三菱重工業株式会社協力隊経験者は
企業が求めるグローバル人材そのもの

  • グローバル人材の育成・確保

三菱グループとしての創業は1870年。私ども三菱重工の創立は、1884年に、政府から長崎造船局を借り受け、造船業を本格的に開始したことに始まります。事業内容としては、エネルギー環境分野、交通・輸送分野、防衛・宇宙分野、機械・設備システム、以上、主に4つのドメインで事業を展開しています。具体的な製品としては、各種発電プラント、有毒ガスやCO2を回収する装置や、国産旅客機、ロケットや宇宙ステーションの開発などにも取り組んでいます。

 なお、私自身は25年の会社員生活のうち、約20年間にわたり人事部門で仕事をしてきました。当社の求める人材像について、「ABC」があります。まず、「A」はActive。責任感に溢れて、情熱を持って最後までやり遂げる人材。「B」はBlanced。これはお互いの価値感を尊重し合える、バランス感覚に優れた人材。「C」はCreative。柔軟な発想で自ら考え行動し、新しい価値を生み出す人材。こうした能力を備えた人材が、企業価値を生んでいるといっても過言ではありません。

 当社では中期事業計画と呼ばれるものを2年ごとにつくるのですが、今年度は「グローバル展開のさらなる加速」に取り組むことになっております。具体的には、海外売り上げを、2011年から2014年の間で約2倍、海外生産は、1.5倍、海外調達も1.5倍にすることが計画されています。

 こうした背景もあり、当社ではグローバル人材の確保においても、これまで以上に力を入れる運びとなりました。その一環として、2012年3月、青年海外協力隊の現地視察団として、エチオピアを訪問させていただいたのです。9日間にわたる視察を通じて分かったことがあります。それは、協力隊員の皆さんが、企業における業務の基本といわれているPDCAサイクルを、いかに厳しい環境下にあろうとも実行されているということです。1)やりたいことを企画(PLAN)、2)関係者を巻き込みながら実行(DO)、3)うまく行っているのか検証(CHECK)、4)問題や課題に対する対策を打つ(ACTION)。人事部門で多くの社員と接してきた私は、悪戦苦闘した人間が、それを乗り越えた後に、大きく成長した姿を数多く見ています。したがって、大きな苦労を乗り越えた協力隊員の皆さんは、必ずや自分のカラを破り、大きく成長をするものと確信しています。

 また、派遣された隊員の皆さんは、次の5点を自分のものにして帰国されます。1)普通の環境では身に付かない心身のタフさ、2)何かを企画し、それをやり遂げる力、3)誰とでも人間関係を築き、相手を動かすことが出来る力、4)何か新しいアイデアを作り出す力、5)異文化に対する深い理解、現地でのネットワーク。こうした、優れた能力を備えた協力隊の皆さんの経験を評価し、私どもでは、協力隊OB採用に対する積極的な取組みの一つとして、JICA開催のセミナー等へ積極的に参加し、応募をPRしています。また、社内グローバル人材育成プログラムの一つとして、協力隊への派遣を検討しています。いずれの取組みも、海外でのビジネスを早期に立ち上げ、成果を上げるためには、現地に精通し、ネットワークを持った人材の投入が効果的だと考えるためです。

 これから日本は、グローバル化の流れの中で、今まで以上に変化の大きな時代を迎えることでしょう。例えば雇用の面における大きな変化の一つは、企業が外国人の採用に積極的になってきたことです。「労働政策研究・研修機構」の2010年の調査によれば、従業員300人以上の会社のうち、約40%の企業が外国人を採用していることが分かっています。今の日本の若者は日本人とだけ競争していればいいのではなく、日本人にはないバリューを持った外国の人たちと比較されつつ、競争しなくてはなりません。これからの日本を支えていくのは、グローバルな視点を持った、逞しい人材です。そのための成長プログラムとして、協力隊に参加することは、本人だけではなく、企業にとっても非常に価値のあるものだと思っています。

船舶・海洋事業本部 企画管理部 主席部員
張能 文夫さん

青年海外協力隊の現地視察団としてエチオピアへ。グローバル人材としての協力隊をあらためて実感したという。

これからの日本を支えていくのは、グローバルな視点を持った、逞しい人材。そのための成長プログラムとして青年海外協力隊は、企業にとっても有意義であると語る張能さん。

PROFILE

三菱重工業株式会社
設立:1884年7月7日
所在地:〒108-8215 東京都港区港南2-16-5(三菱重工ビル)
事業内容:船舶、発電プラント、環境装置、産業用機械、航空・宇宙機器、エアコンなどの製造・販売・エンジニアリング
従業員数:連結68,887人(2012年3月31日現在)
HP: http://www.mhi.co.jp/
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