パックンマックンも納得!Really? REDD+!!

【LESSON.1】 そもそも、なぜ REDD+ が必要なのか?

「REDD+(レッドプラス)」をご存じですか? とても簡単にまとめると「地球温暖化を防ぐために、途上国の森を守ろう」とする取組です。でも、森を守るだけではなくて、途上国の発展や、その森で暮らす人たちの生活にも配慮するためにというようないろいろな要素が入っているために、仕組みが少し複雑でわかりにくくなっているのです……。 そこで、知性派お笑いコンビとして人気のパックンマックンが、REDD+の奥深い世界を探検します。みなさんもぜひ、ふたりと一緒に「REDD+」について理解を深めてください!

パックンマックン
群馬県出身のマックン(吉田眞)とアメリカ・コロラド州出身のパックン(パトリック ハーラン)のお笑いコンビ。1997年に知人の紹介で知り合ってコンビを結成。漫才はもちろん知的なトークなどを駆使して、さまざまな番組などで活躍中!

「REDD+」って、どういう意味?

さあ、これからREDD+の森を探検するんだけど。そもそも「REDD+」ってどういう意味なのか知ってますか?

え? えーっと、赤?

はい、「赤」、、、もちろん違いますね。実は、こんな英語の略なんだそうですよ。

【英語全文】 Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countries.

………。リデュース、はなんとなくわかるけどなぁ……。あ、あと、カーボンとかフォレストもわかるよ。

まあね、たしかにちょっと意地悪なくらい難しい単語が使われている印象はあるかな。ちなみに、日本語訳はこんな感じですね。

【訳文】 途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強

うわあ、日本語でも難しいね。

でも、考えてみればこの英語を丸ごと覚えて理解する必要はないんだよね。たとえば「VIP」はもともとの英語(Very Important Person)は知らなくても、日本でちゃんと通じるじゃないですか。同じように「REDD+」っていえば、「途上国の森を守る取組」だってことを、みんなが理解してしまえばいいんだよね。

どうして、森を守るのか?

おっ、いきなりいいこといいますねぇ。それにしても、今どうして、REDD+が必要なんだろう?

やっぱり森は大事だからね。

いやいや、だからどうして森が大事なのかってところをちゃんと知りたいんだってば。

うわ、きれいな鳥が何か運んできてくれたぞ。

わお、この葉っぱがタブレットになってるんだね。

お、画面に何か出てきたよ。

パックンマックンさん、はじめまして。「コンサベーション・インターナショナル・ジャパン」の浦口あやです。今日は私が、このタブレットを通して、おふたりにREDD+についてご説明しますね。

はじめまして。いろいろ教えていただけるんですね。ありがとうございます。

「コンサベーション・インターナショナル」といえば、アメリカに本部があって、地球の環境保全に取り組んでいる国際NGOですね。

はい、そうです。私たちは日本拠点のスタッフで、REDD+の推進にもずっと取り組んできているんです。

なるほど。それではまず「そもそも、どうしてREDD+が必要なのか」ってところを、教えて欲しいんですけど。

わかりました。では、葉っぱのタブレットで説明しましょう。

REDD+ Suggestion

森林が温室効果ガスの排出源のひとつになっているのです。

2010年における部門別温室効果ガス排出量

(出典:IPCC第5次評価報告書第3作業部会報告書政策決定者向け要約)

森は、樹木などの光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収・蓄積しています。ところが、無秩序に森を伐採したり、森林火災が起こることなどで、森林が減少したり劣化したりすると、森林が吸収・蓄積する二酸化炭素の量が減り、大気中の二酸化炭素の量が増加してしまいます。

このグラフは、世界の二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を部門別にまとめたデータです。「農林業・土地利用」に区分されている緑色の部分の多くは森林減少と土壌、施肥管理、家畜由来の農業からで排出された温室効果ガスの量ということになります(林業とほかの土地利用:11%、農業14%)。その量は排出量全体の約25%にもなって、自動車などで化石燃料を燃やすことによる「運輸」部門より、はるかに多くなっているのです。

これは、知らなかったなぁ。

普通は、クルマの排出ガスとか火力発電みたいに、化石燃料を大量に燃やすことが温室効果ガス排出の原因だと思うよね。

そうだね。ただ、森林減少や劣化って言われても、自分の身近な場所国で起きていることじゃないからなあ。深刻さが実感できないんだよ。

なぜ、森が減っているんだろう?

でもさ、森林の減少が大問題ってことはわかったんだけど、途上国の森が減ったり劣化していくのは、何が原因なんだろうね。

うん、それはね! ……、ちょっと葉っぱのタブレットで調べてみようか。

そ、そうだね。

REDD+ Suggestion

森林減少・劣化のおもな原因は?

途上国の森林が減少していることにはさまざまな原因がありますが、おもに次のような要因が問題とされています。

農地の拡大

プランテーション造成や無計画な焼畑等により多くの森が失われています。

違法伐採

違法伐採も森林減少・劣化の一つの要因といわれています。

森林火災

異常気象により深刻化する森林や泥炭地の火災も大きな問題です。

このほか鉱山開発なども、途上国の森林減少を加速する要因となっています。

なるほどねえ。森林減少といっても、いろんな原因があるんだねぇ。ただ、「森を守る」っていうことには賛成だし協力したいと思うけど、こういう問題があるっていわれても、自分たちに何ができるかわからないよねぇ。

そうだね。たとえば再生紙を使うように心掛けるとか、身近なところでエコロジーに資源を無駄遣いしないようには気をつけるようにしていても、それでどのくらいの森が守れるかっていう実感はないし。そもそも、途上国の森が減っているといわれても、自分たちの目の前で起きていることじゃないから、ついつい忘れがちだしね。

実際、世界中でどのくらい森が減ってるんだろうね?

REDD+ Suggestion

1年間に331万haの森が減っています

各国の森林面積の年平均変化(2010-2015)

(出典:FAO発表資料(2015))

FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、今、世界では毎年およそ331万haの森が消えているとされています。この面積は、九州全体の広さに匹敵します。

国別の森林消失面積推移

(出典:FAO発表資料(2010))

このグラフは、1990年〜2000年と、2000年から2010年、それぞれ10年間の森林消失面積を国別に示したものです。植林や持続可能な森林経営などにより森林減少は抑えられつつある傾向にはありますが、ブラジルやインドネシアなど、豊かな熱帯林をもつ国で、多くの森が失われていることがわかります。

(ちなみに、2000年から2010年にオーストラリアの森林消失が多くなっているのは、極度の少雨と高温の影響で2009年などに発生した大規模な森林火災がおもな要因です。また、2000年から2010年にインドネシアの森林減少が大幅に減少した理由は植林や森林保全に関する政策の強化、90年代に比べての森林火災の減少が挙げられます)

なるほど、途上国の森を守ることは大切だね!

うーん、たしかに森林面積変化の世界地図を見ると、赤道周辺の途上国に大きな減少を意味する赤い色が目立っているなあ。

REDD+ が、なぜあえて「途上国における」って言ってるのか、その理由がわかった気がするね。

正式な英文も日本語訳も難しかったけど、そもそも、森を守るのが難しい問題なんだっていうことかな。

そうだね、REDD+ の森は、まだまだ奥が深そうだ。これから、もっと興味をもって、いろいろ知らなきゃいけないね。 浦口先生、ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。パックンマックンのお二人がREDD+ を応援してくれるのは心強いです。これからも、よろしくお願いします。

第2回はこちらから!

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