【提案者】
佐藤果南さん(左)
佐々木綾花さん(右)
【想定した対象地域】
ラオス(ルアンパバーン県)
【解決を目指す課題と目標】
焼畑移動耕作から転換するための生計手段を創出する。
【プレゼンテーションの概要】
このアイデアは、森林減少の原因のひとつでもある「焼畑移動耕作」を転換することを目標としています。焼畑農業で森林破壊を進めてしまう要因は、現地の住民に焼畑農業以外の収入が少なく、焼畑農業の収入も少ないために、次々と焼畑を行って森を燃やしてしまうことが挙げられます。また、グループワークの経験が少なかったり、女性の発言力が弱いといったコミュニティの問題もあります。
そこで、この地域で伝統的に作られている竹細工を利用したエシカルなインテリアを販売して、グループワークによって現金収入を得られる仕組みを創出することを考えました。顧客ターゲットとして、日本の老人ホームを想定しています。竹細工のイスやリクライニングチェアを使っていただくことで、老人ホームに「安らぎ」を提供します。
竹細工のインテリアを手作りしている様子の動画をインターネットで配信し、作り手と購入した使い手との交流も促進。老人ホームのブログなどで発信してもらってブランド化を図り、竹細工製品の付加価値を高めます。
老人ホームを顧客ターゲットとしたのは、口コミされやすいブランドイメージを定着しやすくするためです。もちろん、病院や学校など、さまざまな施設で活用してもらって、より大きな「安らぎ」の輪を広げていくことを目指します。
佐藤 保氏
(国立研究開発法人
森林研究・整備機構/
森林総合研究所)
結論から言うとなかなか面白いアイデアだと思います。
ジェンダーの視点が取り入れられていることが素晴らしい。コミュニティフォレストを考えた際に女性は非常に重要な役割を担っており、そこに着目したのはすごくいいことです。
カンボジアで行っている研究では、女性と男性で好んで切る木が異なっており、男性はお金になりそうな木を切る一方で、女性は持続可能な切り方をする、という話がありました。
集落に眠っている知識を掘り起こすということはとても重要だと思います。竹は再生力、繁殖力が高いので資源としては持続的に活用が可能です。
(竹細工という)競合製品が多い中で、ラオスでは住宅と建てる際にも竹を使っている等、地元に根差した技術やデザインがあるので、その意匠をうまく組み込んで製品化すれば差別化を図れるのではないでしょうか。
また、ターゲットを最初から絞りすぎるよりは広げた方が良いのかなと思います。老人ホームに絞った点についてですが、例えば老人ホームでも自力で歩ける人だけでなく介護が必要な人もいるなど、いろいろな方がいらっしゃるので、老人ホームの中でも多様なデザインが作れるし、それを生かして病院などへの展開もできるかもしれません。まずは老人ホームで試行を重ねて製品を作り上げ、そのデザインを生かして市場に展開してもいいかなと思います。
谷中修吾さん
パックン
この企画には問題を紐解く力とともに、複数のファクターの関連性を明かし、複数のアクターをリンクさせる「結び力」も見ることができます。竹の一斉開花と米の収穫量の関係、女性の発言権と焼き畑農業の関係、日本の高齢化とラオスの地元産業の関係などなど、さまざまな事実、情報、トレンドをつなげてくれる、とても刺激的なプレゼンです。老人ホームが増えると竹細工インテリアの需要が増えるかどうか、竹細工が盛り上がればげっ歯類が大量発生しないほど竹が消費されるかどうか(逆に竹が今よりも植えられる可能性もある気がする)など、疑問点はいくつか思い浮かびますが、こんな面白い捉え方、解決策は試してみない手はないと思います。
マックン
「竹を使った家具」と聞いて実家にある竹のベンチを思い出しました。子供のころから使っているベンチ、今も現役です。竹の家具って、丈夫だけど「やさしさ」がありますよね。ただ、家具が作れる竹には「質」と「加工の難しさ」という問題があると父から聞いたような・・・上質な竹を生産することと、家具の製作技術を定着させるまでに時間とお金がかかるかもしれません。でもそれをクリア出来ればラオスの経済発展、女性の社会進出に大きく貢献できる企画だと思いました。
そういえば日本の釣りの竹竿を作る職人さんの減少が深刻化しています。釣り好きとしては、家具だけではなく、竹竿も作ってほしいです!