【提案者】
加賀瀬 悠さん
【想定した対象地域】
東アフリカ(ケニア、タンザニア、モザンビークなど)
【解決を目指す課題と目標】
森林の違法伐採とアフリカ象の密猟を撲滅するための生計向上を支援。
【プレゼンテーションの概要】
解決を目指す「課題」は2つ。
ひとつ目は、燃料用の木材採取やその販売などを目的とした森林の過剰な伐採をなくすことです。生活に必要な燃料調達手段でもあるので、伐採そのものを禁ずることは難しいですが、計画的に行うことで、燃料としての木材供給と持続的な森林経営を行うことができます。ふたつ目は、年間に1万頭以上のアフリカゾウが減少する最大の原因となっている密猟をなくすることです。
このプロジェクトでは、「タグアナッツ」を栽培し、活用することで、2つの問題を同時に解決することを目指します。
タグアナッツは「ゾウゲヤシ」とも呼ばれ、実の中の硬化した胚乳が、象牙の代用品として使われています。アクセサリーなどの売上の一部はアフリカ象の保護団体への寄付として、タグアナッツ製品を買うことで「アフリカ象を救える」という環境プレミアを付加。エシカルなプロダクトとして先進国のセレブ層にアピールして、象牙より安価でも、現地に十分な収益をもたらす産業へと育てます。
また、タグアナッツのヤシ殻や間伐材を燃料やバイオマス発電に活用することが可能です。タグアナッツはそもそも南米の植物であり、植えてから製品化までには10年以上が必要となります。アフリカ象を守ることをテーマとしたサファリツアー(エコツーリズム)と組み合わせるなど、さらなるアイデアを組み合わせる工夫は必要ですが、燃料としての過剰な伐採や、貧困が根底となり、収入手段として違法伐採や密漁を行わざるを得ない東アフリカが抱える問題の解決に貢献できるソーシャルビジネスの構築を目指します。
堀正彦氏
(国際緑化推進センター)
日本では印鑑などに象牙を使うことから、象の密猟問題では「悪者」になっている側面があります。アフリカ象の密猟をなんとか防止するためのアイデアを、日本から発信するプロジェクトには意義があります。南米のタグアナッツを東アフリカで栽培するところに困難さがありますが、調べてみると、アフリカにもタグアナッツと同じような性質をもつ木があるようなので、確認してみる価値はあるでしょう。
谷中修吾さん
パックン
環境問題において「感情」と「行動」、両方が必要です。加賀瀬さんのプレゼンはうまくその二つをつなげています。誰もが守りたくなる象さんをつかって、哀れみや怒りを煽るだけではなく、その象さんを助ける具体策を提示し、行動をも呼びかけているのです。解決策には僕も知らなかったタグアナッツの可能性も示されて、観ていて「どうしょうもない」と落ち込むのではなく、「よっし、それにしよう!」と、動き出す気持ちになります。
実は日本もハンコに象牙を使う文化がまだ根強く残っています。それについて少し触れてもよかったかと思います。それも、批判で終わらないで、タグアナッツを使って日本の伝統文化の新たな可能性を提示することもできたでしょう。そんな、応用編も期待できそうなプレゼンです。
マックン
タグアナッツ(象牙椰子)という木があるのを初めて知りました。勉強になります。今は世界のセレブが環境問題や自然保護、動物愛護を訴え、エコカーに乗り、毛皮や、革製品ではなくフェイク製品を使う傾向にあります。このタグアナッツもその流れに乗れるのではないでしょうか。アクセサリーや印鑑、マージャーン牌など製品化できるものも沢山ありそうですね。またこのタグアナッツを栽培し森林を確保出来ること、またそれが動物保護に繋がること、燃料として使用出来る(可能性がある)ことも魅力的です。またさらには、栽培の効率化、加工製品の製造方法を現地の方に習得してもらい、貧困層の生活安定に繋がればいいですね。