桑山紀彦さんからのメッセージ

 国際協力は、人の生き方に深く関わっています。「見て見ぬ振りしない心を持つ」。その一つの具現として、国際協力があると思います。例えば通りを歩いていて人がうずくまっていたらどうするのか。「どうしました?」そう一声掛けることの大切さ。それは人類が持っている助け合い、お互いさまの気持ちを表現することです。そんな「見て見ぬ振りをしたくなくて」僕たちはたまたま国際協力で海外に働きますが、自分の住む町でもその心は表現できるわけです。

桑山 紀彦さん

 協力隊がすばらしいのは、そういった見て見ぬ振りしない気持ちをストレートに表現する心を持った人たちの集まりだからです。そういった志向を持つ人材が社会や会社の中に増えれば増えるほど、世界は変わり、会社の雰囲気もどんどん変わっていくと思います。だから社会や会社組織は積極的に国際協力や協力隊を志向する人たちを応援してほしいと思うのです。

 東日本大震災の津波の直撃を受け被災した「地球のステージ」と「東北国際クリニック」は、被災後3日目から協力隊OG&OBからの電話が鳴り止みませんでした。それにNGOで共に働いてきた医師や看護師が加わって、あっという間に事務所2階の「50畳ホール」は救援に来た人々であふれました。そしてそれからの2ヶ月間、24時間病院を開け続けることができました。周りの個人開業医院は全く診療できない中、我が病院だけが発電機でたいた灯りをともして間断なく診療することができたのです。それは日本中、世界中から駆けつけてくれた国際協力の仲間たちのおかげでした。この時ほど「国際協力をやってきて本当に良かった」と心底思ったときはありません。

東日本大震災で被災した子どもたちに心のケア。右隣りは一緒に活動している協力隊OG。

 社会や世界がいい方向へ変わっていくのは、一人一人の強くて優しい「意志」です。愚かなる一部の為政者の意志決定によるものではありません。

 大いなる想像力に愛と優しさを加えて展開するこの「国際協力」という分野が、このニッポンでもっともっと身近になりますように。そのために僕は全力で協力隊を応援します。



青年海外協力隊の派遣前訓練では毎回『地球のステージ』を公演している。訓練中の隊員たちと一緒に。

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