『森から世界を変える
ソーシャルビジネスアワード』
ビジネスアイデア紹介

間伐の疑似体験ができる森林木育キット

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【提案者】
Ito Kikueさん


【想定した対象地域】
インドネシア

【解決を目指す課題と目標】
間伐の疑似体験ができる「森育木育キット」で森林保全などを支援。


【プレゼンテーションの概要】

このアイデアは、7月のワークショップ終了後、メンターとして来場されていた企業の方にお話を伺った中で「インドネシアでバルサ材が余っている」という情報を教えていただいたことから構築していきました。

棚田を模した土台の上に、森の木々や動物の積み木を配置した「森育木育キット」を、発展途上国で適切に管理された木材(バルサ材など)を使用して製造、販売します。スマトラトラやジャワサイといった絶滅動物をかわいくかたどった積み木を入れて絶滅危惧種について学んだり、スポンジの斧で間伐遊びを体験することなどを通じて、森について学べます。積み木は日本で製造し、売上の一部は途上国自然保全活動を行う団体等の協力を得て途上国の絶滅危惧種保護などに役立てます。

人にとって幸せって何でしょう。「人に愛されること」「人にほめられること」「人の役に立つこと」「人から必要とされること」。お金だけでは、人は幸せにはなれません。「森育木育キット」は、人として健全な幸せを増やすための事業です。

この事業では、2017年度中にプロトタイプを製作。2018年9月からの販売開始を目指す開発プランを想定しています。

もうひとつ、オマケのアイデアがあります。『バロン平和運動』と名付けたプロジェクトです。バロン、獅子はともに元はライオンです。飛行機のビジネスクラス利用者を想定して、日本からインドネシアへ行く人にはバルサ材の「バロン」の木のおもちゃ、インドネシアから日本へ渡航する人には、日本産のヒノキ材で作った「獅子」のオモチャを配布します。

木のおもちゃを平和の象徴として、木材資源を有効に活用し、新たな文化交流を生み出すことなどを目標としています。


講評

8/5プレゼンテーション時:審査員講評

浦口あや氏
(CIジャパン)

幸せって何だろうという深いところまで考えられていて、そういうビジネスアイデアは強い、と感じさせる提案でした。そして、すぐに商品化されるのではないかと思うくらい、技術的側面、制作工程、売り込み先などがしっかり検討されていました。

木育という観点で、遊びながら楽しく植樹や間伐の概念を学べるよう工夫されていて、使い手がさらに楽しむ工夫をするという発展性もあるアイデアだと思います。販売されたら買いたいです。

総監修:谷中修吾氏 講評

谷中修吾さん

開発途上国の木材を活用しながら"間伐の疑似体験ができる"キットをつくるという視点がユニークだと思います。

具体的な商品イメージの詳細まで検討されており、あたかもプロダクトが実在するかのようなプレゼンテーションをされている点は、非常に実践的なプロトタイピングだと思います。

森林を保全するビジネスアイデアという視点では、最終的に森林が保全されるというロジックはもちろん成立するのですが、加速度的に進む森林減少への解決策として効果が検証しづらいという面はあると思います。

ただ、遊び道具という視点は非常に良いと思いますので、遊びの内容をさらに推し進めて、このキットの中で森林保全するビジネスアイデアを考えさせるようなゲームに転じることなどができれば、未来の森林保全系の社会起業家を生み出す起点をつくることができるのではないかとも思いました。

特別審査員:パックンマックン 講評

パックン

海外のビジネスパーソンや消費者にアピールし、地元の方々の産業を盛り上げる事業を薦める提案が多いが、これは違う。

木に囲まれ、木で遊び、木の香りがする空間で木を愛する気持ちを育む。そんな素敵なコミュニケティー・スペースが近くにほしい!

そしておそらく一番の効果はこの木製のおもちゃで遊ぶユーザーにあると思う。とくに子供がスマトラオラウータン、スマトラゾウ、ジャワサイなどを知り、親しみをもって、守りたくなる気持ちを抱くきっかけになるなら、このおもちゃの意義がとても大きい。

もちろん、おもちゃメーカーや現地の林業にとってのビジネスチャンスも、商品化で消費行動を呼びかける要素もある。

グラフィックのクオリティが高くて、見やすいプレゼンであるのに、事業としての具体性に欠けています。どうしたらキッズ広場を普及させ、持続するのか、そこまで膨らませることができたら最強の案だと思います。素敵な夢だからこそ、夢で終わらせるのがもったいないです。


マックン

途上国の利益、環境問題、動物保護、子供の育成、安全かつ楽しく学べる空間の提供、大人の情報交換の場、一つの企画に色々な要素が織り込まれてますね。

木製のおもちゃは独特な優しさ、温もりを感じます。そんな木のおもちゃで遊びながら、環境問題や動物保護を学べるというアイデアがいいです。就学前の子供が実際にそれを意識して遊ぶとは思いませんが、子供を遊ばせている親が学び、それを子供たちに伝えて行くことに繋がると思います。また昨今、コミュニケーション不足、コミュニケーション能力の低下、などが問題視されていますが、木育キッズ広場が情報交換の場となり、親同士の意見交換の場となれば、そういう問題の解決の糸口にもなります。僕も子供と一緒にキッズ広場に行き、たくさんママ友を作りたいです。