中央出版株式会社既存事業に新風を吹き込む
存在として期待

  • グローバル人材の育成・確保

中央出版株式会社は、幼児教育の教材を出版する会社として創業し、現在は、保育園の運営、宿泊・外食、ブライダルまで、さまざまな分野で事業を展開している。3年前にJICAボランティア事業のサポーター企業となり、青年海外協力隊経験者の採用も検討している。国内で事業を展開する同社が、なぜ青年海外協力隊に着目しているのか、そして協力隊経験者に何を期待しているのかなどについて、本社人事部人事課長の宮部洋行(みやべ・ひろゆき)さんに聞いた。

「社会問題をビジネスで解決」する会社

当社は、もともと幼児教材を出版する会社としてスタートし、現在、出版部門はKTC中央出版とアノニマスタジオという2つのレーベルを立ち上げ、教育に関する書籍はKTC中央出版から、食と暮らしに関する書籍はアノニマスタジオから出版する体制をとっています。出版以外では、当社が所有するホテルを中心とした複合型施設を活用し、宿泊や食事、ブライダルのほか、スポーツやカルチャー教室などを運営しています。さらに、グループ会社には建設会社や保険の代理店、パイロットの養成スクールなどもあり、社員の数はグループ全体で約6,000人にもなります。

もともと、幼児教育の教材を出版するだけでなく、教材をどのように使い、どのように指導したらよいかをサポートしてきました。その中で得たノウハウと経験を生かし、神奈川県と愛知県で認可保育所「アイン保育園」を運営しています。アイン保育園では、「生きる力」を育むことをモットーに、自立した子どもを育てる教育法としてイタリアで始まった「モンテッソーリ教育」を取り入れ、子どもたちにはさまざまなことにチャレンジしてもらっています。

事業内容が多岐にわたるため、何をしているのか分かりづらいかもしれませんが、社会問題を事業で解決しようというのがグループ全体で掲げているテーマです。保育園の運営は認可保育所に入れない待機児童問題がきっかけですし、通信制高校の運営は中高生の不登校が社会問題となったことをきっかけに立ち上げています。パイロット養成スクールも同様、世界的にパイロット不足が深刻化してきたことが契機となっています。

本社人事部 人事課 課長
宮部 洋行さん

固定観念にとらわれない保育士を求む

当社が保育士の求人で青年海外協力隊経験者の採用を考えるようになったのは、私が採用担当だった3年ほど前のことです。名古屋にあるJICA中部が開いたJICAボランティア帰国報告会に参加した時、スリランカで子どもたちが保育を受けられるような環境づくりを支援したという隊員の話を聞いたのがきっかけです。ゼロから企画を考え実現させた彼女のバイタリティーに感銘を受け、当社の保育園でも彼女のような保育士に働いてもらいたいと強く感じました。

保育園を運営していて感じているのは、考え方が画一的になりやすいということです。保育士も保護者も、保育士とは見返りを求めない聖職者のような職業であり、保育園は利益を求めるべきではないと考えてしまうところがあります。しかし、私たちのような企業が運営する保育園は、継続していくために利益を出さなければいけません。そして、それ以上に大切なのは、企業としてお客様が満足できる質の良いサービスを提供しなければならないということです。「保育士、保育園はこうあるべき」という固定観念にとらわれていると、ついそのことを忘れがちです。

協力隊の活動を終えて帰国した人たちは、開発途上国でチャレンジしてきた人たちです。日本という固定概念から離れ、遠い異文化の途上国に赴き、さまざまな工夫を凝らしながら課題の解決に挑戦してきたのです。そういう経験を持っている人であれば、これまでとは違う視点で、保育園のより良いサービスを考えられるのではないでしょうか。保育園という既存の枠組みの中にも、協力隊経験者が新しい風を吹き込んでくれることを期待しています。

新ビジネスの創出にも期待

もう一つ、青年海外協力隊経験者の採用を検討しているのが、当社が運営する日本東京国際学院で日本語を教える講師です。就労、留学、旅行など、日本を訪れる外国人は年々増えています。当社では、日本に住んでいる外国人やビジネス関係者、留学生、旅行者などさまざまなニーズに対応するため、長期留学、短期滞在、ビジネス日本語、在日外国人という4つのコースを設定し、日本語を指導しています。さらに、日本語の根底にある文化や習慣を理解してもらうため、文化交流や校外学習などの機会を提供し、カウンセリングや個別指導を通じて受験のサポートもしています。

受講生で多いのは、ベトナム、ミャンマー、フィリピンなどアジア圏の人々です。協力隊には、開発途上国で日本語を教えた経験を持つ人がいると聞いています。日本語を教科として教えるだけでなく、積極的に交流を図り文化の橋渡し役となってもらう上で、協力隊経験者の行動力や発想力は大いに役立つのではないでしょうか。現在は主に、大学新卒者と教師経験者を採用していますが、そこに協力隊経験者が加わることで講師陣の層も厚くなると期待しています。

この日本語学校もそうですが、当社には出版という事業にとらわれず、新しいビジネスを立ち上げる社風があります。それが現在の事業の多角化につながっています。途上国で新しいことにチャレンジしたいと考える協力隊経験者にとっても、魅力的な社風ではないかと考えています。現在は国内での事業が中心になっていますが、協力隊経験者には、アジアでのビジネス展開、BOPビジネスなどの新しい領域を開拓してくれることも期待しています。

PROFILE

中央出版株式会社
創業:1972年
所在地:名古屋市名東区一社4丁目165(本社)
事業内容:出版事業、保育事業、教室運営事業、宿泊・外食事業、ブライダル事業、地域支援事業
HP:http://www.chuoh.co.jp/top.html

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