一般社団法人東京ニュービジネス協議会社員と企業の双方に実りの多い
民間連携ボランティア制度

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

経営者団体で勉強会を開催

私は貿易業務のコンサルティングなどを行う会社を経営するかたわら、企業経営者の団体、一般社団法人東京ニュービジネス協議会で国際ビジネス委員会の副委員長を務めています。この協議会は異業種交流を通じて新しいビジネスを創造していこうという趣旨の団体で、全国各地に存在する同種の組織がネットワークを組んで活動しており、会員企業は合計で約3,300社にのぼります。国際ビジネス委員会の主な役割は、グローバル人材の育成・確保の方法について学ぶ会員企業向けの勉強会を企画・運営することです。昨年は、その活動の一環としてJICAの民間連携ボランティア制度を知るための勉強会を開催しました。また、私自身がJICAボランティア事業についての理解を深めるべく、タイ、カンボジア、マラウイといった国々に派遣されている青年海外協力隊員の活動現場も視察させていただいています。

 JICAボランティア事業について勉強するなかで感じたのは、企業の社員が民間連携ボランティア制度で青年海外協力隊に参加すれば、社員と企業の双方にとって得るものが多い事業だということです。

 青年海外協力隊員は、現地の言葉や文化を学ぶところから始めて、現地の人たちのニーズをリサーチし、自分が取り組む活動を企画、実行していきます。そういう一連の経験は、もちろん辛いことも多いでしょうが、必ず感動もあり、その人を成長させる。青年海外協力隊員たちの現地の人たちへの接し方を見れば、確かな人間関係をつくりあげていることがうかがえ、非常に良い経験となっているのだと感じます。

 一方、そうして人間としてひと回り成長した社員は、それだけでも企業にとって貴重な人材です。ましてや、青年海外協力隊員として派遣された国にその企業が進出するとなった場合には、間違いなく現地の責任者として重用されるでしょう。任期中に得られる現地のマーケティング情報は、そのまま企業の販売展開に結びつくものだからです。

国際ビジネス委員会 副委員長
常井 孝之さん

技術力を基盤とした海外展開

国内の市場が狭まるなか、日本企業が生き残るためには、海外の市場、とりわけこれから伸びていくであろうアフリカ市場などへ展開していくほかに道はないという時代になっています。しかし、特に中小企業にとっては、自力で海外展開を担う人材を育成、確保するのは難しい。そんななか、海外展開の第一歩として民間連携ボランティア制度を利用すれば、良い起爆剤になるはずです。

 私自身が中国やASEAN諸国などに出かけてよく感じるのは、日本企業が持つ技術に対する海外の人たちの信用度の高さです。その点、確かな技術力を持つ多くの日本の中小企業にとって、海外展開というのは実はやりやすいことなのだと思います。例えば、活動を拝見した青年海外協力隊員のなかには、ジャガイモの産地でポテトチップスの製造・販売を立ち上げ、農村部の人たちの収入向上を支援するといった活動をされているケースもありましたが、ポテトチップスづくりの技術を持つ日本の中小企業はたくさんあります。そうした企業の社員が民間連携ボランティア制度で青年海外協力隊に参加し、自社の技術を現地に伝える活動に取り組めば、現地の方々にとって有益であるだけでなく、所属企業がその国で販売展開に乗り出すきっかけにもなるでしょう。

 以上のように、民間連携ボランティア制度は日本の企業、とりわけ中小企業にとって非常に良い制度だと考えていますので、東京ニュービジネス協議会では今後も、青年海外協力隊経験者を招くなどして、制度について理解を深める勉強会を定期的に開催し、日本企業の海外展開を下支えする役目を果たしていきたいと考えています。

PROFILE

一般社団法人東京ニュービジネス協議会
設立:1985年
所在地:東京都港区赤坂1-11-28 常和赤坂一丁目ビル7階
事業内容:ニュービジネス振興のための政策提言、ニュービジネスに関する情報提供、ニュービジネスの起業家の育成・発掘の支援、海外進出の情報提供など
職員数:350人 (2014年7月1日現在)
HP:http://www.nbc-world.net/index.html
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