機材供与とそれに対する相手国政府主体の超音波診断機の診断研修

プロジェクトでは、成果のひとつとして「施設での妊産婦、新生児に対する保健医療サービスが強化されること」を掲げています。カウンターパートであるパンジャブ州保健局は配下の分娩を執り行う施設の必要機材を定めて配置に努めていますが、予算措置が困難なため不足しています。プロジェクトでは協議を重ね、州保健局を支援し、プロジェクト対象地域の57か所の基礎保健施設(BHU: Basic Health Unit)での24時間施設分娩や産前・産後健診を強化するために、必須機材の供与と施設の限定的な修繕を行いました。

供与した機材は以下の通りです。

  • 超音波診断装置(エコー):計52か所
    胎児の健康状態を把握し、合併症の早期発見に役立ちます。
  • 基本的な必須医療機材15点:計57か所
    分娩台、血圧計、聴診器、体温計、パーテーションなど。
  • 限定的な修繕工事:計57か所
    分娩室の壁の塗装、カーテンの取り付け、床タイルの改修、トイレの改修等を行い、プライバシーの保護と清潔を保ちます。

これらの機材の供与と分娩室の修繕により、BHUにおける分娩室の環境が改善され、妊産婦がアクセスできるBHUで、より安全で快適な出産環境が提供されることが期待されています。

この機材供与に関し、特筆すべき動きがカウンターパート側にあったことをご紹介します。
ベハリ県のMailsi郡では、県保健局の主導により、郡病院の医師による女性保健訪問員(LHV: Lady Health Visitor、2年間程度の教育を受けた施設助産師)へのエコー研修が自主的に実施され、54人のLHVがこの研修を受けました。プロジェクトでは、こうしたカウンターパート側の自助努力による取り組みを後押しするとともに、ムルタン県とカネワル県でも同様の研修実施を県保健局に促しています。さらに、州や県レベルでのカウンターパート側の自助努力による取り組みを積極的に支援し、母子保健分野での地域医療体制を強化していきます。 

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修繕前のムルタン県のBHU。

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修繕後。トイレと床を補修、全体が塗装され、カーテンが取り付けられました。

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納入された超音波検査装置。

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超音波装置を相手国政府に譲渡しました。