三洋電機株式会社協力隊員からアイディア募り、
アフリカにソーラーランタンを寄贈

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世界中で電気のない暮らしをしている人は約15億人。中でもサブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南の国々)と南アジアの電化率は低く、サブサハラ・アフリカの農村部では5人に4人以上が電力の供給されていない地域で生活しています(※1)。
 電気のない暮らしは、ただ不便なだけではありません。未電化は、貧困からの脱出を難しくしている要因のひとつです。例えば、サブサハラ・アフリカでは、多くの女性が毎日平均5キロの道のりを歩いて20キログラムもの薪を燃料として収集しなければなりません。また、電化されていない地域では、照明や暖を取る手段として薪やろうそく、灯油ランプなどが使われているため、火事が絶えません。さらに、WHO(世界保健機関)が勧告する基準を何倍も上回る濃度の一酸化炭素に日常的にさらされており、開発途上国の人口の6パーセントが呼吸器疾患に侵されているといわれています。このような健康被害や過酷な労働によって、未電化地域の人々は、農業などの生産活動や教育といった生活改善のための時間を奪われています(※2)。

医療や教育の現場で大いに活躍

こういった人々の暮らしの向上に役立ててもらおうと、三洋電機は2010年1月、ソーラーランタン50台をサブサハラ・アフリカの国々に寄贈しました。対象は、エチオピア、ガーナ、ケニア、ザンビア、タンザニア、ニジェール、ブルキナファソ、ベナン、マダガスカル、マラウイ、ルワンダの11カ国。これらの寄贈先は、JICAがアフリカで活動中の青年海外協力隊員から活用法のアイデアを募って選定しました。
 ソーラーランタンは、明るくて省エネ性の高いLEDライトを装備しています。机の上に置いたり、天井から吊るしたり、手に持ったりと3通りの使い方ができ、光度を高めるために縦にいくつか積み重ねることも可能。フル充電すれば明るさによって5時間から20時間の連続使用ができます。火事や健康被害の心配もありません。
 寄贈されたソーラーランタンは早速、各隊員の任地で活用されています。タンザニアで活動する西郷碧さん(平成21年度派遣/村落開発普及員)に届けられたソーラーランタンは、エイズ患者をケアする地元NGOに供与されました。夜間に患者宅へ駆けつけて応急処置をする際、夜道を照らすためにソーラーランタンを利用しているNGOは、「これまで使っていた懐中電灯と違って明るいので、けがや事故の心配が減った」と喜んでいます。「暗い場所での応急処置では、私たち自身もエイズに感染してしまう危険性がありました。このランタンのおかげで、不安は解消されました」
 ブルキナファソで野菜の栽培技術を指導した鈴木葵さん(平成19年度派遣/野菜)は、女性を対象にしたヨガ教室でソーラーランタンを使いました。昼間は水くみや畑仕事、炊事、洗たくなどに追われる女性たちは、いつも疲れているように見え、彼女たちの疲れを取り除く手助けになればと考えたからです。教室が始まるのは彼女たちの家事などが一段落する夜になってからですが、ランタンが会場を明るく照らし、おかげで鈴木さんがやって見せるポーズも参加者に見えやすく、みんな熱心に取り組むことができました。自主的に自宅で練習をする女性も出てきて「ヨガの後はぐっすり眠れる」「次の教室はいつ?」と好評。評判を聞いた男性からも「男性向け教室も開いてほしい」というリクエストが寄せられました。
 ほかにも、識字教室で活用したり(ニジェール)、全寮制の学校のダイニングホールで夕食後の自習時間に使ったり(タンザニア)と、ソーラーランタンはさまざまな形で現地の人々の暮らしの向上に役立てられています。

ランタンの明かりを頼りにヨガを楽しむ女性ら(ブルキナファソ)

明かりによって子どもたちの教育の機会も充実する(タンザニア)

※1…出典:World Energy Outlook 2009

※2…出典:World Energy Outlook 2002

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