佐賀県毎年、協力隊経験者を採用し、
毎年、若手職員を協力隊に送り出したい

  • グローバル人材の育成・確保

佐賀県にも、他の自治体と同様にグローバル化の波が押し寄せています。たとえば、2011年
1月には、韓国全羅南道と友好交流協定を結び、さまざまな分野で交流が活発になっています。同年8月には県庁内に上海デスクを設置しました。10月からは中国の瀋陽および香港に佐賀県の事務所を置き、職員を派遣しています。今年1月に就航した佐賀空港と上海空港を結ぶ週2便の直行便も、この7月からは週3便になりました。

 こうした状況を踏まえ、佐賀県庁としても国際戦略を考えながら、さまざまな人たちと意見を交わし、佐賀県のさらなる発展へ向け、懸命な努力をしているところです。そのなかで、重要な要素の1つとなるのが多様な人材の確保です。新卒で採用した人を育てることも大切なことですが、それだけでは人材が多様になりません。県には多様な仕事があり、それぞれの仕事に、適任の人材が必要です。私は常々、職員に対して「いい仕事をしよう」と呼びかけていますが、「いい」の中身は、所属でも違うし、個人でも違います。たとえば、100年先を見据えて、海外へ目を向けながらするべき仕事もあれば、地元の人たちに寄り添い、時間をかけ、信頼関係を築きながら進める仕事もあります。多様な人材の一人ひとりが、佐賀県あるいは佐賀県民のために「自ら納得できる仕事」をすることが、県としての「いい仕事」につながっていくと思うのです。このような考えから、佐賀県では、2006年度よりキャリア採用を始めました。協力隊経験という貴重なキャリアを持つ皆さんなら、佐賀県庁の職員として、必ず「いい仕事」ができると考え、2011年度の採用試験からJICAボランティア経験者枠を設けています。

 私は以前、国際交流係長をしていたこともあり、協力隊経験者の魅力や実力を目の当たりにするたびに、「彼らのような人たちにこそ県庁で活躍してほしい」と強く願っていました。協力隊経験者の皆さんは、語るものを持っています。帰国した彼らと話をすると、現地での人との出会い、苦労、喜びなど、さまざまな実体験が、とても情熱的に語られるので、夜を徹してでも話を聞きたいと思ってしまうほどです。

 そんな協力隊経験者に共通していえることは、言葉も文化も価値観も異なる人たちのなかに飛び込んで、現地の人との間に信頼関係を築く努力をしてきた人たちだということです。なかには、歩み寄っても拒否されたり、努力が報われない経験をしている人もいるでしょう。しかし大切なのは、そこに住んでいる人の心に寄り添い、いかに粘り強く信頼関係を築く努力ができたか否かなのです。

 グローバル人材には、外国語の能力や国際的な感覚ももちろん必要ですが、県庁の仕事はそれだけでは務まりません。利害が対立する人々の中に入り、調整をすることもあれば、意見が対立する住民の中に入って、住民の心に寄り添いながらも、県としての考えを理解してもらえるよう、辛抱強く働きかけつづけなくてはならないこともあります。そんなときに、そこに信頼関係が築けるかどうかで、結果は大きく変わってきます。したがって、異国の地にあって、現地の人と理解し合う努力をされてきた協力隊経験者の皆さんは、県庁が求める人材として非常に魅力的だと思うのです。

 一方で、佐賀県庁には、現職のまま協力隊に参加できる制度もあります。県庁の若い職員が、開発途上国で現地の人と一緒になって、新しいプロジェクトを遂行したり、地域づくりするという経験は、職員の大きな糧となり、ひいては佐賀県民のためになると考えています。私としては、協力隊経験者の皆さんのような国際貢献活動の経験者を毎年1人ずつ採用し、現職の若い県庁職員を協力隊員として毎年1人ずつ送り出したいと考えています。これが定着していけば、本当に少しずつではありますが、県庁にも新しい風が入り、より良い県庁になっていくと思うのです。

 協力隊員として開発途上国の人々のために過ごす2年間は、プラスになることはあっても、マイナスになることは決してありません。それに協力隊事業は、国の事業だけあって、さまざまな面においてサポート体制が万全ですので、送り出す側としても安心です。昨年度の試験では、私たちの念願どおり、熱意とやる気にあふれた協力隊経験者を採用することができましたので、次は現職参加を希望する職員が出てくることを願っています。

経営支援本部 本部長
黒岩 春地さん

協力隊での二年間は、プラスになることはあっても、マイナスになることは決してないと語る黒岩さん。

PROFILE

佐賀県庁
所在地:〒840-8570 佐賀市城内1丁目1-59
HP:http://www.pref.saga.lg.jp/

協力隊経験者のみなさんへ 佐賀県庁には、協力隊経験者がやりがいを持って実力を発揮できるフィールドがあります!「佐賀県のために」あるいは「佐賀県民のために」という志のある協力隊経験者の皆さんには、ぜひ協力隊経験者枠にご応募いただきたいと考えています。2012年度の募集期間は8月7日から10月1日までです。今後、共に仕事ができる協力隊経験者が佐賀県庁内で増えていくのを心から楽しみにしています。
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