の管理を担当する人事部門の職務室が備えられています。また、建物の外には屋根が掛けられた作業スペースがあるなど、様々な用途に活用できる施設となっています。

開所式でJICA南スーダン事務所の田中所長は、「この研修棟が職員の能力向上に寄与し、住民への安全な水供給につながることを期待しています」とエールを送りました。
水道公社の総裁は、「これまでは職員の経験や知識、外部の研修で得た知見を他の職員に共有することができず、知識豊富な職員や外部研修を十分に活かすことができなかった。このような立派な施設を寄与してもらえたので、職員の能力の向上に存分に役立てていきたい」と感謝と意気込みを述べました。
研修棟が水道公社に引き渡され、早速オンラインで日本にいる専門家との会議や水道公社職員による研修が行われました。最初に行われた研修は浄水場を運転している職員を対象に、業務内容の確認や記録用紙の書き方について、リーダーとなる職員が説明を行いました。参加者は日常業務で感じている疑問や意見を交換し合い、研修だけではなく貴重なコミュニケーションの場としても活用されました。

水道公社では組織としての脆弱性や研修講師の不足などから、研修活動を継続的に行うのは難しいのが現状です。しかし、水道公社の総裁が開所式で述べたように、業務や活動を通して得られた実践的な経験や知識を職員同士が共有し相互に学ぶことで、職員の能力向上だけではなく全体的な組織力向上に繋がります。
本プロジェクトでは、必要な研修プログラムを計画するために、水道公社の人事部が中心となって各部署での聞き取り調査を実施しており、今後、水道公社職員が持つ知識や経験を活かした研修の実施を支援すると共に、専門家の持つ知識や技術を効果的に伝えられる研修を実施していけるよう取り組んでいきます。

完成した研修棟

完成した研修棟

開所式の参加者

開所式の参加者

施設見学会

施設見学会

職員同士で実施した研修

職員同士で実施した研修