株式会社マンダム異文化での経験を持ち帰り、一石を投じ、
周囲に影響を与える存在になってほしい

  • グローバル人材の育成・確保

人材育成制度の一環で社員を青年海外協力隊に派遣

アジアでの事業展開に力を入れている当社では、2011年4月、全社的に「グローバル人財」の育成に注力する新たなビジョンを打ち出しました。これは、5年をかけて当社が「アジアでグローバルな経営を強みとするオンリーワンカンパニー」を目指すためにヒトを中心に捉え、策定したものです。

 語学が堪能なだけではなく、どこで誰と仕事をしても成果をあげることができる人財を育てたいと考えています。

 具体的な施策のひとつが、若手社員を対象に希望者を募り、1年間の海外研修に出す「海外トレーニー制度」。本制度では、当社の拠点がある国に派遣する「マーケティングコース」「製造コース」のほかに、拠点のない国に青年海外協力隊員として派遣する「JICAコース」の3コースを設けました。これは、JICAと企業が組んで青年海外協力隊員を派遣する「民間連携ボランティア制度」が始まると知り、活用させていただいたものです。

 2012年度に派遣した海外トレーニー制度の第1期生は計8人。そのうちの一人、鈴木貴之がJICAコースでカンボジアに赴任しました。

 鈴木以外の7人は、当社の拠点がある、つまり頼れる人のいる国や地域で、化粧品に関するマーケティングや製造などの業務に従事します。しかし、鈴木は知り合いもいないなかで、当社の業務に直接的には関連のない仕事に取り組むわけです。私は、それがかえって有意義なことだと考えています。

 まったく知らない人たちと信頼関係を構築し、与えられたことをこなすのではなく、何も課題が与えられていないところから課題を見いだし、成果を上げていく、いわゆる「PDCAサイクル」を実践することで、精神的なタフさを獲得し、思考力や創造力を高められるのではないかと思うのです。それがJICAコースを設けた理由であり、青年海外協力隊としての活動に期待する点です。

人事部 人事企画課 主幹
田口 逸郎さん

グローバルな視点を国内で生かしてほしい

鈴木が赴任して3ヵ月後にカンボジアを訪れた際、彼の成長ぶりに驚かされました。派遣前はどちらかというとおとなしいタイプで、英語も特別得意ではなかった彼が、友達をつくって現地語(クメール語)を学んだり、食べ物や住居など、現地の人々と同じ水準で生活していたり…。知見のない分野で、自分に何ができるのか、限られた期間で成果を上げられるよう、逆算して今は何をすべきか考えている。非常にたくましくなったと感心しました。当社の海外トレーニー制度の目的は、海外における駐在員の育成ではありません。グローバル化が遅れているのは、むしろ国内拠点なので、グローバルな視点を持った人間に、国内で活躍してほしい。派遣されている彼ら自身の成長はもちろん、帰ってきてから職場の同僚たちに刺激を与えること、つまり社内に一石を投じる存在になってもらうことが最大の狙いです。

 日本人ばかりの“あ・うんの呼吸”で通じ合い、物事が決まってしまう環境にいた人間が、いきなりマイノリティーになるわけですから、苦労も多い分、得るものも大きいでしょう。我々はよく「あ・うんの呼吸の中では、新しい付加価値は生まれない」と言うのですが、そういう意味で鈴木には、今までにない視点や意見を発してほしい。例えば、これまでルーティンで行っていた業務も、「これは本当に必要なのか。誰のためのものなのか」と、本質に気付くこともあるでしょう。いわば、「異質な存在」になってほしいと思っています。

 トレーニー制度の意義を社内で理解してもらうための報告会を開き、鈴木の活動を紹介したところ、皆が「鈴木がクメール語を話している!」「電気もない場所で生活している!」と、声を出して驚いており、自分も何かしたいという思いを抱いた者も多いようです。

 今年も引き続きトレーニー制度でJICAコースを設け、フィリピンに青年海外協力隊として社員を派遣しています。

バイオガスの安定供給を目指すプロジェクトで村の女性たちとの意見交換する鈴木さん。

JICAボランティアの声
鈴木貴之さん(平成24年度派遣/カンボジア/村落開発普及員)

振り返ってみると、自分が無力であることを痛感した1年でした。しかし、無力であると知ったことによって、自分はもっと何かできるのではという向上心が生まれたと感じています。

 私は日本で4年間、営業職で働いてきましたが、自分の視野拡大につなげたいと考え、「JICAコース」への参加を決意しました。派遣されたのはカンボジアの中でも貧困州の一つに数えられるスバイリエン州。活動の拠点である村では、家にトイレがない、洗濯は手洗い、お風呂は水がめに雨水を溜めて使用…。日本では苦労しないようなことが、ここでは大変な作業となります。言語、生活習慣が違えば、当然、考え方も異なります。

 そうした状況にあって、独り善がりの企画を提案しても、誰も耳を傾けてはくれません。相手にとって意義があると納得してもらう必要があります。そのために必要なことは、第一に相手を知る「情報収集力」。どこに課題があるのか、その課題をいかに改善していくことが現地の人々のプラスになるのかを知ることが大切です。そして、課題解決のためには、現地の人々との関係の強化を図り、活動に巻き込んでいく「コミュニケーション能力」が必要です。相手を知り、ニーズをつかみ、交渉し、目的を達成する。カンボジアで得たこれらの能力を、今後は日本の職場で生かしていきたいと考えています。

関西支店大阪営業所
鈴木 貴之さん
(平成24年度派遣/カンボジア/村落開発普及員)

PROFILE

株式会社マンダム
設立:1927年12月23日
本社所在地:大阪府大阪市中央区十二軒町5-12
事業内容:化粧品・香水の製造および販売、医薬部外品の製造および販売
従業員数:522名(2013年3月31日現在)
協力隊経験者数:2名(2013年7月現在)

HP: http://www.mandom.co.jp/
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