庄野真代さんからのメッセージ

 1980年に仕事のお休みをいただいた私は、バックパックを背負って2年ほど世界中を回りました。そんな好奇心とチャレンジ精神が旺盛な私が最初に青年海外協力隊事業と出会ったのは、実は高校生の時。青年海外協力隊の募集説明会に参加した私は、家に帰ってワクワクする気持ちを母に打ち明けたことを今でも覚えています。

庄野 真代さん

 その後、音楽活動を続けながら社会人大学生となり、更に英国留学、大学院進学を経て、2006年にNPO法人「国境なき楽団」を創設しました。国境なき楽団では、国内外でコンサートを開いたり、使われなくなった楽器を集めて途上国の子供たちに届けたりする活動を行っているのですが、これまで何度かJICAの「世界の笑顔のために」プログラム※1を通しても途上国への楽器の支援を行い、協力隊員たちが見つけた現地の声に応えてきました。

 2004年、私はニジェールとエチオピアで青年海外協力隊員たちの活動を視察する機会をいただき、アフリカの過酷な生活環境の中で農林水産や保健衛生、教育など、様々な分野で活動する協力隊員たちと出会いました。そしてそこで見たものは、薪を節約するための改良かまど、傷の消毒方法を解説したポスター、手作りの診療所、運動会…。小さな村々に広がる協力隊員たちの活動の証でした。ある小学校では、暑さで額からたくさんの汗を流しながら懸命に 授業をする協力隊員にコップ1杯の水をそっと差し出す少女の姿がありました。国際協力の真価を目の当たりにした瞬間でした。

2004年6月、エチオピアの子どもたちと

 私は昨今の日本の若者の内向き志向は打破すべき、と常々考えています。青年海外協力隊員たちは、開発途上国に派遣され、現地の人々と同じような生活をしながらその土地に溶け込み、活動を発展させ、そして帰国します。たった一つの「地球」の中で災害や紛争が起こり、様々な境遇の人々が暮らしていることを、彼らはその目で見てきました。そんな協力隊のOB・OGたちが帰国後にしっかりと協力隊経験を生かせる日本社会であってほしいと強く思います。

※1 開発途上国で必要とされている教育、福祉、スポーツ、文化などの関連物品について、ご提供くださる方々を日本国内で募集し、JICAが派遣中のボランティアを通じ、世界各地へ届けるプログラム。

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