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  • グローバル人材の育成・確保

教員に必要な多くの素養を協力隊経験の中で学んでほしい

青年海外協力隊の現職教員特別参加制度が設置された平成14年度から21年度までの間、この制度によって兵庫県から協力隊に派遣された現職教員は74人に上ります。さらに、平成19年度に実施した教員採用候補者選考試験からは、特例措置選考である「社会人経験者区分」の具体的な応募資格に「青年海外協力隊として2年以上の派遣経験を有する者」を加えるようになり、平成21年度までに14人がこれに該当して合格となっています。
 こうした措置の背景には、教員には多くの素養が必要であり、開発途上国に赴いて試行錯誤しながら活動する経験から得るものは非常に大きいという考えがあります。
 当教育委員会では、協力隊への現職参加を希望する教員がいた場合、それを叶える方向で調整をしています。また、帰国後も1年間は派遣前に在籍していた学校に戻れるような配慮もしています。
 現職教員を協力隊に参加させるということは、代替の教員に入ってもらわなければならず、負担もあります。しかし、協力隊に参加する教員の配属先の管理職からは異論が出るということがありません。それは、協力隊に参加する教員たちが帰国後、派遣先で得たことを教育現場にさまざまな形で還元し、成果を発揮しているからです。
 現在はインターネットも普及しており、協力隊員として赴任している間も、日本の所属先の学校とメールなどを使って容易に連絡が取れるようになっています。そうしたことも、帰国後の円滑な復職に役立っているようです。

教職員課 副課長(当時)
冨田 哲浩さん

異文化交流の経験が最大の武器

当教育委員会では、協力隊員として派遣されている教員が現地でどのような活動をし、どのような生活を送っているのかを把握しようと、2008年に視察団をカンボジアに送りました。私もそのメンバーのひとりです。
 カンボジアはクメール語が公用語であり、日本人には自在に使いこなすのが難しいのですが、現地の教員よりも協力隊員のところに子どもたちがたくさん集まっていました。それだけ子どもたちの意欲を引き出す接し方ができていたということだと思います。教材にしても、物が満足にないので工夫して準備しなければならない。カリキュラムも日本とは大きく異なり、現地の教員たちとの連携も大変です。それでも、隊員たちは持ち前のエネルギーでコミュニケーションをはかり、周囲に受け入れられ、敬意を持たれていることが見てとれました。
 日本はカンボジアに対して遺跡の修復に関する支援などもしており、カンボジアが親日的な国であることもうかがえました。グローバル化する世界のなかで日本が果たすべき役割はさまざまでしょうが、相手国から親近感や敬意を持たれる人的支援のひとつとして、現職教員の派遣も大切なことだと考えます。
 苦労しながら多くの体験をする協力隊活動は、帰国してからの教員としての仕事に必ず生きてくるはずです。派遣国での体験を日本の子どもたちに語ることにも、もちろん意義はあります。しかしそれ以上に、教員は人を相手にする仕事なので、生活習慣や文化がまったく異なる人たちと交流した経験がその後の仕事に生きてくるのだと思います。協力隊を経験した教員のなかには、「協力隊に参加する以前は、自分の教え方や教材作成の仕方などに対してあまり専門性を感じていなかったが、派遣国でいろいろな体験をしたことで、自分の仕事にプロとしての誇りを持つようになった」といった感想を寄せる人もいます。
 協力隊に参加すれば、地球規模の視野や思考が身に付く。それは日本の子どもたちにとってもいい影響があるはずです。

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