パンジャブ州保健局職員対象の保健行政強化のための研修(2023年12月)

現在進行中の技術協力プロジェクト 「パンジャブ州における妊産婦・新生児保健の強化」の一環として、2023年12月4日から8日までの5日間、パンジャブ州の一次・二次保健医療局職員10名が日本を訪れ、包括的な保健行政強化のための研修を受けました。この研修は、日本の妊産婦・小児保健医療サービスの経験や実践を学ぶことで、パンジャブ州の保健行政に活かすことを目的としています。

研修の前半では、JICA東京国際センターで、東京大学や帝京大学などの専門家による講義を通じ、日本の過去および現在の保健医療制度を学びました。
参加者たちは、母子保健の指標、提供されるさまざまなサービス、効果的な公衆衛生介入や支援立法によって達成された歴史的な達成事項などを包括的に学びました。
特に、栄養政策と母子健康手帳がもたらした大きな影響は日本独自の成功事例であり、母子健康手帳の革新的な活用について、様々な国で掘り下げられ、現地の文化的背景のニュアンスに沿ったJICAの支援が成功した事例が紹介され、参加者の興味を引きました。

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研修の後半では、東京都内と多摩地域の保健所、市町村保健福祉センター、病院、助産院などを実際に訪問し、現地の管理者や保健医療従事者との有意義な交流が促進され、母子保健サービスを直接体験し、研修全体がより充実したものとなりました。参加者は、切れ目ない保健医療と統合的なアプローチを重視する日本の「ケアの連続性」について見識を深めました。

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研修最終日の参加者の発表からは、社会変革を推進し、母子保健の指標を向上させるために役立ってきた変革的戦略であるポジティブ・デビアンス(片隅の成功者:他の人たちと同じような困難を抱えていて、資源に恵まれているわけでもないのに、他とは違っためずらしい行動をすることで、問題を解決している人)についてや、日本のトップダウン的な立法措置、法律、規則、医療インフラと、ボトムアップ的なボランティア、普及員、地域社会の歴史的な貢献等が、現在の母子保健状況を達成するために不可欠な役割を果たしたことが、参加者内で確認されました。

パンジャブ州一次・二次保健医療局は、住民のための母子保健サービスの質の向上に積極的に取り組んでいます。基本保健ユニットを24時間365日体制で熟練分娩介助者立ち会いの出産を促進するため、人材の配置、技術の向上、地方の救急車サービスの増強などに取り組んでいます。さらに同局は、すべての医療施設に電子カルテのシステムを導入し、医療情報の統合に積極的に取り組んでいます。参加者が今回の保健行政研修での学びを活かし、現地での活動に取り組んで行くことが期待されています。

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