株式会社富士通ビー・エス・シー社員のJICAボランティア参加を
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社員の「多様な働き方」を尊重する方針から協力隊参加を後押し

長谷川さん(平成17年度派遣/タンザニア/コンピューター技術)のことは、協力隊に参加する以前から知っていました。彼女は非常にアクティブで、「社会のために何かをしたい」という強い思いを持っている。同じような若い社員は少なくありません。そういうモチベーションを持っていながら、仕事があるばかりに実現できないというのではもったいない。社員は会社の人間だけれども、会社だけの人間ではありません。社として長谷川さんの協力隊への現職参加を認めたのは、「社員の多様な働き方を認める」という、富士通グループに共通の方針からであり、「会社にとってどんなメリットがあるか」を考えていたわけではありませんでした。
 ところが実際は、長谷川さんを協力隊に送り出したことについて、社外のさまざまな方々に評価していただけたのです。当社は長谷川さんを通じてアフリカ支援のための寄付を行いましたが、それをPRする広告を新聞に出したところ、「私も長谷川さんのようになりたい」という希望を持って当社の新卒採用試験に応募してきた学生もいました。
 当社が昨年行った調査では、自分の仕事が会社だけでなく、社会のために役立っていることに喜びを感じている優秀な社員が多いということがわかりました。そこで今年度の新卒採用では、求める人材像に「『人』と『社会』に貢献できることに喜びを感じられる人」という項目を加えました。長谷川さんのように積極的に社会貢献に取り組む例が、社員の間の社会貢献への意欲が高まるきっかけになればいいと考えています。

ビジネスサポート本部 人事統括部採用センター長兼HRD推進部長
磯上 悦子さん

2年間は長いようでいて短い

社員の人材育成は、当社が非常に重視しているところでもあります。その面でも、長谷川さんが協力隊に参加した意義は小さくないと思います。「知識」はいくらでも教えることができるけれども、「マインド」の部分は、いくら「こうしなさい」「ああしなさい」と指導しても、なかなか変わるものではありません。「知っていること」と「できること」は違う、というのが当社の社員教育における基本的な考え方です。
 この「マインド」の部分は、やはり「経験」をとおして自分で何かを感じ、気づくことで初めて育つものなのだと思います。だからこそ、協力隊の経験は基本的な人間性の成長にとって意義が大きいはずです。
 長谷川さんから「協力隊に参加したい」という意思を初めて聞いたときは、「2年間も!?」と驚きました。2年の間に長谷川さんがどれだけ稼ぎ出してくれるかということを考えれば、確かに会社としては痛い。
 しかし改めて考えてみれば、30~40年という長い仕事人生からすると、2年というのはたいした長さではありません。たかだか2年の間、仕事を離れて協力隊員としての活動に没頭する。そして、そこで得たものを後に仕事のなかで発揮してくれるのであれば、会社としてもこのうえないことです。
 当社の業務は基本的にプロジェクトとして進めるものなので、ひとつの仕事の始めと終わりがはっきりしています。ですので、そのとき抱えている仕事が一段落する時期を見計らえば、2年という期間、会社を離れるチャンスを作ることは可能です。会社としては、その2年間分の気づきや学びをその後の事業や業務のなかで生かしてくれればよい投資であると考えています。

第二システム本部 第一システム事業部
長谷川 瞳さん
(平成17年度派遣/タンザニア/コンピューター技術)

JICAボランティア経験者から

協力隊経験で得たものを自分と職場の双方のために生かすのが課題

私が協力隊を志したのは大学時代のことでした。テレビなどで途上国の現状を知るにつれ、「恵まれた日本に生まれたからこそ、日本が持っている技術を途上国に伝えて、その発展に貢献すべきではないか」と考えるようになったのでした。通っていた大学は外国語大学。富士通ビー・エス・シーを就職先に選んだのは、協力隊で発揮できる技術としてコンピュータのスキルを身につけたいという思いもあってのことでした。
 入社して担当したのは、企業向けWebシステムの開発。協力隊参加の希望を会社側に伝えたのは、当時参画していたプロジェクトの完了が見えてきた時期でした。プロジェクトの端境期からの休職であれば、会社にかける負担を少なくできると考えたからです。
 協力隊員としてタンザニアに派遣されたのは入社5年目。短期大学でコンピュータに関する授業を行うというのが活動内容でした。教壇に立つのは初めてでしたが、あのときの経験は、後に復職して新人研修での講師を任されたときに生かすことができました。
 派遣中は、当社とのかかわりを絶やさないようにも心がけました。同僚たちには毎月、メールでレポートを配信。当社の動きなどについては情報を逐次メールで流してもらいました。協力隊の任期の後半には、任地の小学校に安全な飲料水を確保するための雨水タンクを設置するプロジェクトを企画しましたが、その実施に必要な資金の一部を当社に負担してもらったりもしました。

 復職は08年1月。帰国の数日後のことでした。同僚たちの成長ぶりを目の当たりにして、SEとしてのキャリアのなかで2年間のブランクが持つ負荷は確かにあると感じさせられました。しかし一方で、「初対面の人に自分を理解してもらう力がついた」「わからないことがあれば見栄を張らずに人に聞こうとする姿勢ができた」といった、私自身のさまざまな成長も実感しています。
 協力隊経験で得たものを、自分と職場の双方のために生かすことが、これからの私の課題だと思っています。

富士通ビー・エス・シーは長谷川さんを通じてアフリカ支援も実施。その活動を紹介する新聞広告には反響があった

配属先の教員にコンピュータの指導をする協力隊時代の長谷川さん

PROFILE

株式会社富士通ビー・エス・シー
設立:1963年11月20日
本社事業所:東京都港区台場2-3-1トレードピアお台場
事業内容:ソフトウェア開発とソフトウェアサービスおよびソリューションの販売
サッカーに関する国際的な交流および事業の実施など
連結従業員数:2,097名(2010年3月31日現在)
協力隊現職参加実績:1名

HP:http://www.bsc.fujitsu.com/
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