パックンマックンも納得!Really? REDD+!!

【LESSON.3】 特別座談会

REDD+の森への探検を終えたパックンマックン。3回目の『Really? REDD+』は、「REDD+ オフィシャル特派員」として、インドネシア共和国へ派遣され、REDD+ プロジェクトの、現地の森を見てきた4名の若者との座談会です。はたして、特派員のみんなは、インドネシアの森で何を見て、何を感じ取ったのか。パックンマックンが本音トークで聞き出します!

パックンマックン
群馬県出身のマックン(吉田眞)とアメリカ・コロラド州出身のパックン(パトリック ハーラン)のお笑いコンビ。1997年に知人の紹介で知り合ってコンビを結成。漫才はもちろん知的なトークなどを駆使して、さまざまな番組などで活躍中!

YRNやーん 写真左から、末吉賢太郎さん、渡邉梨香さん、竹村英晃さん。「Phone」×「Rest」=「#Phorest」という造語を生み出し特派員審査を突破。スマートフォンに依存しない時間を過ごしつつ、熱帯の森(Forest)のことを考えようと呼びかけるウェブサイトを立ち上げている。

飯塚帆南 2016年のミス日本みどりの女神。紙芝居、ワークショップなど、さまざまな活動計画を提案して特派員審査に合格した。チェーンソー作業従事者の資格を取得するなど、森を知り、森を守ることに意欲的。REDD+ を広めるための取組を始めている。

「自分たちにもできることがあるんじゃないか?」

オフィシャル特派員のみなさん、今日はよろしくお願いします!

まず、最初に聞いておきたいんですが、竹村さん、オフィシャル特派員というのはどういうことをやるんですか?

特派員に選んでいただいてからは、そもそもREDD+とは何かとかさまざまな講習を受けました。今年(2016年)の9月には実際にインドネシアの現地へ取材に行かせていただいて、その成果をいろんな形で発信しながら、より多くの人にREDD+ をしってもらうための活動をしています。

なるほど、僕たちと同じで、まずはREDD+ を知るところからスタートしたわけですね。では次に渡辺さん、特派員に応募するとき、REDD+ を知ってましたか?

いえ、まったく知らなかったです。

えーっ! 知らなかったの? それなのに、どうして応募しようと思ったの?

僕たち「YRN やーん」の3人は、それぞれ大学は違うんですけど、アメリカ大使館関係の学生団体で広報などに関わる活動をしていたんです。今回は、渡辺さんがこのオフィシャル特派員の募集を見つけてくれて、とても意義のある取組だということはわかったし、「自分たちにもできることがあるんじゃないか?」「自分たちの力を試してみよう」という思いで応募しました。

渡辺さんが二人を誘ったわけですね。

そうですね。ウェブサイトの募集ページに、森の中に男子2人と女子ひとりのイラストがあったんですけど、これって、まさしく私たちじゃない? って感じたんですよね。

渡辺さんが誘ったのは2人だけ?

はい、そうですね。

今の3人の活動を見てるほかの友達は、そうして自分を誘ってくれなかったんだって思ってるだろうね。

オフィシャル特派員は、2017年も募集があるかも知れないらしいから。そういう人にはぜひ次の機会に応募していただきましょう。

インドネシアの森で感じたことは?

さて、実際に見てきたREDD+ の森について伺いましょう。まず、どこに行ったんですか?

インドネシアです。羽田からジャカルタに着いて、西カリマンタンに移動して、その後、ボアレモ県があるゴロンタロ州へ行きました。

いきなり知らない地名がいっぱい飛び出してきましたね。じゃあ、たくさん飛行機に乗ってあちこち移動したんですね。

そうですね。9日間で10回くらい飛行機に乗りました。

すごい、いっぱいマイルが貯まったね。

いやいや、そういうことじゃないでしょ(笑)。

では、まじめな話、現地のREDD+ の取組を見て、どう感じましたか?

実際に現地の方々とお会いして、REDD+ が本当に役立っているんだなということを知ることができたことが、本当によかったと感じています。

そうなんですね。竹村さんもうなずいてたけど、REDD+ がどういう風に役立っていたの?

日本にいると森を守る活動もテレビのニュースなどで知るくらいの話題でしかないんですけど、インドネシアの現地では、住んでいる家のすぐ裏手が深い森になっていたりするんです。森とともに暮らしている人たちや、現地政府(行政機関)の人たち、そして日本から行っているREDD+ プロジェクトに関わる人たちと一緒になって、本気で森を守ることに取り組んでいる姿を実際に見ることができました。現地の人たちにとって、森や自然を守りながら生活していくことが本当に大切で、そのためにREDD+ のプロジェクトが役立っていることを実感できました。

行く前と後では、インドネシアの印象も変わりましたか?

もともと、インドネシアのことはほとんど何も知らなかったですから、本当に驚くことばかりでした。ジャカルタはすごく大きな街だったし、ボアレモ県に行くと深い森がすぐ近くにあることにびっくりしたりして……。

そうだよねぇ、日本人はあまり知らないかも知れないね。えー、ではパックン。インドネシアってどんな国ですか?

えー、僕の友達のジャネットが住んでる国……。

こら、ごまかすな! それじゃ誰もイメージできないでしょ。

わかったよ、じゃあ、まじめに答えると、世界最多で1万以上の島々がある赤道直下の国で、人口は2億人以上。島によって気候や文化もいろいろで、言語だけでも500以上と言われてて、首都のジャカルタにはASEAN(東南アジア諸国連合)の本部があるってくらいかな。

あ、詳しく答えてくれてありがとう。じゃあ、末吉さんは、そんなインドネシアで何を感じましたか?

そうですね、遠い島国っていうくらいのイメージしかなかったんです。でも、現地では中学生や高校生と会って話す機会があって、日本のアニメなどの文化を好きなんだということがわかりました。日本には、とても好感をもってくれているな、と。

その日本が、REDD+ でインドネシアの森を守ろうとしていることも、インドネシアの人は喜んでくれていましたか?

そうですね。取材で訪れた先では、僕たちをとても歓迎してくれました。REDD+ で助けてくれている日本から来た若い人たちだから、しっかりサポートしてあげるよという気持ちを感じることができました。

森を守るために、日本の支えがあるということは、ちゃんと感謝されているんですね。 日本とインドネシアは「つながっている」

森を守るために、日本の支えがあるということは、ちゃんと感謝されているんですね。

日本とインドネシアは「つながっている」

さて、ここでそろそろ飯塚さんの素敵な声(編集部注※この日、飯塚さんは風邪気味で声が出にくい体調でした)を聞かせていただきましょうか。まずはオフィシャル特派員に応募した動機を教えてください。

私は今「ミス日本みどりの女神」という活動をさせていただいていて、日本の森や林業の現状や魅力を発信することに取り組んでいるんです。今回、オフィシャル特派員としてREDD+ の現地の森を知ることができるチャンスがあると知って応募しました。

なるほど。そして、実際に訪れたインドネシアの森はどうでしたか?

かつて違法伐採が行われていた現場や、トウモロコシの焼畑で禿げ山になってしまったところなどを見ることができて、REDD+ が課題にしている森林劣化や森林減少の現実を知ることができました。

日本には「里山文化」があるからね。共存するべき森を焼いて畑にしてしまうなんて「もったいない」と感じるよね。

そうですね。ただ、国として成長していく過程では日本の森がどんどん伐採された時代があったし、海外産の材木が「安い」という理由でたくさん買って、インドネシアなど熱帯の森での違法伐採を助長してしまったこともあるようです。実際に現地の森を見て、私たち日本人も無関係じゃないんだっていうことを、強く感じました。

そうかあ、つながってるんだね。

はい、おっしゃる通り、「つながっている」という思いが強くなりましたね。さっきYRNのみなさんが話したように、私たちはどこに行ってもとても歓迎されて、インドネシアの人たちがとても親日的だと感じることができたんですけど、それは、REDD+ のように現地の人たちにも役立つ取組を地道に続けているからなんだろうと思います。

なるほど、いい体験をできましたねぇ。

これから、自分たちにできること

では、飯塚さんには少し喉を休めていただいて(笑)、みなさんに聞きたいんですが、オフィシャル特派員としてインドネシアの森を見て、これから、個人としてこういうことをやっていきたいなということはありますか? 竹村さんからお願いします。

はい。僕は今東京で生活していて、正直にいうと普段の生活で森林には無関心でした。でも、たとえば材木やいろんなものの原料とか、二酸化炭素の吸収とか、インドネシアをはじめとする熱帯の森に支えられているっていうことを、今回の経験で実感することができたんです。だから、これからは森の大切さや、その森を守るためにREDD+ っていう取組があるんだっていうことを、少しでも多くの人に知ってもらえるような活動をしていきたいと思っています。1人でできることは小さいですけど、小さい取組でもみんなが集まるとおおきな影響力をもてると思うので、少しずつでも広げていきたいですね。

ありがとう! もう「まとめ」みたいなコメントをしてくれたから、次の人が話しづらいかな。渡辺さん、どうですか?

私たちは今、「Phorest」と名付けたデジタルデトックスを促すプロジェクトを始めています。

デジタルデトックス?

はい。「Phorest」っていうのは「Phone」と「rest」を組み合わせた造語で、毎日の生活のなかで頼りがちなスマホをレスト、つまり、携帯電話を使わない時間を作って、森林保護のことを考えませんか、という呼びかけです。自分たちでウェブサイトを立ち上げて、ステッカーを作って配ったり、SNSの無料スタンプを作ったりしています。

あ、だから、さっきくれたステッカーのスペルが「Ph」なのか。「Forest(森)」を間違えているのかと思ったよ。

「携帯に貼ってください」って言ってたもんね。

説明不足でごめんなさい。でも、そういうことなんです。私たちは実際に日本に携帯電話を置いてインドネシアを旅してきました。このステッカーは、インドネシアの人たちにも気持ちを伝えながら配ってきたんですよ。

携帯電話なしで10日間。大丈夫だった?

少し不安だったんですけど、全然大丈夫でした。私自身、日本で携帯電話をもっている時は、素敵な景色も、すぐに携帯で写真を撮ろうとして液晶の画面越しにしか見ていなかったんだっていうことに気が付いて。心に余裕をもって、出会った景色を目に焼き付けたり、目の前の人との会話が盛り上がることの大切さに、改めて気が付くことができました。

たしかに、今、日本では電車の中の人たちもみんな携帯とにらめっこしてるもんね。さて、ますます話すことがなくなったかも知れないけど、末吉さんはどうですか?

そうですね。まずは、僕たち3人で役割分担しながら「Phorest」の活動を続けていくことが大切だと思っています。そのためにも、今、渡辺さんが言った「心に余裕をもって」というのが、とても大切なキーワードだと思います。日本で暮らしていると森林保護なんて自分には無関係な話だと思ってしまいがちで、安さや効率ばかりを優先して考えてしまいますよね。でも、心に余裕をもって考えれば、森のことや、地球環境のことを長いスパンで考えて、自分の行動を選択することができるんじゃないかと思えるようになりました。そのために、まずは自分自身が、1日に最低でも1時間は携帯電話を使わない時間を作るようにしています。

なるほど、日常生活に追われて、20年後、100年後の地球のことなんて考える余裕がないと、REDD+ の意義は理解できないかも知れないね。

本当に、REDD+ を応援するためだけじゃなくて、日本の、とくにたくさんの若い人たちに気付いて欲しいと思うことだよなぁ。さて、飯塚さんはどうですか?

そうですね。私は、自分にできることの第一歩として、インドネシアから帰国してから、インドネシアの森林について調べたんです。すると、最近の35年間で約35%も森林面積が減っていることがわかりました。1年間に1%のペースですから、このままいくと60年後にはインドネシアから森林がなくなってしまうんです。

うーん、具体的なデータを知ると、現状の深刻さがわかりますね。

そうなんです。それじゃあ、私に何ができるかと考えると、オフィシャル特派員として自分が感じたことをできるだけたくさんの方にお伝えするのはもちろんなんですけど、自分自身、森の「ありがたみ」を知って、感謝することだと思っています。

感謝ですか。

はい。私たちは毎日の生活で、当たり前のように空気を呼吸して、割り箸や木材加工製品を使っています。さきほどからの話にもありましたけど、それはインドネシアや熱帯の森の恵みでもありますから。

うん、その通りですね。

あと、インドネシアで衝撃的だったのが、カカオ農園の子どもたちとふれあう機会があったんですが、子どもたちは自分の親がカカオ農園をやっていることは知っていても、収穫したカカオがチョコレートになることを知らなかったんです。もちろん、チョコレートを食べたことがある子どももいませんでした。それを知って「この森の恵みを私たちが奪い取って贅沢な暮らしをしているんじゃないか」っていうことを痛感しました。

へえ、チョコレートはカカオから作るんだ……。

おいおい、それは知ってるでしょ。

でも、なんとなくチョコレートの原料がカカオだということは知っていても、収穫したカカオの種を発酵させて、パウダーにしてという製造工程は、私もまったく知らなかったです。小さなことかもわかりませんが、こうした「森とのつながり」に興味をもって、生活していくことが大切なんだと思います。

うん、本当にそうですね。REDD+ の森への旅で、特派員のみなさんが貴重な体験をしてきたことがよくわかりました。今回の対談で、途上国の森とそこで生きる人たちの暮らしを守る、REDD+ の意味がより深く理解できた気がします。

そうですね。特派員のみなさん、ありがとうございました。 今、この『森から世界を変える REDD+ プラットフォーム』では、REDD+ に興味をもって応援する『ユースサポーター』も募集してますから、興味のある人は登録してください。これから僕たちも「オフィシャルサポーター」としてREDD+ を世の中に広めることに協力させていただきます。

この記事を読んだみなさんには、ぜひこれからもREDD+ に興味を持ち続けて欲しいですね。ありがとうございました!

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