みかど協和株式会社世界を舞台に活躍できる人材として
協力隊経験者を採用

  • グローバル人材の育成・確保

みかど協和株式会社は種の開発・生産力を強化するため、みかど育種農場と協和種苗株式会社が2007年に合併。フランスの農協組織を母体とする野菜種子・種苗売上げ世界第2位のリマグレングループの一員となった。現在は、新品種の開発などを通じて日本とアジアの農業の発展に貢献していくことを目指し、より一層、事業のグローバル化を進めている。こうした中で2年ほど前から検討を始めたのが、青年海外協力隊経験者の採用だ。同社代表取締役副社長の酒井隆子(さかい・たかこ)さんに、その背景や狙いなどについて話を聞いた。

即戦力人材としての魅力

日本や東アジアで食べられている野菜の多くが、アジア特有のものです。たとえば、東アジアで食べられているカボチャと、欧米のパンプキンスープなどに使われるカボチャでは種類が違います。そのため、東アジア向けの野菜の種子の開発・販売は、欧米よりも日本の種苗会社のほうに利があるといわれています。四季のある日本で開発した野菜は、寒い国にも暑い国にも販売できるという強みもあります。

農業のグローバル化に伴い、拡大するアジアのマーケットをどのように攻略するかは、種苗会社が抱える共通の課題です。当社はフランスのリマグレングループの一員として、日本を含む東アジアで野菜種子の品種の開発・生産・販売を行っています。特に得意としているのが、カボチャ、トマト、ダイコン、ネギ、ニンジンです。現在、海外では中国と韓国に販売子会社を持っていますが、将来的にはタイ、ベトナム、ミャンマーなどへの展開も考えています。

グループ全体では、現在55ヵ国に約1万人の従業員がいますが、その多くが母国以外での企業活動経験、留学経験、ボランティア経験などを持っています。海外にあるグループ企業や農場との取引もあるため、英語やフランス語と言った語学力はもちろんのこと、外国人とのコミュニケーション能力は不可欠です。

こうした背景もあり、当社では2年ほど前から青年海外協力隊経験者の採用を考えるようになりました。協力隊員として海外で農業分野の仕事に関わってきた人であれば、仕事だけでなくコミュニケーションスキルもあり、即戦力となるポテンシャルが期待できると考えてのことです。そして、2016年度に協力隊経験者を募集しました。

代表取締役副社長
酒井 隆子さん

当社を支える協力隊経験者

実は、協力隊経験者を採用するのは初めてではありません。当社は、20~30年前にも協力隊経験者を計10人ほど採用しています。当時はどこの種苗会社も成長期にあり、当社もグローバル化を視野に協力隊経験者を積極的に採用したと聞いています。たとえば、国内営業本部長は協力隊員として中国へ、前マーケティング本部長はケニアに派遣されていた経験があります。現在は全員が50代以上になり、管理職になっている人、あるいはすでに定年退職した人もいます。

彼らと一緒に仕事をしてきて感じるのは、語学が堪能でコミュニケーション能力があることです。もちろん個人差はあると思いますが、英語圏に派遣された人は英語が、フランス語圏に派遣された人はフランス語が話せるのはもちろんのこと、アジア圏などに派遣された人は、その国の言葉を話せるようになって帰国し、入社後も、語学力を生かして仕事をしています。国内営業本部長も中国語が堪能で、入社後は主に中国を担当し、中国支社長も務めていました。厳しい環境の中で活動してきたせいか、非常にタフだという印象です。

今回、協力隊経験者の採用活動に当たっている研究開発本部の兵藤修也本部長もまた、協力隊経験者です。兵藤本部長は大学の農学部を卒業後、1982年から2年間、野菜栽培の技術指導のため、バングラデシュに派遣されました。国立農業改良普及員養成所に配属され、園芸教官として活動したそうです。自身も協力隊経験者ということもあって、当社がかなり久しぶりに同じ協力隊経験者を採用することに前向きで、彼自身、大きな期待を寄せているようです。

 

協力隊時代の兵藤さん(写真左端)

新たなマーケット開拓に向けて

野菜の種には、その土地で何代にもわたって味や形が固定されてきた固定種と、異なる親を交配させることで生まれるF1種(一代交配種)があります。F1種は親よりも生育が早い、形や大きさなどの揃いがよい、病気に強い、収量も多いなどの特徴があります。農家にとっては栽培しやすく高収入を得られることがメリットです。現在、日本のスーパーで売られている野菜はほとんどがF1種ですが、開発途上国で売られている野菜は多くが固定種です。F1種は開発途上国の農家にとっては種の価格が高いため、まだ一般的ではないからです。

しかし、F1種のマーケットは、国の経済成長とともに拡大するといわれています。中国では固定種が主流ではありますが、F1種のマーケットがすでに拡大しつつあります。今後は、タイ、ベトナム、ミャンマーなどの国々にも経済成長とともにF1種のマーケットが広がっていくことでしょう。そういう意味で、東南アジアは種苗会社にとって非常に魅力的なマーケットなのです。当社が協力隊経験者を積極的に採用していた20~30年前が種苗会社にとっての第一次成長期なら、今後は第二次成長期と捉え、協力隊経験者を積極的に採用し、さらなる飛躍を遂げていきたいと考えています。

意外に思う方が多いかもしれませんが、種苗は海外とのつながりが非常に強い業界です。種の生産は海外がほとんどですから、当社の社員はミーティングなどで海外に行くことも珍しくありません。そのため、語学力とコミュニケーション能力は必要不可欠です。加えて重要なのが、いろいろなことにチャレンジし、成長したいという意欲を持っていることです。最近の日本の若者はとてもまじめでしっかりしているのですが、周りに気を使い過ぎて、自己主張しないところがあるようにも思います。

コミュニケーション能力はもちろん、積極性を持った青年海外協力隊の経験者は、これからの時代、とても貴重な人材なのではないかと感じています。  

千葉県千葉市緑区にある本社の全景

PROFILE

みかど協和株式会社
設立:2007年
所在地:千葉県千葉市緑区大野台1丁目4番11号(本社)
事業内容:野菜、花種子の育種、研究、試験、生産および販売等
協力隊経験者数:10人(2017年1月現在)
HP:http://www.mikadokyowa.com/

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