【提案者】
佐藤葉名香さん
【想定した対象地域】
カンボジア
【解決を目指す課題と目標】
森を開墾しなくてもできる農業で途上国の森林を保全。
【プレゼンテーションの概要】
このプロジェクトについて「BACKGROUND」「SOLUTION」「FUTURE」という3つの側面から説明します。
BACKGROUND
対象として想定したのはカンボジアです。カンボジアでは人口増加が顕著で、農家の人口も増加しています。そのため、耕作する土地がない農家が増え、農地を確保するための開墾などが森林破壊の原因になっています。
SOLUTION
では、森林を開墾しなくてもできる農業はないでしょうか。プロジェクト名でもある「黒いダイヤ」とはトリュフのことです。ご存じのように、トリュフは森と共生するキノコですから、森林を伐採したり、開墾することなく栽培することが可能です。
トリュフは商品としての価値が高く、品種が豊富という特徴があります。人工栽培の方法については『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』の事務局も務めている森林総合研究所でも研究が進められているそうなので、カンボジアの現地で実際に栽培、育成が可能なトリュフを調べて人工栽培を行います。
カンボジアにはフランス文化が根付いていてフランス料理が普及していますから、トリュフの需要は多く、高品質で安価なトリュフを出荷できれば、世界への輸出も可能です。
FUTURE
単価が高いトリュフを新たな農産物とすることで、現地の人たちの生計向上を実現します。
また、森はトリュフを生産する場所になりますから、安易な伐採や開墾を防ぐことにも役立ちます。
佐藤 保氏
(国立研究開発法人
森林研究・整備機構/
森林総合研究所)
森林保全と生計向上を両立する大きな可能性があると思います。カンボジアでは、実際に「幻のコショウ」を復活させて高値で取引されている成功事例があります。プレゼンテーションでも触れられていたように、トリュフは品種が豊富で、菌によって香りなども違います。栽培技術などのブレイクスルーが必要になるかも知れませんが、ヨーロッパ人に好まれる品種をうまく人工栽培することができれば、大きな需要が生まれるかも知れないですね。
谷中修吾さん
課題の背景分析、主因の分解、解決策の方向性、ビジネスアイデアの着想、マーケティングプランの策定など、すべてにおいて必要十分な検討を行った上で全体の整合性も図られた提案だと思います。
トリュフをフィーチャーして「黒いダイヤ栽培計画」としたネーミングについても、マーケティング観点から非常に有効です。
どの時点でトリュフを想起したのかは興味深いですが、農地がない状況の中で森林を守りながら生計を立てるためには?という制約条件から、森とともにある高付加価値の天然資源に着目した思考回路が素晴らしいと感じました。
提案内容をより現実的に検証するためには、トリュフ人工栽培の実現性を詳しく考えるという領域に踏み込むことになりますが、リサーチされている情報から組み立てると確かにロジック的には実現可能性のあるプランと考えられるため、実際に検証しがいがありそうです。
資料の最後に、本ビジネスを実現する上で「想定されるリスクとその解決策」を簡単にまとめておけますと、リアリティが出てくると思います。
パックン
新しい産物を中心に、森林と共存できる新しい産業を根付かせる。このパターンの提案が多いし、それも当然のことだ。成功すると森も地元の方々の生活をも守る、最高の解決策になるから。この案の面白さはその産物にある。トリュフ!森にとって、伐採するよりずっと害が少ない、そして人にとって高い価値のある宝物だ。まさに黒いダイヤだ。カンボジアの地質が実際においしいトリュフの栽培に向いているかなど、気になる点はいくつかあるが、元フランス領の歴史的な立場もあり、もしかしたらヒットするかも!やってみる価値はあるでしょう!
マックン
まず「黒いダイヤ」に魅かれますね。トリュフは世界的にも高級食材として認識されているので、栽培が可能であれば、仕事の確保、生活の安定、自然保護に繋がると思います。しかし「栽培の難しさ」「安定供給」などの課題もあると思います。我が家のキッチンを見ると「トリュフ風味のオリーブオイル」「トリュフ塩」などのトリュフを加工した食品があります。トリュフ栽培に特化せず、トリュフを使った商品を製造、販売なども取り入れると、より多くの方の仕事を確保できるのではないかな~と、この企画に広がりと可能性を感じました。佐藤さん以外にも「トリュフの栽培」の企画を出されている方がいますので現実味はあると思いました。