株式会社ベネッセコーポレーション自社の資料提供協力により
協力隊の活動を支援

  • CSR活動
  • 開発途上国への物品提供

雑誌の付録を活動のヒントに

助産師や保健師として派遣されるJICAボランティアのなかには、地方農村部のクリニックなどで妊産婦指導に携わる例が少なくありません。医学的な知識を現地の女性たちにわかりやすく伝えるため、それぞれ教材づくりに工夫を凝らしています。そんななか、妊産婦指導に携わるJICAボランティアに対し、妊産婦向けの各種雑誌などを発行する株式会社ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)が技術提供協力を行いました。
 同社の協力を受けたのは、都市部から農村部まで地域の母子保健向上に取り組んでいる協力隊員の大野典子さん(平成23年度派遣/ネパール/保健師)。大野さんは、前任の協力隊員が妊婦指導のために作成していた妊娠週数の早見表「妊娠カレンダー」が現地の人たちに好評だったことから、識字率の低いネパールの農村女性にわかりやすいよう、妊娠週数ごとの胎児のイラストなどを加えた改良版の作成を計画。インターネットで情報を集めるなかで知ったのが、妊娠4カ月目ごろまでの妊婦に必要な情報をまとめたベネッセ発行の季刊ムック『初めてのたまごクラブ』(以下、『初たま』)でした。その付録である妊娠週数の早見表「ラクわかり妊娠スケール」の存在に注目しました。
 早速、ベネッセに問い合わせ、これまでの背景や使用目的、現状を伝えたところ、『初たま』を担当するメディア事業部たまひよ課から現物の提供とその使用許可を頂くことになりました。

メディア事業部 たまひよ課
米谷 明子さん

「初めてのたまごクラブ」2013年冬号

企業にとっても視野を広げるきっかけに

『初たま』のディレクター・米谷明子さんは、今回の協力に至ったいきさつをこう話します。「『初たま』は市販しているものなので、付録の商業利用を許可することは難しいのですが、ご自身のボランティア活動のなかで使うということなら問題ないということで、社内の許可を得てご協力させていただくことにしました」。
 大野さんは、「ラクわかり妊娠スケール」を参考に妊娠週数ごとの注意点や胎児のイラストを盛り込むなどして「妊娠カレンダー」を改良。妊婦指導で使用したところ、現地の女性たちにわかりやすく、興味をもちやすい教材だと好評でした。
 「大野さんとのやりとりのなかで、若年出産の多さなど、ネパールの妊婦さんたちの状況を教えていただきました。これは、日本の妊婦さんたちのことを中心に考えていた私どもにとって、視野を広げるとてもいい経験となりました。今後もこうした海外の妊婦さんのお役に立つことなら、可能な限りご協力したいと考えています」。(米谷さん)

ベネッセが提供した「妊娠スケール」をもとに作成された、ネパール語版「妊娠カレンダー」

JICAボランティアの声
大野典子さん(平成23年度派遣/ネパール/保健師)

これまで日本の妊産婦に向けてさまざまな情報発信をしてきたベネッセさんが持つ技術を、ネパールの妊婦指導に活用させていただいた結果、活動がより充実したものとなりました。他の分野でも同様に、日本企業の技術をお借りすることで、JICAボランティア活動の質を上げることが可能になることでしょう。今後は、作成した妊娠カレンダーを使って、妊婦だけでなく、保健スタッフや看護学生など妊婦指導をする立場の人たちの理解向上を促したいと考えています。

女性グループへの健康講座を行う大野さん
妊婦カレンダーを用いて妊婦指導中の大野さん

PROFILE

株式会社ベネッセコーポレーション
設立:1955年1月28日
本社事業所:岡山県岡山市北区南方3-7-17
事業内容:教育、出版、通信販売
連結従業員数:2,842人(2012年3月末現在)

HP:http://www.benesse.co.jp/
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