台風ヨランダ復興の経験と成果を世界へ−地方と首都で発表会−

2016年2月29日

2016年2月で、台風ヨランダ災害緊急復旧・復興プロジェクトの開始から2年が経過しました。台風被害から立ち上がり、今日まで復興に取り組んできた現地の人々の復興の経験と成果のフォーラム(発表会)が2月9日、台風ヨランダ被災地かつ本プロジェクト支援対象地域であるLeyte州Palo町で、2月11日には首都マニラでそれぞれ開催されました。参加者は、自治体、中央省庁、漁業、食品加工組合などの代表者などです。
フォーラムのタイトルは、フィリピン関係者が提案した「Roadmap to sustainability(持続性に向けた指針」です。プロジェクト終了後も、現地の人々が持続して「Build Back Better(よりよい復興)」に取り組むことを意識したものです。

【画像】

フォーラムの様子(Leyte州Palo町)

【画像】

Leyte州知事の挨拶

フォーラムのプログラムは、本プロジェクトの重点支援項目である、災害に強い街づくりを目指した包括的土地利用計画改訂、避難計画策定、クイックインパクト事業の3つに分かれています。それぞれのセッションでは、自治体、技能訓練や漁業推進などを主管する国の出先機関、漁業や食品加工組合などの代表者が復興の取り組みや成果を発表しました。本プロジェクトでは、台風ヨランダで最も被害をもたらした高潮などを想定したハザードマップを作成し、自治体など広く復興関係者に提供しました。プロジェクトの実施にあたっては、自治体関係者などへのハザード及びハザードマップの理解促進が基礎になっています。本プロジェクト関係者が開始当初から現地関係者に助言してきた重要な点です。

【画像】

ハザードマップの理解促進

【画像】

自治体による土地利用計画の発表

本プロジェクトの支援により、自治体関係者などが高潮・洪水を想定したハザードマップと災害シミュレーションを理解し、同マップを活用した包括的土地利用計画改訂と避難計画を策定しました。クイックインパクトプロジェクトでは、台風に強い校舎建設を通じた人材育成、技能訓練校のカリキュラムと教材改訂、生計手段を失った漁業・食品加工グループなどの組合設立、及び技術支援を行ってきました。プロジェクトでは、これらの活動の随所に日本の東日本大震災からの復興経験を導入し、現地適用化を図ってきました。自然災害の多い国同士の効果的な協力を目指したものです。

【画像】

ミルクフィッシュ養殖と加工

【画像】

日本人職人による屋根工指導

フォーラムのスピーチでは、JICA加藤理事が4つのキーワードを示し、これまでの協力の総括とフィリピン関係者に持続可能な復興に向けたメッセージを発信しました。1つ目は「Respect」:過去の台風被害を乗り越え、今日まで真摯に復興に取り組まれた尽力への敬意。2つ目「Pride」:今日までに達成した復興成果への誇り。3つ目「Hope」:台風ヨランダからの復興経験と成果を域外・世界へ発信し、復興への希望を共有すること。4つ目「Gratitude」:復興支援の過程で、プロジェクト関係者もフィリピンの人々から多くを学んだこと。台風ヨランダ災害の復興支援にこれまで関わることができたことへの感謝の意を表しました。これらのメッセージはフォーラム参加者から引用されるなど、持続可能な復興に向け、現地関係者の心に残るメッセージになったようです。

【画像】

加藤理事からのメッセージ

【画像】

フィリピン関係者からプロジェクトへの謝辞

3月12日の仙台防災フォーラムでは、自治体代表者が本プロジェクトなどでの復興の取り組みと成果を発表します。台風ヨランダ被災地の人々の明るさとエネルギーから、私たちプロジェクト関係者はどれだけ勇気と元気をいただいたことでしょう。フィリピンの他地域や世界の災害を受けやすい国々に自らの復興の経験と成果を発信し、災害経験を風化させないこと、継続して復興に取り組むことを信じています。