ダンウェイ株式会社福祉分野に必要な力が養われる
青年海外協力隊経験

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国でのビジネス展開

ネパールで協力隊活動の現場を視察

障がい者の就労支援事業を行う当社は、2011年の設立から間もなくインテル株式会社と協同でホームページ作成ソフト「ICT治具(じぐ)」を開発しました。動物のアイコンを取り入れ、色(信号)や番号を使い直感的に操作できるようにしたもので、このソフトによって、障がい者がホームページ作成の仕事をこなすことが可能になっています。海外でも使っていただけるソフトであることから、2012年にその販売を開始して以降、海外での販売の可能性も探ってきました。その中で着目するようになったのが、人材の宝庫としての青年海外協力隊でした。2014年には、ネパールで活動する青年海外協力隊員の活動現場を視察するプログラムにも参加させていただきました。青年海外協力隊経験者の採用を視野に入れ、彼らが赴任中に経験することを直接見て確かめたかったからです。

 障がい者福祉の分野は現在、移りゆく時代と共に、携わる者にも成長と変革が求められる部分もあると感じています。国内の障がい者の総数は年々増えており、発達障がいや情緒障がいなど、障がいの種類も多様化してきています。一人一人の特性が異なるために画一化された対応は難しく、柔軟な対応が求められます。そこに従事する経験豊富な人材はまだ不足していると感じています。そうした状況の中でどのように事業を進めていけばいいのか、参考になるような他国の先行事例などがあまりなく、みずから適切なやり方を見出していかなければならないわけですが、こうした時代に求められのは、既成概念にとらわず、開拓精神が豊かな人材です。それは、海外に飛び出して何かをしようと志す青年海外協力隊員のイメージと重なるものでした。

企画室 室長
永栄 和久さん

協力隊経験で養われる「伝える力」

ネパールで協力隊員たちの活動現場を拝見して感じたのは、与えられたミッションを達成しようと奮闘する中で、福祉分野の仕事で求められるさまざまな力が養われているということでした。

 私が注目したのは、創意工夫を凝らした活動に取り組みながらも、決してルールを守ることをおろそかにしない姿勢です。たとえば、安全を確保する意図から、協力隊員が都市間を移動する際にはいつ、どこに行くかについて、JICA事務所に届けることがルールとなっています。それは一般の会社であれば「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」にあたりますが、少しの移動ならば手間がかかるのでついつい省きたくなってしまうような手続きにも感じました。しかし、彼らは細かいルールもしっかりと守っていました。リスクを避けるためにやらなければならないことがあるのだということを派遣前訓練で学び、学んだことを実直に守っている。福祉分野の仕事では、この「ルールをおろそかにしない姿勢」というものも非常に大切になってきます。障がい者や高齢者の安全は、それを確保するために設けた細かなルールを丁寧に守らなければならないからです。

 協力隊経験によって養われる力の中でほかに私が注目したのは、「伝える力」「柔軟な対応力」でした。ネパールはネパール語が公用語となっていますが、多民族国家であるため、地方へ行くとネパール語が通じない地域が多々あります。ある協力隊員は、ネパール語以外に任地の民族言語を独学で覚え、現地の方々に農業技術を伝えていました。言葉が通じない中での活動に当初は非常に苦労したと思いますが、現地の文化を吸収しながら対応していく柔軟性がベースになり、人に何かを伝える力が養われているのだなと実感しました。これもやはり、福祉分野の仕事ではとても重要なものです。障がい者や高齢者に接する現場の業務では、利用者さんに対する「柔軟な対応力」と「伝える力」が求められます。また、複数のスタッフが交替で施設の利用者さんへの対応にあたるなど、いわば一つのチームとして仕事に取り組んでいるのですが、チームの仲間に利用者さんの変化やコンディションなどをしっかりと伝達し共有することも、これに通じるところがあると思います。逆にこれができなければ、適切な対応や安全の確保が望めなくなってしまうのです。対人スキルやチームワークにおいても協力隊員はレベルが高いと感じました。

 ネパールでの視察により、協力隊員たちの福祉分野の仕事に対する適性が確認できたことから、今後、社員を募集する際にはまずは協力隊経験者の方々にお声がけさせていただきたいと考えています。彼らは当然、海外での事業展開で活躍していただけるとは思います。しかし、それだけを期待するのではもったいない。「語学力」や「海外経験」などを切り離して考えても、「柔軟な対応力」や「伝える力」などを持つ彼らであれば、日本国内の福祉業界を支える人材になり得るはずです。当社に入社していただけたならば、ぜひ、幅広い業務で活躍していただきたいと考えています。

民間連携ボランティアでノウハウを世界に

日本は現在、世界の中で最も高齢化の進んだ国となっています。さきほど、障がい者福祉の分野は移りゆく時代と共に成長と変革が求められる時代に入っていると申し上げましたが、日本は今、少子高齢化などの背景もあり福祉分野全体が世界的に見ても前例のない状況に置かれ、その対応方法を見出そうと模索をしているところだと思います。そうした中で、いわばパイオニアとして歩みながら培っていくノウハウは、その後、他国に提供していくべきものとなるはずです。その一つの手段となるだろうと考えているのが、民間連携ボランティア制度です。当社の社員が協力隊に参加すれば、本人の成長が期待できるのはもちろんのこと、同時に、当社が培っていったノウハウがその社員を通じて派遣国に提供されることにもなります。

 ぜひ今後、日本と海外の両方で福祉分野の新しい潮流を生み出す企業へと成長していくためにも、青年海外協力隊事業との協力関係を深めていければと思います。

PROFILE

ダンウェイ株式会社
設立:2011年1月
所在地:神奈川県川崎市中原区新城1丁目12番15号
事業内容:障がい者就労支援事業、障がい者雇用支援事業など
HP:http://www.danway.co.jp
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