栽培指導(2024年3月)

2024年3月、SHEPステップ4(農家による技術習得)の活動として、専門家チームは普及員とともに、対象3県の各農家グループに設置された展示圃場のモニタリング及び栽培指導を行いました。
2023年後半より異常気象による長雨が続き、多くの県で農家が影響を受けました。そのため、栽培途中で栽培を断念せざるを得ない農家や、栽培できても収穫量が大幅に減った農家が出るなど、厳しい状況が続きました。2024年3月に入り、ようやく雨が小康状態になり、農家が新たに栽培を開始したところです。
当初13作物(トマト、ナス、キュウリ、甘唐辛子、唐辛子、インゲン、オクラ、ヘビウリ、キャベツ、ニンジン、ジャガイモ、リーキ、カキリ)の展示圃場が予定されていましたが、地域によっては予定した時期での播種や定植、あるいは栽培自体を断念せざるを得ませんでした。下記の表は各対象村での展示圃場作物を示しています。

表:各県各村の展示圃場と作物名

表:各県各村の展示圃場と作物名

写真①のヘティポラ村のトマト展示圃場では、降り続く雨で殺菌剤も効かず、ほとんどのトマトがトマト萎凋病に感染しほぼ全滅となってしまいました。また写真②のパティポラ村のリーキは、定植したものの雨で腐り、植え直しを迫られていました。また継続的な雨で土壌が酸性に傾き、微量要素の欠乏も見られました。
しかしこうした異常気象があったにも拘らず、新技術の導入により収量や収益を伸ばした農家もいます。写真③のアディカリプラ村のキュウリ農家は、新しくA型支柱を導入したことで洪水への抵抗性が増し、収量が増加しました。写真④のアンガンムワ村のヘビウリ農家は、トレリス型支柱を導入し、初めての野菜栽培にも拘らず収量も多く、収益が今までの稲作の面積当たり収入の4倍にもなりました。
3月に入りようやく播種し、これから楽しみな展示圃場もあります。パティポラ村、マゴダ村では、ニンジン種子のばら播きから条播き(筋播き)に変えて、播種した種子の量を半分にすることが出来ました。除草や追肥も容易になるため、経費削減かつ揃った品質のニンジンの収穫ができそうです。

写真① トマトのモニタリングと栽培指導(Hettipola、Badulla)

写真① トマトのモニタリングと栽培指導
(Hettipola、Badulla)

写真② 普及員によるリーキのモニタリングと栽培指導(Pattipola、NuwaraEliya)

写真② 普及員によるリーキのモニタリングと栽培指導
(Pattipola、NuwaraEliya)

写真③ A型支柱を導入したキュウリのデモ圃場(Adhikaripura、Anuradhapura)

写真③ A型支柱を導入したキュウリのデモ圃場
(Adhikaripura、Anuradhapura)

写真④ 普及員による農家向けヘビウリ支柱の技術指導(Angamuwa、Anuradhapura)

写真④ 普及員による農家向けヘビウリ支柱の技術指導
(Angamuwa、Anuradhapura)