株式会社農園たや福井から農業ビジネスで
国際協力と地域おこしを目指す
青年海外協力隊の経験を活かした
ビジネス展開

  • グローバル人材の育成・確保

株式会社農園たやの代表 田谷徹(たや・とおる)さんは、ご自身がインドネシアでの青年海外協力隊員の経験者で、その活動経験を活かし、農業ビジネスで国際協力と地域おこしを目指す新しい未来の農業ビジネスに挑戦している。

地域と世界に貢献する農業

株式会社農園たやは、野菜生産を生業にしている会社です。2018年に株式会社化しましたが、前身は福井で六代続く専業農家でした。しかし、家族経営のままでは、農業や農村が直面している高齢化や耕作放棄地の拡大といった問題を解決する力には乏しいと考えるようになり、チーム力で農業の問題を解決するために、私たちは会社化しました。高齢化する農村の中で、若いスタッフたちと共に耕作放棄地が拡大しないよう、また野菜を安定して食べてくださる方々へ供給できるよう、農業生産に力を入れています。

私たちは小さな農園ではありますが、独自にインドネシア共和国西ジャワ州スメダン県とバンドゥン県の農村で国際協力も行っています。もともとは福井農林高校とインドネシア共和国西ジャワ州にあるタンジュンサリ農業高校の交流事業に、当農園の代表が通訳として関わったことが始まりでした。両校の農業交流を通じて、当農園でもタンジュンサリ農業高校の卒業生を外国人技能実習生として受け入れるプログラムを2008年より展開しています。人手不足の農業界に優秀な働き手を確保するだけでなく、彼ら彼女らが帰国後地域リーダーとして活躍できるよう、当農園では座学や卒業研究指導を通じて、実習生の帰国後のビジネスプラン作りまでお手伝いしています。

また実習修了生たちへも年に数回の巡回指導を行い、インターネットを活用して営農指導や勉強会の開催も積極的に行っています。実習修了生たちの自主的な勉強会である『耕志の会』では、当農園と合同でさまざまな農村開発プログラムを実践しています。2016年度と2018年度のJICA基金の採択事業となり、現在40名の農家が小規模で持続可能なコーヒー栽培を現地で行っています。

インドネシアからの元技能実習生達を訪ね、彼らの畑を視察した時の写真。

社員を協力隊員として派遣

さらに農園のスタッフを青年海外協力隊として、タンジュンサリ農業高校へ派遣しています。農業教育の現状を把握するとともに、農業教育の拡充を目的としており、現地での地域リーダー育成とともに、実習修了生の農業ビジネスのフォローアップも行っています。今後も農園のスタッフを青年海外協力隊として継続して派遣していきたいと思っています。

外国人を受け入れる場合、その議論の多くは日本のやり方にどう外国人を合わせていくのかが散見されますが、私たちはそれは本当の交流ではないと考えます。相手の国や地域をしっかり理解し、受け入れる若者たちの将来の夢や希望に向き合って、帰国後の支援もしてこそ本当の交流であり、そういう真っ当な交流こそが、お互いの地域がともに発展する未来だと思います。

農園たやでは、インドネシアにスタッフを青年海外協力隊の「野菜栽培」の職種で派遣している。

未来の農業に活かされる青年海外協力隊の経験

青年海外協力隊のように、現地の社会の一員として暮らし、活動する経験はとても大切です。異文化の社会を理解すると同時に、自分たちの社会を相対化し常識だと思っていたことが偏見や差別や固定概念であることに気が付くことができます。本来、農業や農村には緩やかに外部からの価値観を受け入れていく素地がありました。しかし、現在の高齢化や人口減少の中で、そういった自分たちが変化していく大切なプロセスが失われてしまったように思います。社員の青年海外協力隊への参加は、その意味で大変有意義で、新しい農業農村発展のヒントになると考えています。

協力隊の経験を活かし、農業を通じて世界を良くしよう!

※このインタビューは2019年2月に行われたものです。

PROFILE

株式会社農園たや
所在地:福井県福井市高屋町32-35
事業内容:多種多様な野菜の生産・販売
経営規模:施設栽培面積:1.5ha、露地栽培面積:2ha、水田面積: 1.2ha
HP:http://www.nouentaya.com/
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