株式会社良品計画青年海外協力隊員の協力で
キルギスのクリスマスギフトを企画・販売

  • CSR活動

「商いを通した社会貢献」の一環として

衣服や雑貨、家電、家具などを展開する「無印良品」(海外では「MUJI」)では、2011年に引き続き、2012年もJICAと共同企画したキルギスとケニアの商品を同ブランドのクリスマスギフトとして販売しています。この取り組みの名称は「MUJI×JICAプロジェクト」。牧畜が盛んなキルギスの商品は、同国で生産される羊毛からつくるフェルトの携帯機器ケースなど。ケニアの商品は、同国でとれるやわらかい材質の石「ソープストーン」に動物の彫刻を施した小物です。2012年のラインナップは4アイテム、7種類。インターネットでの販売のほか、国内は約300店舗、海外は欧州や米国、中国をはじめとするアジア各国の店舗で全アイテム、もしくは一部のアイテムを取り扱っています。
 当社はこれまでも「商いを通した社会貢献」を目指してきましたが、クリスマスギフトの今回の商品開発もその一つです。2011年のクリスマスギフトのテーマのひとつを、社会や環境に配慮する「エシカル」に設定したことをきっかけに、途上国の方々が生産する商品の開発をスタート。途上国の方々のものづくりに対して技術面の支援をされてきたというこれまでのJICAの実績を知り、相談をさせていただいたところ、実際に青年海外協力隊の方々が技術支援に携わっているものを含め、JICAによるものづくりの事例を80件ほど紹介していただきました。そのなかから10件ほど選び、サンプルを取り寄せて品質などを吟味。最終的に選んだのが、キルギスとケニアで青年海外協力隊の方々が支援するJICA一村一品プロジェクトの生産者たちでした。

生活雑貨部 海外商品担当
増田 明子さん

青年海外協力隊員が技術指導をフォロー

「MUJI×JICAプロジェクト」では、商品の開発やデザインなどを当社で行う一方、JICA一村一品プロジェクトのメンバーや青年海外協力隊の方々が現地の生産者に対する技術指導にあたっています。プロジェクトの一つ、キルギスへの発注は2011年が1万個、2012年が1万4000個と大量であることから、生産者は27グループ・約300人に上ります。ところが、彼らが属するコミュニティーは、琵琶湖の約9倍もある湖の湖畔に点在。そのため、各生産者へいかにして同じ形、同じ寸法の商品をつくってもらうかというのが大きな課題となってきます。そこでまず、JICA一村一品プロジェクトメンバーが、各生産者グループの代表者を集めて製作技術を指導するセミナーを開催。当社の担当者が現地に赴き、現場への改善指導や確認およびセミナーを実施しました。生産においては、同国の一村一品運動の支援に取り組む青年海外協力隊の方々が、配置先の生産現場で技術指導にあたってくれました。

 日本の市場に出す製品に求められる品質の水準は高く、それを生産者の方々に理解してもらい、大変だけれどもあきらめずにつくり続けてもらうというのは簡単なことではありません。そういうなかで、JICA一村一品プロジェクトのメンバーや青年海外協力隊の皆さんが果たす役割はとても大きい。というのも、彼らは日本と現地の文化や生活の違いを踏まえながら、日本で求められる品質の水準などについて生産者の方々に噛み砕いて説明することができるからです。それは、現地の人と同じ目線に立ち、彼らとの間の信頼関係を基盤に活動を続けているからこそ可能なことだと思います。いわば、隊員らは日本市場と生産者の間の非常に大切な潤滑油のような役目を果たしているわけです。こうした青年海外協力隊の方々の協力なしでは、必要なレベルに達している商品を納期までに仕上げてもらうことは不可能であったと思います。

「商品を通じて途上国のことを多くの人に知ってもらいたいと考えています」と話す増田さん

「MUJI×JICAプロジェクト」の商品のひとつ、キルギスでつくられたフェルト製携帯機器ケース(右)とカードケース(左)

生産者たちからは喜びの報告が

2011年はすべてが手探りという状況でしたが、幸いにも商品の売れ行きもよく、「MUJI×JICAプロジェクト」によって生産者たちに現金収入を生むことができました。生産者たちからは、「子どもの学費になった」「牛や羊を購入できた」といった報告をいただき、このプロジェクトを実施してよかったと実感しています。また、2011年の取り組みは生産者にとって良いOJTの機会にもなったようで、2012年には技術の向上が見てとれました。
 2012年11月には、キルギスの一村一品運動の一環として、運動の対象となっている生産者の商品を販売する店が、隊員たちのサポートにより首都ビシュケクにオープンしました。そこでは、「MUJI×JICAプロジェクト」について紹介するパネルも置かせていただいています。この店を通じて、キルギスの生産者たちは自分たちで売れ筋の分析や顧客の開拓などに挑戦することが可能になったわけで、自立に向けた大きな前進だと思います。
 私どもとしては来年も、さらに生産者の自立に近づくよう、プロジェクトを進めていくつもりです。そこでまた青年海外協力隊の方々が活躍されることを期待しています。

「MUJI×JICAプロジェクト」の商品を並べる無印良品の店舗

PROFILE

株式会社良品計画
設立:1989年
本社所在地:東京都豊島区東池袋4-26-3
事業内容:「無印良品」を中心とした専門店事業の展開など
従業員数:5,197名(パートタイム社員を含む、2012年2月末現在)

HP:http://ryohin-keikaku.jp/
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