保健省主導によるグラナダ県とリバス県保健管区の母子保健研修ファシリテーター養成

本プロジェクトが全国普及を目指す「家庭・地域保健モデル強化手法(母子保健)」では、第1ステップとして、保健省による“県保健管区レベルの母子保健研修ファシリテーター”の養成研修を実施します。ここで養成されたファシリテーターが、第2ステップで、自身の同僚のほか、県保健管区が管轄する各市支所の母子保健担当職員に対して“市支所レベルの研修ファシリテーター”養成研修を行います。そして、この研修受講者が、第3(最終)ステップとして、市支所の同僚、および各市支所が管轄する保健所・保健センターの医療従事者に対して、母子保健サービス強化のための研修を実施します。このように段階的にファシリテーターを養成していく方式を、「カスケード研修」と言います。

保健省は、2022年12月にマサヤ県とカラソ県の各保健管区において、この家庭・地域保健モデル強化手法(母子保健)のカスケード研修を開始しました。そして2023年3月中に、2県とも第3ステップまでの研修を完了しました。プロジェクトの研修では、講義のテーマごとに事前・事後テストを実施しています。研修前にはあいまいだった参加者の理解が、講義や質疑応答などを通じて確かなものとなっていることが、このテストの結果に現れます。また「研修での学びが実務に活用されているか?」については、保健管区と市支所の担当者が研修後のモニタリングでチェックし、必要に応じてフォローアップをしていきます。この国家保健モデルの強化手法の導入により、パイロット保健管区では母子保健サービスの向上に必要な保健医療人材の知識と実践能力の強化が進んでおり、保健省は、同手法は他の県保健管区にも拡大できると判断しました。

今回、グラナダ県とリバス県保健管区に新たに設立された母子保健委員会のメンバー16名を対象に、第1ステップの研修が、6月16日(金)、20日(火)、21日(水)の日程で実施されました。講師は、2022年12月と同様に、保健省の家庭・地域保健モデル課の課長と中央レベルの母子保健委員会のメンバー4名が務めました。講師らは、初回の研修の経験と反省点を元に、受講者たちが確実に理解できるよう、研修教材を改訂したほか、解説に使う用語の難易度を慎重に見直すなどの事前準備ののち、講義に臨みました。

ファシリテーターの役割や研修全体の進め方といった、導入部分のテーマに続き、妊娠合併症や妊産婦・新生児ケア等、母子保健サービスに必要な専門基礎知識強化に進み、「家庭・地域保健チーム」の基本的活動、感染症予防、患者の緊急搬送、ヘルスプロモーションなど、プライマリー・ヘルス・ケアを展開する上で、全ての分野で共通して必要となる講義が行われました。

今回からは、保健省がプロジェクトの日本人専門家やテクニカル・アシスタントの支援に頼らず、自ら主導して「家庭・地域保健モデル強化手法」を実践していくプロセスになります。

参加者には、研修テキスト(印刷版とデジタル版)セットのほか、研修プログラムと各テーマの事前・事後テスト、その他、改訂された教材が配布されました。

今後、第2、第3ステップへと進んでいく予定です。

研修会場(リバス県保健管区講堂)様子

研修会場(リバス県保健管区講堂)様子

事前・事後テストに取り組む参加者

事前・事後テストに取り組む参加者