サラヤ株式会社BOPビジネスの展開を目的に
JICAボランティアを連携

  • 開発途上国へのビジネス展開
  • CSR活動

”アルコール手指消毒剤”で途上国の感染症対策

洗浄剤・消毒剤・うがい薬などの開発・製造・販売を通して、国内外の衛生・環境・健康への貢献に取り組むサラヤ株式会社 (以下、サラヤ)。同社がウガンダでの活動を開始したのは、2010年のこと。
 対象製品のメーカー出荷額の1パーセントをユニセフに寄付し、それをもとにユニセフが「石けんを使った正しい手洗い」の普及活動を支援する「SARAYA100万人の手洗いプロジェクト」を、3年間の予定で開始しました。
 11年には、現地法人「SARAYA EAST AFRICA」を設立。ウガンダでのビジネス展開に向けた調査に着手します。その後、JICAのスキーム「標準準備調査(BOPビジネス連携促進)」で規格が採用され、12年1月からはJICAの支援のもと、「アルコール手指消毒剤」の現地での生産・販売に向けた普及可能性の調査もスタートさせました。SARAYA EAST AFRICAの代表は、協力隊員としてウガンダで活動した経験を持つ宮本和昌さんが務めています。

広報宣伝部長の代島さん(右)と、SARAYA EAST AFRICA代表の宮本さん(左)

病院スタッフとの橋渡し役としてJICAボランティアと連携

JICAが5Sを導入する技術協力プロジェクトを進めている病院から、協力準備調査の対象として2つの病院が選ばれました。現在はその病院で、アルコール手指消毒剤を院内に配布し、今後の使用見込みに加え、使用される場合に想定される必要量などといった調査が進められています。この2カ所は、以前から看護師の協力隊員による支援が継続され、5Sの導入に向けた活動を行っている病院。それによって、サラヤによる調査がスムーズに進められていると宮本さんは言います。
 「病院スタッフとJICAボランティアの間に信頼関係がつくられていたことが、2病院を最初の調査の対象に選んだ大きな理由でした。調査の実施には、病院スタッフの方々との信頼関係が不可欠です。しかし、調査の期間は限られており、社員を送り込んで一から始めるとなると厳しい。その部分をJICAボランティアがカバーしてくれたのです」
 調査はSARAYA EAST AFRICAの職員によって行われていますが、現場の状況を知るうえで、JICAボランティアの助言は欠かせないものとなっています。一方、病院に配属されているJICAボランティアにとっても、サラヤによる調査が活動効果の促進につながっています。そのひとり、協力隊員の満江祐介さんは、「私の活動は5Sの定着を通じた院内の環境改善と、それによる医療サービスの質の向上を目指すもの。サラヤさんの事業の方向と合致するものであり、互いの情報交換は双方に利益のあるものだと感じています」と話します。
 サラヤ広報宣伝部長の代島裕世さんは、ウガンダにおける事業の今後の展開についてこう話します。
 「この事業のメリットのひとつは、自分たちの仕事が社会に貢献しているのだと当社の社員が理解できることにあります。今後も、JICAボランティアの力を活用しながら、東アフリカ全体でBOPビジネスを展開していければと考えています」

調査対象病院の院長と「アルコール手指消毒剤」の導入について話し合う宮本さん(左)と満江さん(中央)

「SARAYA100万人の手洗いプロジェクト」支援商品の「薬用ハンドソープ シャボグリーン」

JICAボランティアの声
満江祐介さん(平成22年度派遣/ウガンダ/看護師)

これまでビジネスのなかで培ってきたノウハウがあるため、サラヤさんの支援は質が高く、信頼できるものでした。院内に配布されたサラヤ製品の使用量などを確認する作業を通じて、病院スタッフの管理能力の向上を図ることができました。サラヤさん、病院、JICAボランティアの三者すべてにとって利益がある連携だと思います。今後も、院内環境の改善とともに、配属先病院のさらなる医療サービスの質の向上を目指した支援に取り組んでいきたいと考えています。

病院スタッフとサラヤ製アルコール手指消毒剤の使用量を確認する満江さん

PROFILE

サラヤ株式会社
設立:1952年
所在地:大阪府大阪市東住吉区湯里2-2-8
事業内容:家庭用・業務用の洗浄剤・消毒剤・うがい薬の開発・製造・販売など
従業員数:991人(2011年10月末現在)
協力隊経験者数:1名(2012年6月現在)

HP:http://www.saraya.com/
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