オーピーシー株式会社現地にすぐ溶け込んで、信頼関係を築く能力

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

当社は高度経済成長期に、中東向けの石油精製プラント建設需要を支えるためのプラント設計技術者などを派遣する事業を目的として設立されました。1984年からは、ODA事業に建設コンサルタントとして参画し、93年からは専門部署を開設し、本格的に海外コンサルタント業務に乗り出しました。

 協力隊経験者の採用数は延べ20人ほどになります。その中には、協力隊の発足初期にラオスやインド、エチオピアなどで活動した大先輩隊員もおり、今日でも彼らは現役で活躍しています。私自身もケニアの測量隊員で、常山重敏専務取締役はラオスの野菜隊員でした。このように当社と協力隊員は切っても切れない関係が続いています。

 帰国したばかりの隊員は、入社早々から周囲の状況を見ずに突っ走って業務をこなしていたりすることもあります。そうしたときには協力隊経験者の上司の場合、自分も通った道なので、「ちょっと立ち止まってみたほうがいいよ」などと、自分自身の経験を交えながらのアドバイスも可能です。

 協力隊経験者の仕事ぶりを見ていて思うのは、彼らは海外の現場で働く人たちと対等な立場で人間味のある接し方をし、現地にすぐに溶け込んで、そこで信頼関係を築くことができるということです。当社は現在、アフリカ、南西・東南アジアや中南米などでコンサルタント業務を中心に活動を行っており、協力隊経験者は海外部署に所属して仕事をしています。現地の人たちや他国の援助機関関係者との意思疎通を確かなものにするためのコミュニケーション手段である外国語、特に英語や現地語は最重要で必須能力です。

取締役 技術部
海外コンサルタントグループ部長
露木 雅美さん
(昭和52年度派遣/ケニア/測量)

その一方で、私たちは協力隊経験者の技術力を100パーセント評価しているというわけでもありません。それは決して彼らの能力に失望しているからではなく、ビジネス業界における総合的な経験をまだ十分に持っていないと考えるからです。入社時点では、技術よりも向上心を持って勉強する意欲があるかどうかを評価します。

 以前、社内の先輩がこんなことを言っていました。「わずかな海外経験の中からでも自らの人生設計に生かせるアイデアが創造でき、他人に対しては謙虚さと柔軟さを持って接することができる若者を今日の日本社会は求めている」。若い時期の協力隊経験を自らの人生にどのように生かし、そしてどんな社会にあっても優しさと柔軟性を持って仕事に向かうことができるかが、総じてその人の将来を決めるのだと思います。

 また、技術者や専門家といわれる人は常にコツコツと自分の技術を積み上げられる人だと思います。最近は入社して1年も経たないうちに「留学します」と言って辞める人もいます。「石の上にも3年」ではないですが、焦らず、あわてず、仕事に向かい合えるひたむきな人を求めています。

バングラデシュでの給水事業技術協力プロジェクトの業務で、現地スタッフと浄水場を視察する大庭さん(左端)

JICAボランティア経験者から

大先輩の背中を追いかけ、目標に向かって日々の業務にひたすら励む

私は協力隊に参加する前、建設コンサルタント会社で主に道路の設計業務を担当していました。「私も協力隊に参加したい」と思うようになったきっかけが、在職中に見た隊員の“笑顔”のポスターでした。実際に応募したのは入社して10年目のことで、ドミニカ共和国に土木隊員として派遣されました。

 任期中は、日本語の講師をするなど土木の職種以外の活動もしましたが、特に力を入れた活動は、私も被災した洪水を背景に提案した洪水災害対策プロジェクトです。このプロジェクトには数多くの課題がありましたが、苦難の末に立ち上げることに成功しました。

 現地の人たちとともに活動した経験が動機となり、もう一度、開発途上国の人と仕事がしたいと思うようになったのが、当社の面接試験を受けていた最中でした。お恥ずかしい話ですが、後で常山専務と露木部長には、「あの面接は人生のカウンセリングだったね」と言われました(笑)。

 当社には、協力隊経験者で目をきらきらと輝かせた大先輩がたくさんいます。職場は、英語やインドネシア語などが飛び交って活気に満ちあふれ、あらゆる分野の専門家から、たくさんの興味深い話を聞くことができて刺激になります。しかし仕事場は、多くの成果や高い品質を求められる、とても厳しい世界です。

 現在、私はバングラデシュで給水事業の技術協力プロジェクトに携わっていますが、現地では、上司の温かくて厳しい指導を受けながら、毎日頭をパンクさせつつ、日々の業務に励んでいます。

 私は、現地で働く人たちと協働する際に、「日本的な価値観や技術を無理やり押しつけるのではなく、同じ目線に立ち、ともに考えて」問題を解決するように努力しています。これは、協力隊での活動を通して培うことができた、最も大切なことのひとつだと、私は思います。

技術部 海外コンサルタントグループ
大庭 祐樹さん
(平成18年度派遣/ドミニカ共和国/土木)

PROFILE

オーピーシー株式会社
設立:1976年10月
所在地:東京都千代田区神田錦町3丁目3番地 竹橋3-3ビル4階
事業内容:海外建設コンサルタント、建築設計、構造解析、技術者派遣(土木・建築・電気・上下水設備等)などのさまざまな事業を展開
職員数:40名(2010年3月末現在)
JICAボランティア経験者数:9名(2010年3月末現在)

HP: http://www.opccorp.com/ 
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