日本電子計算株式会社協力隊への参加は「人間力」を
鍛えるチャンス

  • グローバル人材の育成・確保

「人間力×IT」

日本電子計算株式会社(JIP)では、どんなにIT技術が発展し、情報化が進んだとしても、それを創り、支える「人間力」が重要であると考える。人間力が優れたIT技術を生みだし、人間力がIT技術とクライアントをつなげるからだ。

 「人間力」を高める方法は様々あるにちがいないが、同社には、青年海外協力隊での経験を通して、「人間力」に磨きをかけた社員がいる。今回は2007年から2年間、現職参加で協力隊員としてスリランカへ派遣され、現在は同社のサービス統括本部・金融システム本部で活躍する土屋素直さん(平成18年度派遣/スリランカ/コンピューター技術)にお話をうかがった。

職場で身につけた技術を途上国で生かしたい

土屋さんが青年海外協力隊に興味を持ったのは、高校時代に参加したNGO主催の途上国でのスタディーキャンプにさかのぼる。現地に滞在しているNGO職員の中に、途上国の状況を熱っぽく語る人物が数名いた。よくよく話を聞くと、彼らは皆、協力隊経験者であることが分かった。彼らの話から想像する未知の世界に思いを馳せながら、「いつか自分も」と強く思ったという。大学へ進学してからは、途上国の開発やアジアの開発論に興味を持ち、知識を深めた。同社に就職してからは仕事に専心し、プログラミング言語を習得するなど専門的な技術を身につけた。

 「就職して6年間、協力隊参加への思いは常に頭の片隅にあった」と土屋さんは話す。そして、当時、携わっていた長期プロジェクトが完了する見通しが立ったことを機に、協力隊へ応募。職場で身につけた知識や技術を存分に生かしたいとの考えから、「コンピューター技術」という職種を選び受験した。合格した土屋さんはまず、自身が所属していたプロジェクトチームのリーダーに、合格の報告と、自らの技術で国際協力に貢献したいという志を、ありのまま話した。「どんな反応をされるのか、緊張していたことを覚えています」と土屋さんは当時を振り返る。そんな土屋さんの緊張は、リーダーの次の一言で吹き飛んだ。「昔、自分も協力隊に興味を持っていた。いい経験になるよ」。

「人間力」を鍛えるチャンス

土屋さんは、同社に籍を置いたまま協力隊に参加したが、実は、同社ではこのような前例は少ない。しかし、このようなケースに対しても、柔軟な姿勢が同社にはある。土屋さんからの協力隊に合格したという報告を受け、高い志と熱意を確認した役員一同は、本人の意思を最大限に尊重しようとの結論に至ったという。土屋さんの申し出から、社としての回答、つまり現職参加を認めるまでにかかった時間は、わずか1週間。約1,200名の社員を抱える企業にあっては、極めて迅速な対応だといえる。

 総務部長の高橋肇さんは、次のように話す。「『人と人とのつながりを大切にし、融和を重んじる』、これはお客様に対しても、社員に対しても同様です。これが弊社の社風なのだと思います。また、弊社の社員が、弊社で身につけた技術を武器に、協力隊に参加するということは、社としての社会貢献にもなります」。

 現在、土屋さんの上司である幸田広史さんは、「『人間力』を高めるには、様々な能力を磨く必要があります。たとえばそれは、コミュニケーション能力であり、行動力であり、創造力であったりするわけですが、異文化での生活は、そうした様々な能力を向上させる機会になると考えています。2年にわたり社員が不在となることは、一見、会社にとってマイナスに見えるかもしれません。しかし、2年にわたり人間力を磨き、語学力も身につけて、復職後にそれらをフィードバックしてくれるのだと考えれば、これは会社にとって大きなプラスだと思います」と語る。

社員が現職のまま国際協力に携わることは、社としての社会貢献でもあると話す総務部長の高橋さん。

土屋さんの「人間力」と「語学力」は会社にとっても大きな財産だと話す上司の幸田さん。

自分が変われば相手も変わる

土屋さんが派遣された先はスリランカの教員養成大学。コンピューターの教員を目指す22歳から25歳くらいまでの生徒を中心に、コンピューターに関する知識や技術の授業を担当した。

 「派遣された当初は、打ちのめされることばかりでした。まず、彼らの言語であるシンハラ語で授業を行うことに一苦労。そして、自分の知識や技術を人に伝えることの難しさを実感。おまけに、スリランカの女性教員の典型的な服装でもあるサリーを着ることにも抵抗があり、初めの1ヶ月はパンツルックで教えていました。そんな状態ですから、生徒たちにも信頼されず。でも、人間は逞しいもので、その内に慣れてくるんですね。スリランカ人と共に毎日のようにカレーを食べ(笑)、困ったときにはスリランカ人の先生の授業を参考にしました。そうしているうちに、次第に言葉にも慣れ、教えることにも慣れ、サリーを着ることも好きになり、サリーの生地を買うことも楽しくなりました」と土屋さんは笑う。

 土屋さん自身が教えることを楽しめるようになると、生徒たちとの信頼関係も自然に築かれていった。不安を感じながら教えていたころは、生徒の遅刻が目立ったが、彼らの文化を尊ぶ気持ちでサリーを身につけ、同僚や生徒たちと対話を重ねながら指導するようになると、生徒たちの遅刻も徐々に減り、授業にも熱心に臨むようになったという。

派遣先のスリランカにて。中央で青いサリーを着ているのが土屋さん。

どんなことでも乗り越えられる

協力隊に参加する前は、2年のブランクが大きな壁になるのではないかと心配し、復職後の自分を想像すらできずにいたという土屋さんだが、復職にあたり大きな問題はなかったと話す。「何かと気にかけてくれる親切な上司や同僚のおかげもあり、『なにをあんなに心配していたんだろう?』って思うくらいです。それに、スリランカにいる間に逞しくなったみたいで(笑)。『思い通りにいくことのほうが少ないスリランカで何とか2年間やってきたのだから、どんなことでも乗り越えられる』と大らかに考えられるようになりました」。

 スリランカで身につけた、「対話を大切にし、相手の価値観を尊重しながら教える」というノウハウは、現在もなお後輩を指導する上で大きく役立っているそうだ。土屋さん自身は意識していなかったと話すが、現地での活動を成功に導いたものは、同社が掲げている「対話と尊厳」という基本理念だったのかもしれない。

PROFILE

日本電子計算株式会社
1962年の設立以来、証券・金融機関・官庁・自治体をはじめとした多くのお客様に対し、情報技術(IT)をお客様の価値として提供する事業を展開してまいりました。「対話と尊厳(Dialog & Dignity)」を基本理念として掲げ、「優れた情報技術を駆使し感性豊かなサービスの提供を通しお客様とともに成長し情報社会への貢献」を目指します。
環境問題への取り組みについては、『環境マネジメントシステム』の構築や、環境に関する国際的な標準規格であるISO14001の認定を受け、環境保全活動の充実を図っています。また、Web会議システムの利用、ペーパーレスの実施、電力使用量削減のための機器導入などを実施し、CO2削減に取り組んでいます。
お客様や社会構造の変革(イノベーション)に貢献するだけでなく、私たち自身が変化していく気概を持ち、IT技術のプロフェショナル集団として成長し続けたいと考えています。
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