株式会社三祐コンサルタンツ未経験の業務に対して
前向きに取り組むバイタリティー

  • グローバル人材の育成・確保
  • 開発途上国へのビジネス展開

1948年、篤農家の久野庄太郎が、知多半島で水不足に悩む農家のため、愛知用水の建設を発案しました。世界銀行から巨額の融資を引き出すことに成功し、5年の歳月をかけて用水が完成。その際に集積した技術やノウハウを分散させてしまうのは惜しいと、62年、久野が当社を設立しました。

 現在、海外事業本部では、農業開発を中心として、また近年では小規模金融や組合組織強化といったサブセクターにおいてもコンサルティング業務を行っています。発注元は主にJICAや世界銀行、国際機関ですが、途上国政府から直接受注し、農業コンサルティング業務を行うこともあります。当社に在籍する協力隊経験者は10人。土木や畜産、林業などを専門にしている人のほか、最近では村落開発普及員の職種で活動してきた人が増えています。

 私たちが求めているのは、専門性を持った、即戦力となりうる人材です。その背景には、先輩社員は海外に出ていることが多く、一から人を育てる余裕があまりないという実情があります。そのため、実務経験と海外での1年以上の活動を必須条件としています。

 最近は、協力隊の任期終了後に大学院に進学するなどして、国際協力について学んでから入社する人が多い傾向にあります。ODAの仕組みや開発理論、日本の役割といった知識は業務に不可欠なので、その分野での修士号を持っていると、採用試験において有利になります。もちろん英語力は必須で、チームとして途上国で働くため、コミュニケーション能力も求められます。

 なかでも協力隊経験者に期待するのは、未経験の業務を任される際、「やったことがないからできません」ではなく、「やったことがないからやってみたい」と考えるバイタリティーです。実際、協力隊経験者の社員は、これまで経験したことのない業務に対し、好奇心を持って前向きに取り組む人ばかりです。

 私は中途採用にかかわる検討委員会のメンバーなので、多くの応募書類に目を通します。その際、志望動機欄に「御社の理念に賛同し…」という、通り一遍にも思える表現が多いと感じます。JICA図書館などで当社の行ったプロジェクトの報告書を閲覧することもできるので、私たちがこれまでどのような事業を行ってきたのかを勉強して、当たりさわりのない内容ではなく、当社のどこに魅力を感じて入社を希望するのか、より深い志望動機を示してほしいですね。

 また、「自分が何をしたいのか」と「自分は何ができるのか」の両方を考えてほしいとも思います。「何がしたいのか」は、この仕事に対する「夢」や「熱い思い」、また「何ができるのか」は、協力隊経験や大学院で学んだことなどを業務にどう生かしていけるのかということです。コンサルティング業務を理解したうえでそこを掘り下げて考えてみれば、自分が進みたい道が見えてくるのではないでしょうか。

海外事業本部 技術第3部 部長
須藤 晃さん
(昭和62年度派遣/フィリピン/日本語教師)

中国・四川省の山岳地域の少数民族村落で実施している総合開発モデルプロジェクトの業務風景

JICAボランティア経験者から

協力隊の2年間で身に付いた「現場感覚」が、ほかの途上国に行っても役に立つ

私は大学を卒業した後、外資系の国際物流企業に勤務しました。日々の業務のなかで先進国と途上国の格差を感じ、国際協力にかかわる仕事をしたいと徐々に思うようになり、5年間勤めた会社を退職。イギリスの大学院に留学して農村開発学の修士号を取得しました。その後、国際協力の現場を見たいという思いもあって協力隊に参加。バングラデシュで農村の生活環境の改善を支援する活動を行いました。

 帰国後、JICA進路相談カウンセラーにいろいろと相談に乗ってもらいました。それまで、とりたてて技術のない文系の私には、開発コンサルティング企業は「敷居が高い」と思っていたのですが、相談するうちに視野に入り、当社のことも知りました。そして、社員が互いに切磋琢磨するという社風に魅力を感じて応募。協力隊経験のほか、他業種での勤務や留学といったさまざまな経験をしてきたことが、自分の個性であって強みでもあると考え、面接試験ではそれをアピールしました。

 入社後は海外事業本部に配属され、これまでマラウイや東ティモールなどでのプロジェクトに従事。最近は、住民組織化などのソフト面の専門家として業務を行う機会が増え、入社4年が過ぎてようやく開発コンサルタントとしての一歩を踏み出したと実感しています。

 バングラデシュの濃密な人間関係のなかで過ごした2年間で身に付いた「現場感覚」は、今の仕事でも役立っています。ほかの途上国での業務において、現地の生活状況を理解する際にはバングラデシュでの経験が判断の基準となっています。今後は、農業経営などの知識をさらに深め、途上国の農家にとって持続的な生計向上が可能となるような起業支援を提案できるようになりたいです。

 帰国後に開発コンサルタントを目指す方は、「現場感覚」や英語力などを磨きつつ、任地で今できる経験を大切にしてほしいと思います。

海外事業本部 技術第1部 技術課 主幹
福本 晶也さん
(平成15年度派遣/バングラデシュ/村落開発普及員)

PROFILE

株式会社三祐コンサルタンツ

株式会社三祐コンサルタンツ
設立:1962年6月
所在地:本社/愛知県名古屋市東区代官町35番16号 海外事業本部/東京都豊島区北大塚1丁目13番17号
事業内容:国内外での農業・農村開発、水資源開発などにかかわる調査、企画、設計、施工監理、運営指導、環境アセスメントなどについてのコンサルティング業務
従業員数:244名(2010年12月31日現在)
協力隊経験者数:10名(2010年12月31日現在)

HP:http://sanyu.tcp.jp/ 
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