特定非営利活動法人 NICE国際ワークキャンプを
海外ボランティアへの第一歩に

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特定非営利活動法人NICE(Never-ending International workCamps Exchange:ナイス/日本国際ワークキャンプセンター)は、国内外でボランティア・ワークキャンプを行う国際NGO。世界約100カ国にパートナー団体があり、NICEを通じて年間1,000人ほどの日本の若者が国内外でボランティア活動に参加している。近年、NICEの国際ワークキャンプを経験した人たちがJICAボランティアへ応募するケースが増えている背景、そしてNICEとJICAが共同で開催したセミナー「海外ボランティアのすすめ」について、NICE事務局長の上田英司(うえだ・えいじ)さんに聞いた。

ワークキャンプから協力隊へのキャリアパス

2016年4月、海外でのボランティア活動に関心のある学生や社会人を対象に、JICAとNICEが共同で「海外ボランティアのすすめ」というセミナーを開催しました。私たちのワークキャンプに参加する大学生にとって、青年海外協力隊は卒業後の進路の選択肢の一つであることから、ワークキャンプを経験した後、協力隊に参加した方々を講師に招き、自らの経験を語ってもらいました。NICEにとっては、ワークキャンプを経験した学生が、その後、どのようなキャリアを歩んでいるかを知ってもらう場であり、JICAにとっては、海外でのボランティア活動に関心のある学生に、協力隊のことを知ってもらうよい機会になっていると思います。

NICEのワークキャンプを経て青年海外協力隊に参加した人数は把握していないのですが、年々、増えていると聞いています。協力隊に興味はあっても、海外でのボランティア活動の経験がない人にとって、いきなり開発途上国で2年間のボランティア活動をするのは、かなりハードルが高いことのようです。そこで、まずはNICEのワークキャンプに参加し、海外ボランティアを体験してみようと考える人が多いのではないでしょうか。

セミナー開催の当日、会場には、大学生や社会人、約20人が来てくれました。参加者からの質問で多かったのは、「私が行って何か役に立てますか?」というもの。そうした問いに対して、NICEは現地のニーズに合わせてボランティアプログラムをつくっているので、最低限、自己紹介できるぐらいの英語力とやる気さえあれば貢献できると答えています。また参加者にとって、なぜ海外に興味を持ったのか、なぜNICEのワークキャンプに参加したのかという協力隊経験者の体験談はとても参考になるもので、皆が興味深げに聞いていたのが印象的でした。

NICEとJICAが共同で開催したセミナー「海外ボランティアのすすめ」

事務局長
上田 英司さん

国内外に広がる国際ボランティア活動

NICEの活動は国際ボランティア・ワークキャンプを実施することです。有機農業や植林、動植物の保護、子どもや高齢者、障害者、難民などの支援、遺跡発掘や城・寺の修復、学校やトイレの建設、アートづくり、祭りの運営など、それぞれの国や地域の特色を生かした活動をお手伝いしています。地域に貢献すること、相互理解を育むこと、若者の社会参画の場をつくることなどが、私たちの活動のテーマになっています。このように説明すると、海外専門のボランティアプログラムと思われがちですが、実は海外でできる国際ボランティアと、国内でできる国際ボランティアの両方があります。

海外で行われる国際ボランティアは、現地のパートナー団体が主催するワークキャンプに現地の住民や各国のボランティアとともに参加し、地域のために働くプログラムです。NICEでは94カ国、約3,000の国際ワークキャンプを日本に紹介しています。一方、国内でできる国際ボランティアは、国内の市民団体やNPOなどとNICEが共催するワークキャンプに、海外からのボランティアと一緒に参加するプログラムになっており、現在、国内の約50カ所で実施しています。

海外でのワークキャンプは2~3週間のプログラムが多いのですが、実際に現場へ行って現地の人たちと接すると、海外に暮らしてボランティアをするというのはどのようなことなのか、地域のニーズや課題は何なのかを実感できるはずです。その上で、もっと時間をかけてじっくりとボランティア活動に取り組みたい、専門的な知識や技術を身に付けて貢献したいという新たな目標を持った人たちが、大学卒業後、あるいは社会人としての経験を積んだ後に、協力隊として新たな一歩を踏み出しているのだと思います。

国際ボランティア・ワークキャンプでは、日本の若者と世界中から参加する若者、そして現地の人たちが協力して活動している

支援から協力へ、ボランティア活動も変容

社会の授業では、東南アジアの国々を「開発途上国」と教わりますが、実際にタイやインドネシアへ行くと「どこが途上国なの?」と思うくらい発展しています。東南アジアの国々の方が先駆的な取り組みを行っている分野も少なくありません。グローバリゼーションは驚くほどの速さで進み、アジアと日本の関係も日本が一方的に支援するのではなく、相互協力、相互理解のパートナーへと変わりつつあります。国際ボランティアも同じです。日本の学生がボランティアとして海外に行って誰かを助けてあげるのではなく、現地の人たちと対等のパートナーとして、地域の課題に取り組んでいくという形に変わりつつあります。

意外に思われるかもしれませんが、実は日本で実施しているワークキャンプに最も多くのボランティアを派遣しているのは、タイやベトナムなどの東南アジアの国々です。JICAが青年海外協力隊を派遣している国から、多くのボランティアが日本に来ているのです。日本はボランティアをする側で、東南アジアの国々はそれを受け入れる側という考えは、NICEにはありません。私たちは共に汗を流す仲間であり、そこで育まれる相互理解やパートナーシップが非常に大切なのだと思います。

NICEの国際ボランティアやJICAボランティアに参加する若者には、ボランティアとは一方的に支援する、支援されるという関係性ではないことを、現地での活動を通じてぜひ体感してほしいと考えています。今後もJICAと共同で実施するイベントなどを通じて、そのようなことも伝えていけたらと思います。

PROFILE

特定非営利活動法人 NICE(日本国際ワークキャンプセンター)
創業:1990年
所在地:東京都新宿区新宿2-1-14-401
事業内容:国内・海外で国際ワークキャンプを実施
HP:http://www.nice1.gr.jp/
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