株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル開発途上国支援に情熱を
開発コンサルタントとJICA海外協力隊の親和性

  • グローバル人材の育成・確保

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルは、1957年の創業以来、世界の人々の生活を支える社会インフラ基盤事業などを通して、豊富な海外業務経験とネットワークを活かしながら社会課題の解決に貢献する、世界トップクラスのコンサルタントだ。開発途上国の発展のための仕事であり、JICA海外協力隊との親和性も高いことから、現在50名を超える協力隊経験者が在籍している。さまざまな部署で働く協力隊経験者社員たちについて、総務部長の杉林亮さんに話を伺った。

協力隊経験者50名以上が所属
泥臭い現場でも根気強い仕事ぶり

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバルは、これまで世界150ケ国以上、3000以上のプロジェクトに従事してきた総合開発コンサルタントです。あらゆるタイプの開発において、投資前調査から計画、設計、入札支援、施工監理、維持管理、プロジェクトマネジメント、事業運営まで包括的なサービスを提供しています。

「文化を、未来を、笑顔を創る」をモットーに、より安全で豊かな明日を目指し、運輸交通、エネルギー、建築などのインフラ開発を通してその国の未来を創るほか、環境・コミュニティ・防災・観光などあらゆる面から国の発展を支援しています。

弊社には、本社採用の社員522名と、インドネシアやフィリピンなど現地で採用された社員720名が働いています(2023年3月1日現在)。過去に一度だけ協力隊経験者の人数調査をしましたが、50名を超える社員が在籍していました。今も出入りはあるものの、同等数いるのではないかと思います。大多数の人は技術部門で活躍されていて、現場で施工管理を担当するというよりも、プランニング系に多い印象です。ほかにも営業部門やプロジェクト支援をする事業支援部門にもいらっしゃいます。

ある社員はネパールの協力隊員だったことから、仕事もずっとネパールのプロジェクトに関わっています。地の利があって本人もやりやすいでしょうし、使う方も使いやすいからという利点はありますね。初めて行く国は勝手がわからないので、慣れるまで動きにくいのですが、その国のことをよく知っている人がいると非常に助かります。

私の前職はゼネコンで、インドネシアに駐在していた時、協力隊員とも一緒に飲んでいました。我々は仕事のために海外赴任をするので、企業利益を前提に物事を考えるのですが、協力隊の人たちは現地目線で考えていて、本気で途上国支援をしたいのだろうなと感じていました。

基本的に、協力隊経験者は開発コンサルタント業界の仕事に向いていると思います。皆さん、開発途上国に貢献したいという気持ちが根底にあると思いますし、それがないと続けていくのが難しい仕事だと思うからです。ただ、専門性があることが前提になります。いろいろな経験を積んでから転職して来られる方は、すぐに即戦力として活躍されますが、若い人は、たとえ途上国に抵抗なく行けるとしても、コンサルタントとしての専門性がなければすぐには難しいでしょう。当社は各種研修が充実しており、特にプランニング部門は能力強化のチャンスがたくさんあります。まずは研修を受けつつ、プロジェクトの中で雑用的なことを経験し、徐々に大きな仕事に就いていく人が多いようです。

コンサルタント業は海外出張などのイメージが強いのですが、実はレポートを書いて、表を作ってプレゼンをして、報告書を出すといった事務能力もかなり重要な要素になります。また語学は英語が必須です。技術職は現地で必ず必要になってきますし、きちんと説明できなければなりません。 ただ、私が常々思っていることは、「英語は流暢に話せなくてもいい」ということです。仕事ができることと流暢に話せることはイコールではないからです。自分の意見や考えを、相手を怒らせずに伝えられる力、もめごとを起こさずに進めていける力は、言葉の流暢さとは別ものだと思うのです。その人の人間性や、ロジカルに物事を考えられる力の方が重要だと思います。

開発コンサルタントの仕事には結構泥臭い現場もあり、建設会社の人たちとガンガンやりあうなど、きれいごとばかりではないのが現状です。協力隊経験者の人たちは、途上国でさまざまな経験をしてきたからか、タフな人が多く、きちんと仕事を続けていけます。現在のタイとインドの事務所長は協力隊経験者ですし、男女の隔たりなく50~60名も在籍しているということは、きっとこの仕事が合っているのでしょうね。

総務部長の杉林亮さん

豊富な海外業務と安全対策強化の取り組み

海外での仕事には、事件や事故など常に危険が伴います。2016年のダッカ襲撃テロ事件で社員1名と協力会社からの2名が犠牲になりました。それをきっかけに、弊社では海外勤務や海外派遣者の危機管理と安全対策には特に力を入れています。

外部システムを使って、出張者が滞在している地域の最新情報を常に受け取れるような仕組みをつくりましたし、危険度レベル2以上の国に出張の場合は、危機管理協会という組織で協議をし、出張が可能かどうかの判断を全案件でやっています。また、現地で使用する車を目立たない仕様にするのか、完全防弾の車にするのかなど、渡航前に話し合います。弊社は紛争後のアフガニスタンなどポストコンフリクト地域でも業務を行っており、危機管理と安全については十分な対策を取っていると言えます。

今後も、持続可能な新しい社会の実現を目指す総合開発コンサルタントとして、人々が直面している複合的な課題を解決し、暮らしをよくするため世界各地で業務を行っていきます。特に、インドネシアやフィリピンなど東南アジアで進めている鉄道案件を、弊社の豊富な海外業務経験とネットワークを活かし、アフリカや中南米にも拡大していきたいと考えています。

さらに、今は9割がODA関連の案件ですが、近年、民間企業が海外に展開する動きがあるため、少しずつ民間の仕事も増やしているところです。もし興味があれば、私たちと一緒に世界を舞台に働きませんか。

JICAボランティア経験者から

営業第一部副部長 保久太洋さん
(1998年度派遣/チリ/植林)

自ら考え、行動できる強さを得た協力隊時代

父が自治体職員で、沖縄返還の際、技術者として沖縄に行き、外国人と一緒に仕事をしているのを見て、海外に興味を持ちました。兄もJICA海外協力隊のニジェール隊員でしたし、進学した大学からも多くの協力隊員が輩出されていましたので、自然とそちらの方向へ導かれ、大学を卒業してすぐに協力隊に参加しました。

植林隊員としてチリに派遣され、社会連帯福祉基金を基に弱者支援をする投資機関に配属されました。任地は国内で最も貧しく、林業従事者の多い自治体で、私はそこで地域の林業振興のために基金をうまく使って、林業組合の創設と苗畑管理の支援を行いました。

任地には投資機関の事務所がないため、市役所の地域振興課に籍を置かせてもらいながら活動を始めましたが、役所には自分のための予算はありません。車を使うことも困難で、なかなか現地に行けず悩ましい日々が続きました。市役所では次年度の概算予算を9月~10月に出さなければならず、私は7月に派遣されたのですが、自分の活動の次年度予算を確保するために、会計年度に沿った企画立案、予算の積算、人の手配など、2か月足らずで作りました。これがとても良い経験となり、今の仕事にも役立っています。

1年目は時間があったので、今できることは何かと考えながら行動していました。植林計画をつくって補助金の申請をしたり、中学生対象に環境教育をやったり、役所内で日本の文化紹介をするなど、市役所を拠点に活動したことで地域のネットワークが広がりました。

また、チリには国内版協力隊のような制度があり、大学を卒業した人たちが国から給料をもらいながら市役所などで2年間働きます。任地の市役所にも同年代のチリ人たちがいて、教育、司法、建築など専門分野もさまざま。私が環境教育をやるときには教育系の人が、契約書や提案書を書くときは司法系の人がサポートしてくれました。また、苗畑の建屋の改修工事の際には、建築士の人に図面を引いてもらいました。年齢も近く、住む場所も一緒でしたから、とても仲良くなり、彼らと活動を共にできたことが今でも一番の思い出です。

協力隊活動を通して得たものは、何も準備されていなくても、ゼロから何かを始めることに対して怖さがなくなったこと。「何とかなる」と思えるようになったことが大きいですね。活動を進めるためにネットワークを作っていく中で、キーパーソンが誰なのか、直接会っておかなければいけない人が誰なのか、ということを考えながら動けるようになりました。これは今の営業の仕事にも役立っています。また、任地には自分以外の外国人がいなかったため、スペイン語は2年間でかなり上達しました。

営業第一部副部長の保久太洋さん

帰国後は迷わずコンサル業界へ
中南米のために、日系人のために

兄が既にコンサルタント業界で働いていたこともあり、自分も帰国後は開発コンサルタントに就職したいと考えていました。大学を卒業してすぐに協力隊に参加したので、社会人経験がなく、入社後はODA事業であるJICAの契約などの仕事を覚えるため営業部門に配属され、提案書の作成や契約書をつくる実務的な業務を担当しました。ここで3年間、開発コンサルタント業務の基礎を学び、その後、事業支援部門で業務調整を覚えながら少しずつ海外に出るようになりました。そして、海外でも提案書から契約書まで必要な書類を全部まとめる作業ができるような目途がついた段階で技術部門に移り、海外業務に従事するようになりました。

私は中南米の仕事が多いのですが、ペルー、パラグアイ、ボリビア、コロンビア、エクアドルでは日系人の方にかなりお世話になります。出張の前には日系人協会に連絡し、現地に商工会議所がある国では必ず訪問するようにしています。人脈はとても大切です。そう確信できるのも、ネットワークづくりの重要性を協力隊時代に学んでいたからだと思います。

現在は、営業職に戻り6年目になります。これまで国内の仕事が中心だったので、将来的にはまた海外に出て、最近できたブラジル事務所で何らかの貢献ができないかなと思っています。ブラジルでは以前、トカンチンス州で大規模なセラード(熱帯サバンナ)農業開発が行われ、地域開発に大きなインパクトをもたらせました。近年、日本の民間企業の進出が見込まれる中、再びブラジルで、そして日系人の方々と一緒に仕事ができないかと模索中です。会社のためにも、ブラジルのためにも、そして日系人の方々にも貢献したい。そういった将来展望を描きながら、今はそれに向かって準備をしているところです。

※このインタビューは、2023年3月に行われたものです。

PROFILE

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル
設立:1935年
所在地:東京都新宿区西新宿3丁目20番2号 東京オペラシティタワー9階
事業内容:開発および建設技術コンサルティング業務
協力隊経験者:約50名在籍

HP:https://ocglobal.jp/ja/

 
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