株式会社小川工務店JICAボランティア経験の
社内や地域への還元を期待

  • グローバル人材の育成・確保
  • CSR活動

民間連携ボランティア制度を利用

当社は以前から社員のJICAボランティア参加には関心を持っていたのですが、民間連携ボランティア制度がスタートすると、本格的にその利用に向けた準備を行うようになりました。希望する国や活動内容での派遣が叶うなど、当社にとっても参加する社員にとっても有益な制度だと考えたからです。2013年には、タイ、カンボジア、マラウイにおける青年海外協力隊員の活動現場の視察、派遣前訓練の視察、帰国した青年海外協力隊員による企業向け報告会などに参加させていただきました。
 そうして今年1月、民間連携ボランティア制度により当社の社員がシニア海外ボランティアとしてフィジーに派遣されるに至りました。当社は住宅の設計・建築・販売を行う会社ですが、派遣された社員は住宅設備の技術者です。水のろ過装置の設置支援などに取り組む予定で、任期は2年間。JICAボランティアへの現職参加は当社で初めてのケースでした。

建築部長
平山 耕一郎さん

コミュニケーションの能力を培う場

当社では常々、社員にJICAボランティアへの参加を呼びかけていますが、それは海外で事業を行うための人材の育成やネットワークの獲得を狙ったものではありません。期待しているのは、JICAボランティアの経験をとおして社員が豊かな人間へと成長してもらうこと、そしてJICAボランティア経験で学んだことを帰国後、自分自身の仕事で生かすだけでなく、一緒に働く仲間たち、さらには家族や地域の方々などへと伝えてもらうことです。JICAボランティアに参加した当社の社員が、その経験で得たものを社員の家族や地域の方々に還元することは、企業として果たしうる社会的責任のひとつといえるのではないかと考えています。

 私自身、マラウイでの現場視察に参加させていただいたのですが、JICAボランティアの経験で人間としてのさまざまな力が養われることを知ることができました。それまで私はJICAボランティアについて、「ボランティア」という言葉から「上の人から下の人に支援をする」というイメージを持っていました。ところが、実際は現地の方々と同じ目線に立ち、彼らの考えを尊重しながら活動を進めていらっしゃった。取り組む活動を自分で見つけ出し、それを現地の方々とともに進めていかなければならないJICAボランティアにとって、まずは現地の方々に自分を受け入れてもらうことが不可欠です。「上から目線」でいたのでは、それが難しくなってしまうわけです。おそらく挫折を繰り返しながらも、現地の方々とのそうした関係づくりに懸命に取り組むことによって、コミュニケーションの能力が否応なく培われるはずです。日本ではなかなかできないそんな経験を、まだ20代の若い方々がされていることに、私は感動すら覚えました。

 当社の社長は常々、「社員に少しでも多くの給料をお支払いすることだけでなく、『この会社で働くことが楽しい』と社員に感じてもらえる環境をつくることも、自分の大事な役割だ」と話しています。仕事について「楽しい」と感じられるのは、自分の能力が磨かれ、それが十分に発揮できるときではないでしょうか。社長自身、社員にJICAボランティアへの参加を積極的に勧めていますが、それは人間力が磨かれる経験であることに確信を持っているからにほかなりません。

経験者の採用も前向きに

当社では、青年海外協力隊経験者を積極的に採用したいとも考えています。民間連携ボランティア制度で派遣される社員と同じように、新たに入社していただく協力隊経験者にも、その経験で培った力を仕事で発揮していただくだけでなく、経験で学んだことをほかの社員に伝え、彼らの成長につなげてもらうことが期待できるからです。日本を飛び出した方々ですから、協力隊経験者はみなさん、個性が強いはずです。それも十分に理解したうえで、やはりぜひ一緒に働きたい。また、当社は事業の中心は「建築」ですので、社員の多くはその専門技術を持つ者ですが、ほかの業種の協力隊経験者に来ていただけるとなった場合には、新たな分野の事業を起こすという道も考えています。そうまでしても、協力隊経験者の方々の力を当社の活性化のために発揮していただきたいと思うからです。

 民間連携ボランティア制度でフィジーに派遣されている社員が帰国するのはまだ先のことですが、ゆくゆくは、現職でJICAボランティアに参加した社員と、新たに採用したその経験者たちとが増えていき、彼らがひとつの大きな新しい風となって当社を盛り上げていってもらいたいと期待しています。

PROFILE

株式会社小川工務店
創業:1950年
所在地:長崎県佐世保市吉岡町1981番地7
事業内容:総合建設業、建築設計、宅地建物取引業
HP:http://ogawakoumuten.co.jp
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