KDDI株式会社社員の協力隊経験が
他の社員への刺激となる

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

当社では、前身の国際電信電話(KDD)の時代からこれまでコンスタントに社員が協力隊に現職参加しており、その数は60人近くに上ります。現在も2人の社員が派遣中です。最初の例は昭和40年代の初め。当時から社員が協力隊に参加したり、途上国から研修生を受け入れたりというのが当たり前のこととして行われてきました。国際通信事業では、通信の相手国でも日本国内と同じレベルの設備を維持することが不可欠であり、「途上国への技術移転」はいわば事業の一部だったのです。

 社員が協力隊へ現職参加することの意義として、「社員の育成」がありますが、当社にとってその重要性が高まり始めたのは、携帯電話がデジタル化された1990年代半ば以降のことです。途上国で先進各国の通信事業者が携帯電話の事業展開を競うようになるなか、「途上国で働く感覚」を身につけた人材が必要となってきた。この感覚を養う格好の場が協力隊だったのです。そこで当社では、協力隊のそうした側面を重視し、かつては通信事業に直接関連した職種以外では社員の協力隊への現職参加を認めていませんでしたが、近年は「PCインストラクター」などの職種でも認めるようになりました。協力隊を経験した社員については、人事担当部門が海外勤務者を選ぶ際の参考になるよう、派遣国などを記載した一覧表も作成しています。

 協力隊に参加する社員の経験は、ほかの社員にも還元するようにしています。たとえば、派遣中は定期的にレポートを送ってもらうようにしているのですが、当社の経営トップも必ず目を通し、ほかの社員にとっていい刺激となるような内容が含まれていると、社内向けのホームページで紹介したりします。最近紹介されたのは、アフリカで協力隊員として活動している男性社員のレポート。当社の業務では、若手の時期は大きな仕事のごく一部を上司の指示に従ってこなしていくだけになってしまう場合もあるけれども、協力隊活動では、誰と何をやるのか、すべて自分が主体となって現地の人とともに考え、探していかなければならない、それが驚きであり、学びの機会でもあることから、そのレポートを、「与えられた仕事だけをこなしていればいい」という「セクショナリズム」からの脱却を促す狙いをこめて紹介したわけです。これが社員たちには「仕事」についてあらためて考え直すよいきっかけとなるようで、「レポートを書いた社員とぜひ連絡が取りたい」と言ってくる者もいます。

 社員が協力隊に参加するというのは、今日や明日の儲けにつながるかどうかという話ではなく、もっと広い視野に立って社の力を底上げするもの。今後もそうした期待のもと、社員の現職参加を応援していきたいと考えています。

渉外・広報本部長
藤田 元さん

PROFILE

KDDI株式会社
創業:1984年
本社所在地:東京都千代田区飯田橋3丁目10番10号 ガーデンエアタワー
事業内容:電気通信事業
従業員数:1万9,680人(2012年3月31日現在・連結ベース)
協力隊経験者数:58名(現職参加/2012年9月30日現在)

HP:http://www.kddi.com/
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