募集広報・採用選考に関して

ex 政府系金融機関

“社会的意義のある金融”……
その実現に
貢献できることの喜び

小林 将也Masaya KOBAYASHI
ベトナム事務所
2014年 経済学部卒業/2017年 JICA入構

キャリアの沿革

2014年、経済学部卒業後、主に中小企業金融を手掛ける政府系金融機関に就職。仙台支店の配属となり、法人営業として100社前後の企業を担当。東日本大震災からの復興を目指すさまざまな企業に対し、設備投資資金の融資、資金繰り支援、経営改善指導等に携わる。2017年、JICA入構。東南アジア・大洋州部東南アジア第一課の配属となり、主にインドネシアにおける鉄道・港湾・都市開発分野における円借款の形成に従事。2019年からはベトナム駐在となり、経済・金融分野における技術協力、海外投融資事業等を担当する。

金融機関での業務に携わる中で
兆した思いに動かされて

2017年に社会人採用でJICAに入構し、東南アジア・大洋州部に配属されましたが、当時担当した案件に、インドネシア、ジャカルタMRT(都市鉄道)建設のための円借款形成がありました。ジャカルタMRTは2019年に開業し、視察を兼ねて私も乗車しましたが、列車が地下から地上に姿を現す瞬間、乗客たちから一斉に歓声が上がるんですね。あの時は本当に、自分の仕事がインドネシアの方々の暮らしの向上に貢献することができたんだという実感が込み上げてきましたし、JICAの事業のインパクト、社会的意義の大きさを肌で感じることができた瞬間でした。

2014年に大学を卒業し、主に中小企業金融を手掛ける政府系金融機関に就職しましたが、その頃考えていたのは、金融の力で日本の技術力を支援し、社会課題の解決に貢献したいということでした。幸いにしてと言うべきか、配属されたのは東日本大震災からの復興に取り組む東北エリアの支店で、復興途上にある中小企業の設備投資融資、資金繰り支援、経営改善支援等に取り組む中で、金融の社会的意義を果たしながら、震災からの復興という大きな社会課題の解決に貢献できているという喜びも感じることができました。とりわけ、機械工具の卸売り販売を手掛ける企業さんや木炭の輸入販売を行っている企業さんの経営者の方々と共に、海外の提携先候補視察のために出張し、海外展開/事業拡大のための融資を実行できたことなどは、現在でも非常に印象深く記憶している仕事です。しかし、復興需要が一巡して地域の資金需要が減退し始め、同時期に日銀による異次元緩和・マイナス金利政策が導入されたことによって、特に地方都市においては、銀行間の過当競争、オーバーバンキングの状況が顕在化してくるようになりました。本来、私が勤務していた政府系金融機関は、経済有事の際に中小企業にリスクマネーを供給するような、金融的なセイフティネットの役割を担うべき存在でもありますが、こうした状況の中で市中銀行との徒な金利競争に巻き込まれ、本来の存在意義を見失っているのではないか、と感じる局面にもしばしば出くわすようになりました。その一方で、真摯に復興や町おこしに取り組む若い起業家、新興企業には、財務基盤が脆弱であるが故に資金を提供することができない……そうしたジレンマの中で胸のうちに根差すようになったのが、やはり自分は、“社会的意義のある金融”に携わりたいのだ、という思いだったのです。

金融という軸を持ちながら、
幅広く社会課題の解決を担える
人材を目指して

JICAの社会人採用募集告知を目にして先ず考えたことも、やはり「ここであれば、“社会的意義のある金融”に取り組むことができるのではないか」ということでした。当時、円借款や海外投融資に関して十分な知識を持っていたわけではありませんが、開発途上国における課題解決を自明のミッションとしているJICAが有する金融機能とは即ち、“社会的意義のある金融”に他ならないのではないかと考えたのです。そしてそれは、間違ってはいませんでした。

先にも触れた通り、JICA入構以降は先ず、インドネシア、マレーシアにおける交通・港湾インフラ開発等に関する円借款事業に携わりましたが、そのスケール、社会的インパクトの大きさには、少なからずカルチャーショックを覚えたというのが正直なところです。前職で担当した融資案件は1件当たり数千万〜最大1億円規模でしたが、いきなり100億、1000億といった金額を扱うようになり、しかも、日経新聞等に採りあげられるような国家的なプロジェクトも多い。また、国家政策の上流部分を踏まえたパッケージ型の事業展開によって都市インフラ開発を実現できるため、目に見える形で、途上国経済に開発効果をもたらすことができる。まさに、“社会的意義のある金融”の一つの形がここにあることを実感できるものだったと言えます。

現在はベトナム、ハノイに駐在し、経済政策、海外投融資の分野総括としてさまざまな事業を推進しています。ベトナムは共産主義体制の国ではありますが、1986年にドイモイ(刷新)政策を表明して以降、大胆に市場経済を導入する路線に舵を切り、今や世界中から有力企業の投資が集まるアジア有数の新興市場となっています。そして、今、私が担当している技術協力事業は、経済・金融分野においてさらなるグローバルスタンダードな環境を整えていくためのガバナンス構築がテーマ。株式市場の公平性・透明性の向上、国際財務報告基準(IFRS)に準拠した会計制度の導入、中央銀行の能力強化といったテーマについて、日本の知見・経験に基づいたさまざまな協力を行っていますが、これらはまさに、ベトナムの“国創り”の根幹に関わる長期的な視点を持った事業であると言えます。こうした、途上国の未来に貢献する本当に意義深い仕事に携わることができる喜びを、日々感じながら仕事に取り組んでいます。

金融機関の出身ということもあり、JICAにおけるこれからの自分のキャリアとしてもやはり、“金融”という軸を一つ持っていたいということは考えています。金融×都市開発、金融×運輸交通といった形で、ファイナンスという軸を根幹に持ちながら、幅広く社会課題の解決にアプローチしていける人材を目指していきたい。そしてそれが、JICAが手掛ける“社会的意義のある金融”の進化・発展に貢献できるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。

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