種子調達改善に向けたパイロット活動(2024年1月)

バリューチェーン分析調査の結果、園芸作物の種子は近年の経済危機に伴う通貨安によって価格が高騰しているのみならず、パッケージが同じでも品質が低下しており、農民は粗悪な種子を掴まされるケースが多々発生していることが明らかになりました。

そこでプロジェクトでは、サプライチェーンアクションプランのひとつとして、農民が適正な価格で高品質の種子を購入するメカニズムを確立することを目的に、各地域の普及員が主体となり、種子元売業者と農民グループを直接結び付ける「種子販売会」を実施しました。

「種子販売会」は、種子元売業者と農民グループに、それぞれ次のようなメリットをもたらすことが期待されています。

  • 種子元売業者:農民グループに対して、まとまった量の種子を一度に販売できる。つまり、種子元売業者が村まで訪問して通常の小売価格より安い価格で販売しても、種子小売業者経由で販売する場合に比べて同等かそれ以上の利益を得ることができる。
  • 農民グループ:グループとして纏まった量を購入することにより、価格交渉力が生まれ、市場価格より安く購入できる。種子小売業者からは入手しにくい、あるいは品質の悪い種子も、品質のよい状態で購入できる。

プロジェクトでは、行政サービスの一環として農民が入手する種子の品質を保証することを目的に、「種子販売会」で取引される種子の一部をサンプルとして収集し、政府の種子認証機関に「種子認証サービス」を委託し品質検査を行いました。サンプル調査の結果、「種子販売会」にて種子元売業者から農民グループに販売された種子はすべて高品質であることが確認されています。

以上のとおり、プロジェクトを通じて、普及員が種子元売業者と農民グループを結び付けることで、農民は高品質の種子を市場価格より安い価格で購入できることが明らかとなりました。今後は、普及員がプロジェクト対象農民に対する同活動の継続を支援するとともに、広く普及員の管轄する地域の農民も参加できるよう、「種子販売会」の活動拡大を支援していきたいと思います。

「種子販売会」で栽培方法を指導する普及員 (Udawela、NuwaraEliya)

「種子販売会」で栽培方法を指導する普及員
(Udawela、NuwaraEliya)

種子販売業者から農民に手渡される種芋 (Haputhalegama、Badulla)

種子販売業者から農民に手渡される種芋
(Haputhalegama、Badulla)