Nam Dinh農業高校の学生が日系農業企業を視察しました(2024年3月14日~15日)

プロジェクトのカウンターパートであるNAEC(National Agriculture Extension Center、国家農業普及センター)は、Nam Dinh農業高校の日系農業企業視察を企画・支援しました。今回、NAECが調整した視察先は、高原の気候を生かした野菜や果樹・茶の生産地としても有名なMoc Chau市にある日系農業企業で、Nam Dinh農業高校から42名の学生と8名の教職員に加え、ソンラ省のPPMU(Provincial Project Management Unit)メンバーやプロジェクト対象農協の代表が参加しました。

Nam Dinh農業高校は、農業技術科目を履修しながら高校卒業資格を取得可能なベトナム初の公立学校です。日本の農業高校を参考にした教育を行っており、日本への進学と就職を目指す生徒の割合は半数を超え、今回の日系農業企業の視察を心待ちにしていました。

初日に訪問したのは「ニコニコ野菜」という企業です。同社は10年以上前にベトナム中部高原に位置するDak Lak省に農場を立ち上げ、無農薬無化学肥料を使った野菜を栽培し、ホーチミン市など都市部に無農薬野菜の販売を行っています。視察に参加した生徒と教員は、Moc Chauの農場で自然栽培の考え方について講義を受けた後、春のよもぎ新芽から天恵緑汁を仕込む方法を学びました。講義後、同社の代表から農業高校とNAECに自然栽培に関する教本が進呈されました。

視察2日目は、日本の大手種苗会社である「タキイ種苗」の種子生産農場を訪問しました。同社スタッフから入場時の留意点、特に手足の消毒徹底と病害管理の大切さについて説明を受けました。同行したソンラ省農業普及センター職員や農業高校教員にとっても衛生管理・作業工程管理等を学ぶ貴重な機会となりました。交配種子の生産には雌株の花粉除去など繊細かつ正確な作業が求められますが、「ベトナムの人々の器用さには目を見張ります」という同社代表の説明が印象的でした。

最後に訪れた「佐藤園」は静岡を代表する企業で、茶葉の生産から製茶とサプリメント商品までを自社開発しネット直販するという稀な会社です。Moc Chauで生産された緑茶や抹茶は主に台湾や中東に向けて輸出されています。農業高校の生徒にとっては巨大な製茶生産ラインが並ぶ工場、管理が徹底された日本式茶園など、全てが初めて目にしたものでしたが日本とベトナムに共通する茶の文化に親しみを感じたのか、ご家族へのお土産にお茶を買い求めていました。

Nam Dinh農業高校は、農業教育を含む産業人材育成に係る実践的な教育カリキュラムを試験的に組んでいる公立学校であり、今年9月から南部の学校を含め3校でも同様の取り組みを開始することが決まっています。2021年の開校以来Nam Dinh農業高校が積み重ねてきた取り組みは、教育カリキュラムの改訂や教員育成に生かされることが期待されています。各日本企業からは「ベトナムでも農業にかかわる若年層が急激に減るなか、このような教育プログラムが広がることが日越双方にとって重要な意味を持つ」という意見が寄せられました。

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熊本でトマトの有機栽培を学んだスタッフから説明を受ける。 (ニコニコ野菜)

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事前に作った天恵緑汁を味見する生徒。(ニコニコ野菜)

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視察企業前にて集合写真
(タキイ種苗 )

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NAECから企業の代表へ御礼の挨拶
(タキイ種苗 )

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かぶせ茶園の視察(佐藤園)

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視察企業前にて集合写真
(佐藤園)