マザー・ガラ(お母さんの日):保健啓発イベント

レディ・ヘルス・ワーカー未配置の地域への啓発活動

プロジェクトが技術支援をしているパンジャブ州保健局は、母子の健康を守るために、住民へ4回以上の産前健診を受けることや、施設分娩を勧めています。ほとんど全ての村には基礎保健ユニット(BHU)があり、住民はそれらの保健施設に行けば、施設の助産師であるレディヘルスビジター(LHV)から産前健診や24時間の分娩介助などの公的母子保健サービスを受けることができます。
レディヘルスワーカー(LHW)は住民の一番近くで地域母子保健活動をする公的人材であり、受け持ち世帯への家庭訪問や健康教室を行います。ところが、プロジェクトを展開中のパンジャブ州の約3割の地域はLHWが配置されていません。LHW未配置の地域の住民は、残念ながらLHWによる、健康情報や公的保健医療情報が住民に伝わりにくいため、住民の健康が損われているという課題を抱えています。

そこで、パンジャブ保健局とプロジェクトは、プロジェクト対象地域の3つの郡(テシル)の中で、LHWの配置が最も低い村(ユニオン・カウンシル)をそれぞれ5村選定し、計15村で啓発活動を行いました。啓発活動は2023年7月から12月にかけて、各村落で男女別の健康啓発セッション(5歳未満の子どもの栄養スクリーニングを同時実施)、郡と村の有力者(首長、宗教リーダー、教育者等)の合意形成会議である、ヘルス・パンチャヤット、母のための祭り(マザー・ガラ)などを実施しました。
これらの活動の中で、特にマザー・ガラは、農業と家事で毎日忙しい母親たちに、短い時間でも楽しく過ごしてもらいたいという趣旨のもと、1日のイベントとして開催されました。教育と娯楽の融合により、住民が楽しみながら健康情報を身に付けられる工夫がされ、約500人が集うほどの大盛況となりました。日よけのための大きなテントの中に、様々な健康に関するブースを設置し、経口補水液の作り方や遠隔診断の紹介なども官民連携で行われました。中央のステージでは、健康啓発の重要性を訴える歌や寸劇が披露され、母親の妊娠期から子どもが2歳になるまでの栄養の重要性に関する「人生最初の1000日」クイズも参加型で実施され、多くの人が楽しみました。

以上の一連のLHW未配置地域での啓発活動により、以下の効果を得ました。
1) 住民が受けられる公的保健サービスの周知率が低かったが、住民は村落救急車サービスや24時間施設分娩、産前健診などについて、知ることができた。
2) 子どもの栄養スクリーニングを実施する事によって、保護者が実際栄養の足りていないことを認識し、栄養不良の早期発見、対策が重要であるとの栄養に関する意識が向上した。
3) 地域リーダー・有力者を巻き込み、健康情報の共有と必要性の合意がなされ、地域で家族の健康を守ることへのコミットメントが得られた。

今後も、パンジャブ州保健局とともに、地域の既存の人材による、実施可能な啓発方法を共に検討していきます。

【画像】

女性向け啓発活動

【画像】

男性向け啓発活動

【画像】

栄養スクリーニング

【画像】

母のための祭り(マザー・ガラ)