有限会社アフリカンスクエアーコミュニケーション能力と現場で
自分で判断する力

  • グローバル人材の育成・確保

「アフリカには、日本やほかの先進国にはないような魅力があるのではないか」。私は昔から、本などを読んでアフリカに対して憧れを持っていました。アルジェリアで3年ほど仕事をし、その後2年かけてアフリカ大陸を旅行。そして帰国後、「アフリカのよさを日本に紹介したい」と思って、アフリカ専門の輸入販売会社「アフリカンスクエアー」を設立しました。

 当社では単なる輸入販売だけではなく、アフリカ各地での商品開発にも力を入れています。仕入れ担当者は現地へ出向き、生産者の団体やNGOに直接「こんなデザインにしてほしい」と頼んだり、クオリティーの高いものを目指すために、縫製などの技術指導を行ったりしています。また、市場でおもしろそうな手工芸品を見つけたらその生産者を探し出すなど、取引先の開拓も積極的にしています。

 アフリカへの出張は1回で1カ月ほどになり、いくつかの工房を巡回しながら現地の人たちとともに生産に携わるので、協力隊経験者は「まるで協力隊みたい」と感じるようです。こうして輸入した商品は、仕入れ担当者が自ら国内の雑貨店などで営業販売したり、新商品のサンプルを提示して新たな注文をとったりしています。

 協力隊経験者の採用を始めたのは10年ほど前。現在は3人の協力隊経験者が勤務しています。そのうち2人はアフリカに派遣された隊員で、生産者グループとともに活動していました。もうひとりは中南米の隊員です。

 仕入れ業務は生産者と直接やりとりするので、相手を理解していい関係を作るため、現地の人たちとうまくコミュニケーションをとることが大切です。長期の出張が年に数回あり、出張先では自分で判断しなければならないことも多いです。与えられた仕事しかやらないのではなく、一を聞いたら十を理解して、自分なりに形にしていける行動力も必要となってきます。そういう面で、協力隊経験者には期待しています。現地で実際に活動していたので即戦力となりえることも、当社のような小さな会社にとっては魅力です。

代表取締役
牛尼 恭史さん

商品を売ることによって期限内に結果を出さなければならないので、そのプレッシャーは大きいでしょう。そのためには、日本でどのようなものが売れるのかを察知するアンテナも重要。消費者に「欲しい」と思わせるようなマーケティング能力やセンスもあるに越したことはないのです。

 アフリカには、日本のデザイナーが思いもつかないような発想のものがたくさんあります。そんな「アフリカの力」ともいうべきインパクトを商品に最大限に表現し、日本に紹介するということが、私たちの役割だと思っています。

 「アフリカのためになることをしたい」と考えている方は、当社で自分の力を発揮して、やりたいことが存分にできると思います。

かごを編むガーナの女性たち。アフリカンスクエアーでは、こうして作られるかごを輸入販売している

JICAボランティア経験者から

現地の生産者との信頼関係を積み上げることに力を注ぐ

私はボツワナの織物生産者の協同組合で、生産管理や商品開発、市場開拓などの活動をしていました。帰国後、アフリカとは関係のない会社にいったん就職したのですが、「アフリカにかかわっていたい」という気持ちがずっと残っていたこともあって退職。そんなとき、たまたまネットで当社の求人案内を見つけました。

 募集していたのは「アフリカの布を使った洋服のデザイナー」。私はそうした経験はなかったのですが、とにかく履歴書を送付。すると後日、牛尼社長から「デザイナーは決まったけれど、一度会ってみたい」との連絡がありました。面接では、アフリカにかかわっていたいことや、手作りのものに魅力を感じることをアピールし、仕入れ担当者として採用していただきました。

 現在は、ケニアとタンザニアを中心とした東・南アフリカからの仕入れを担当。仕事の流れとしては、まずは商品を企画し、現地でサンプルを作ってもらいます。それを日本の展示会に出品したり、販売業者の方に直接見てもらったりして注文をとります。それを現地に発注して、注文した商品がきちんとできているかをチェック。そうした一連の生産管理業務のほか、輸入の手続きなども行っています。

 新規の取引先と仕事をするときなど、現地で品質を高めるための指導をしても、「このままでいいじゃない?」というような対応をされることは多々あります。だからこそ、私のほうでは約束をしっかり守ったり、「サンプルを作っても注文が必ずつくわけではない」と最初に話すなどして、信頼関係を積み上げることに力を注いでいます。

 協力隊時代、現地の人たちと泣いたり笑ったりケンカしたりしたことのすべてが、今の仕事の役に立っていると感じます。商品が売れると生産者も喜んでモチベーションが上がるので、これからもアフリカ的な商品を日本に紹介していきたいと思っています。

仕入れ担当
川越 朋子さん
(平成14年度派遣/ボツワナ/村落開発普及員)

PROFILE

有限会社アフリカンスクエアー
設立:1992年5月
所在地:埼玉県川越市増形3-2
事業内容:アフリカの雑貨や食品の輸入販売。日本のマーケットで通用する商品の開発。
職員数:20名(2010年7月現在)
JICAボランティア経験者数:3名(2010年7月現在)

HP:http://www.african-sq.co.jp/
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