伊藤聡子さんからのメッセージ

 途上国で活動する協力隊員の皆さんにお会いして最初に驚くことは、日本では考えられないような不便で衛生状況もあまり良くない地域にぽつんと1人派遣されているにもかかわらず、現地の言葉を巧みに使ってコミュニケーションをとりながら現地の人のために生き生きと活動し、そして信頼を得ていることです。

伊藤 聡子さん

 その明るさとたくましさに、「人間ってすごいなぁ」と、こちらの方が元気づけられてしまいます。

 彼らは自分自身で、現地の人にとって何が必要か、その中で自分が役に立てることは何か、しっかり分析しながらプロジェクトを立てて実行に移していきます。実際にお話ししてみると、もちろんそこに至るには様々な苦悩もあるようです。全く違う環境、文化、価値観の中では、思い描いたとおりにいかないことがある方が自然なのですから。

 しかし、その現実と向き合い、違いの中で苦悩と試行錯誤を重ねることこそが、かけがえのない経験なのだと感じます。この過程で彼らは、決してあきらめない忍耐力と、窮地に陥った時に新たな打開策を生み出す能力と、人としての奥深さや大きさを身につけさせているのだと思います。

2011年11月 ネパールで青年海外協力隊(栄養士)の活動現場を視察中

 グローバル化、そして日本が置かれている厳しい環境から、日本はこれからますます海外との関係を模索する時代に突入します。その中で、あらゆる違いを認め、尊重し、その協力関係から新たなものを見出せる人材が必要であることは言うまでもありません。

 また、「社会貢献」という価値観も、これからはCSRとしてではなく、ビジネス本体のキーワードになっていくはずです。青年海外協力隊の活動は、途上国の人々の幸せのための活動でありながら、実は日本にとっても、新しい未来を担う貴重な人材育成の場なのだということを実感させられます。彼らの経験が、さまざまな場面で活かされることを期待しています。

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