安全管理システム基礎訓練の実施

2015年6月16日

プロジェクトの成果2に掲げる「DCAのPBN飛行方式の導入・実施に係る能力が向上する」に関連する活動として、2015年5月、飛行方式設計者に対する「安全管理システム基礎訓練」を実施しました。

安全管理システムは英語でSafety Management System(以下SMS)といいます。ICAO(国際民間航空機関)が定める標準及び勧告方式(SARPs)の付属書19として近年、発行され、ICAO加盟国各国がその導入を進めています。これは、航空交通に係る人々全員に対して、安全に関する意識改革、組織改革を求めるもので、継続的、かつ組織的に安全性の向上を求めるものとなっています。

PBNなど新たな飛行方式が導入される前にも、SMSの手法に沿って設定される方式が安全であるか否かを評価する「安全性評価」の実施が求められています。そのためには「安全管理システム」の基礎素養が必要であり、SMSの概要を理解するためにフィリピン民間航空局(注)より講師を招聘し基礎訓練を実施しました。当初は、参加者であるミャンマー民間航空局(DCA)職員からも「危険やリスクをどのように抽出するのか?」というSMS独特の考え方、手法に戸惑っていましたが、ワークショップを何度か繰り返すことで、SMSを体系的に理解できるところまで達成できました。

【画像】

方式設計者に対するSMS基礎訓練の様子

加えて、DCA全体にとってもSMSの導入は喫緊の課題であるため、フィリピン民間航空局での導入経緯、手順、手法などについて、DCA管制部のSMS の導入責任者、管理職などを交えて意見交換会を実施しました。SMSの導入は職員一人ひとりの安全意識、組織的な改革などを段階的に進めていくため非常に時間がかかります。フィリピンでも数年を要したこと、フィリピンにおける新組織図などの事例、担当者の育成にかかるポイントなどについて意見交換を行いました。

【画像】

DCA管制部との意見交換会の様子

方式設計者については、今年9月に安全性評価にかかる訓練を予定しており、その前段階として基礎知識を定着できました。また、ミャンマー民間航空局のマネジメントにとっても、SMSの立ち上げは重要であり、フィリピンにおけるSMS導入実績にかかる情報を共有することができ、非常に有意義なものとなりました。

(注)JICAでは2009年〜2014年にかけて実施した「フィリピン国航空航法システム安全性・効性向上プロジェクト」によりSMSの立ち上げに係る支援を実施しています。プロジェクトでは、フィリピン民間航空局によるSMS基礎訓練の実施やSMS導入の経緯にかかる情報共有は、ミャンマー民間航空局にとっても参考になる点が多いことからフィリピン民間航空局より講師を招聘しています。